第338話・『ロリ母に胸揉まれライダー』
魔物を統べる存在がいるのは魔物のアタシが一番理解している、檻に閉じ込まれた魔物を全て食べるよりソレ一人を食べた方がマシだ。
瞳孔が開き切ったキョウはブツブツと囁きながら園の中を徘徊する、しかし視線が合う者には優しく微笑みかけ上品に挨拶をする、矛盾、相手は顔を赤くして大体は逃げるように去る。
キョウの容姿は美しい、あのシスターと同じ人外の美貌だがそれよりも本人の資質も大きい、無邪気でいて邪気の一切無い無垢な笑顔、近くで見ているアタシもついつい赤面してしまう、ドキドキ。
園の中は思った以上に広い、しかしアタシは歩く事はせずにキョウの腕に抱かれたままだ、重く無い?そう問い掛けるが無言のままキョウは歩き出す、こちらの会話の意図を読み取れ無いようだ。
人語を失えばさらに危険は深まるがまだブツブツ呟く内容は人語のソレだ、何処かで安心している自分がいる、あまりにキョウが『深く』狂ってしまうとアタシ一人での対応は難しくなる、それこそ女性寄りのキョウの出番だ。
「んーんー」
「んーんー言うの止めなさい、見っとも無いわよ?」
「あう」
「良い子ね、美味しい匂いはまだするかしら?」
「うんうん、こっち、こっちからする」
「………従業員用の巨大な天幕、成程ね、中心にあるアレの入口は園を一周しないと入れない……最初に寄れば良かったわね」
「全部の魔物に繋がっている匂い、あはは」
魔物使いの気配を掴んでいるのか足取りは軽い、キョウと妖精の感知能力は非常に相性が良い、さらにそこにエルフライダーの嗅覚が合わせるともう誰も止められない。
キョウはスキップをするように弾みながらクスクスと笑う、あれだけ食べたのにすっかりお腹はペッタンコだ、そして胸もペッタンコ、僅かな膨らみが女性である事を健気に主張している。
しかしあのシスターよりは確実に大きくなっている、希望はあるわね、体を寄せるようにしてその感触を楽しむ、ぽけーとしたキョウの表情、全てを何処かに置き忘れたかのような表情についつい笑ってしまう。
胸をこうやって触られても反応無しとは、流石に将来が心配である。
「キョウ?」
「むねがムズムズする」
「うっ、ご、ごめん………お、お母さんが触ってた」
「素直、止めて」
「ご、ごめんなさい」
「………盛ったらダメ」
「ひう」
睨まれる、左右の違う色合いの瞳がゆっくりと細められる、魔物達が檻の中で震えるのがわかる、しかし娘に盛るなと叱られるとはっ、ついさっきまでアタシがそれで叱らなかったかしら?
盛っているわけでは無い、親子だしね……だけどキョウの成長をこの身で実感したいというか何というか……だ、駄目ね、全てが言い訳になっている、アタシは取り繕うように微笑む、実際に取り繕っている。
母親としての威厳が急速に失われるのを感じる、い、いけないいけない。
「胸触らないでね」
「ひっ、も、勿論よ……親子ですもの」
「…………触りたいの?」
「ど、どうしてそんな事を聞くのかしら?」
意図が読み取れないのはアタシも同じだ、キョウの足取りは軽いのに言葉には重みがある、何かを疑っている?
ぺ、ペッタンコの胸がどれだけ成長したか体で実感したかったとは死んでも言えない、親の威厳が一気に失われる、間違いないわ。
「あ、ここだ、この天幕」
「た、助かった」
「?なにが?」
「…………な、何でも無い」
色々と誤魔化している時点で既にダメなような気がする……しかし中々の触り心地だったわね。
半年後にまたチェックしましょう。
「う、何か胸がムズムズする」
………一カ月後にチェックしましょう。
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