閑話174・『お尻代金マン』
ふとお尻を触られた気がして振り向いた、誰もいない、グロリアは机の上の料理を大量に消化しているので俺が直接厨房に謝りに行ったのだ。
お金は出す、しかもかなり多めに……グロリアの食欲は底が無い、もしかしたら明日の営業に響くかも?だから申し訳無いのでグロリアに渡された分にさらに追加した。
祟木のお小遣いに感謝、長引きそうなので外に出る、料金はたんまり渡したんだ、これで大丈夫、流石にあの食事シーンをずっと見ているのはなァ、さすさす、お尻を触る。
「触られたかな」
『触られてたよ……え、気付いて無いのォ?』
街の明かりは生命の明かり、しかしそれが時折命を奪う、火は広がり街を焼く……しかしその火が無ければ人間は夜の世界で安心して過ごせない、生と死は常に同居している。
そしてお尻を擦りながら難しい事を考えるのは何処か馬鹿らしい………触られていたか、まあ、俺って無防備な時は無防備だしなァ、シスターに対してケツを揉む度胸、褒めて上げたい。
「うーん、思った以上に傷付いて無いぜ」
『き、傷付こうよォ、知らないおじさんにお尻を触られるなんて気持ち悪いよォ』
「しらない美少女かもしれん」
『美少女は女の子のお尻を揉まないでしょう』
「……グロリアは毎晩胸を揉んでくるぞ」
『それはそれ、これはこれ』
「尻と胸の違いか」
『他人と彼女の違いだよォ、キョウったらポンコツ過ぎて心配になるよォ』
何だか呆れられる、ふふっ、何処で呆れられたのかわからないのが辛いぜ?何だか悲しい気持ちになって項垂れる、キョウとこうして会話するのも久しぶりだな、あっちの世界に行く回数も減ったし。
キョウは何時も俺を見守ってくれているから何の心配も無いけど、しかしお尻を無断で触られたぐらいで凹むかね?
「お金を貰えば良かった」
『し、商売にしたらとうとう末期だよォ』
「でもタダで揉まれる方が嫌じゃないか?どうせ揉まれるなら代金を」
『そもそも揉まれるのがやだよ』
今日のキョウは何だかしつこい、こうなったら面倒なのは誰よりもわかっている、そして何より厄介なのは説教モードに片足を突っ込んでいるって事だ。
何も悪い事をしていないのに叱られる意味がわからない…………そもそも悪い事を『された』被害者である俺がどうして説教されているのだろうか?考えれば考える程に理不尽である。
「俺は揉まれた方なのにどうして叱られないと駄目なんだっ!」
『驚くほどに自覚が無いからだよ』
「尻を揉まれた自覚はあるぜ」
『女の子である自覚は?』
「あるから金を貰うぜ!」
『自覚の方向性っ、確かにそりゃ女の子の特権だけどもっ』
「……キョウが何を言いたいのかさっぱりだ…………タダでケツを揉まれろと言いたいのか?」
『お尻を揉まれるなって言ってるんだよォ』
「ふむ」
星空を見詰めながら思案する、しかしお尻を揉まれないとお金が貰え無いぞ?
本末転倒では無いかっ。
「お、お尻を揉まれないとお金も発生しないぜ………キョウ、何を言ってるんだぜ」
『……………ぇぇー?』
史上最強のぇぇでした、恐ろしく小さな声だけど。
侮蔑たっぷり♪
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