第361話・『喉が鳴るよ、喉が』
絶滅の恐れのある野生動物を保護する事を目的として特定の区域を定める、その中での狩猟や開発を禁止して保護すべき動物の保全育成に支障をきたすような行為を高いレベルで制限した地域を動物保護区と呼ぶ。
この島も正にソレである………今日見れるはずの『ドラゴン』はこの島固有の種であり、絶滅の可能性があると判断されている、そこで疑問が残る、エルフライダーもこの世界で一匹しか存在しないので怪しい組織の皆さまも俺を保護して欲しい。
可愛いメスとか下さい、その中でも生息地等保護区と呼ばれる場所に足を踏み入れるには様々な手続きを必要とする、何より物のように体を消毒されるのは酷く『ストレス』だ、しかしグロリアが全裸になって涼しい顔をしてそれを受け入れてる。
俺以外に裸を見られてるのに酷いぜ?また区域内で希少野生動植物種の保存の為に必要があると判断された区域は管理地区として指定されているようだ。
「小屋の中で全裸にされるとは思わなかった、まあ、俺の裸を見れて受け付けの女の子も幸せだろうぜ」
「はいはい、自画自賛自画自賛」
「自画自賛じゃないもんっ!グロリアよりデケェよ!?」
管理地区の区域内であっても希少野生動植物種の個体の成長や発育を促すために特にその保護を図る必要があると判断された場所は立入制限地区として指定されているのだが今回はそこに足を踏み入れているわけだ。
グロリアの権力怖いぜ、一体どれだけの組織や団体に駒がいるのだろうか、だけどそれを聞く事はしない、それをすると何となくだけどグロリアに嫌われるような気がする、何となくだけど……多分間違っていない。
島は死火山及び赤、橙、緑、黒色の多種多様な火山性地層で構成されている、島からはみ出すように伸びた尖塔状の岩はかつて海中の火山よりマグマが溢れ出した際に形成されたものと言われている、何だか個性的な島だなァ。
周囲の島に護られるように存在しているこの島は何処か神聖な雰囲気があって緊張してしまう、島の岩肌にある小洞窟の集団繁殖地に『歩く鳥』が営巣する様子が見られる、えっと、ペンギンの一種か?珍しい生き物だ。
「ペンギンだぜっ、可愛い!美味しそうっ!」
「その二つを同時に思考出来る事が恐ろしいですね」
グロリアの青と緑の半々に溶け合ったトルマリンを思わせる美しい瞳が探るように細められる、俺は別におかしな事は言ってないはずなのに失礼な奴だなあ……ぷんぷん、美味しくて可愛いのも、カッコ良くて美味しいのも、普通の事じゃないか。
お得って事だよな、見た目も素晴らしくてお肉も美味しい、んふふふふふふふ、太陽に向けて手を伸ばす、届きそうだ、太陽も綺麗で美味しそうだよなァ、何時か食べたい、必ず食べたい、神様も食べたい、みんなみんなお腹に入れてなでなでしたい。
俺の肉に包まれた命をなでなでしたいっ、うひひひひ、ふふ、あははは、南の島の陽気に脳味噌がぐるぐるぐる、グロリアが無言で頭に手刀を叩き込み、ひぶっ、とても女の子が出すような声じゃない声が……睨む、視線を躱される、うぐぐぐぐぐぐ。
間近には侵食された岩で形成された長い溶岩海岸線が存在している、そこにも多くの野生生物が生息しているようだ、イグアナが日光浴をして気持ち良さそうに寝転んでいる、潮だまりには多くには巨大なカニの姿が見られる。
「じゅるるるる」
「この島の生物を捕食したら問答無用でぶん殴りますよ、あっ、こっちですよキョウさん」
「じゅるるるるるるるる」
「……ど、瞳孔が完全に……」
「おいしそ、おいしそ、おいしそ、おいしそ、おいしそ、おいしそ、おいしそ、おいしそ、おいしそ、おいしそ、おいしそ、おいしそ、おいしそ、おいしそ、おいしそ」
「こら」
ぺち、今度は頬を叩かれる、しかし異様に膨らんだ食欲をかき消す事は出来無い、しかし……んふふふふふ、振りをしないとね。
グロリアの目を盗んで何かを食べよう誰かを食べようそうしようそれが絶対に良いからそうしよう。
「うう、目が覚めた」
目が覚めた振りをする。
「そうですか、しっかりして下さいよ?」
しっかり狂ってるから大丈夫だよ?
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