第336話・『飴玉がお母さん』
少しずつ視界がぼやけるのを感じる、魔物が巨大になればなるほどにお腹が空く。
あんなに指を食べたのに、あんなに腕を食べたのに、自重するように自分に………でも、でもお腹が空いた。
魔物が美味しいって事は誰よりも何よりも自分が理解している、理解しているからこそ偽りの空腹を訴える、お、お腹空いて無いもん、食べたばかりだもん。
だけど何処までも何時までもそれは俺を責め立てる、ツツミノクサカは全て承知と優しく微笑むだけで何もしてくれない、お、おかしい、おかしい、俺のお母さんなのに。
母乳でも肉でも何でも良いから寄越せ、誰かが叫ぶ、俺の中で俺が叫ぶ、指でも良い、味には飽きたけど、そんな事は忘れてしまった、また美味しく食べられるから指を寄越せ。
腕の中にある温もりが食欲を増進させる、俺の中から何かが溢れると檻の中の魔物達が奥へ奥へと消えてゆく、ああん、酷い、美味しそうな生き物が奥へと消える、ひどい、いじめだ。
餌を餌に取り上げられて俺は困ってしまう、おれはこまるのだ、周囲にいる人間が訝しそうに俺に視線を向ける、にっこり、お前も食われたいのか、お前らも食われたいのか、意思を伝える。
赤面させて逃げる、どうして、どうして魔物も人間も俺の近くからいなくなるのだろうか、それはとてもとても寂しい事で、とてもとても理不尽な事、そしてとてもとてもとても美味しそう。
ここまで来ると人間も魔物も同じ餌に思える………人間と魔物の区別がわからなくなる、檻の中にいるのが人間で外にいるのが魔物で?ぱちぱちぱちぱち、火花が弾ける、とてもとても綺麗だ、温もりが、美味しい、ぬくもりはおいしい。
「おかあさぁん」
「あら、あっちにはゴーレムが……ってそれ所では無いようね、こら、胸を触るな」
「お母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さん」
少し寒いかな、僅かに赤くなったお母さんの耳に口元を寄せて呟く、既に俺の腕の中なので逃げられ無い、ロリはコンパクトで良い、だからこうやって捕まえて何度も何度も名前を呟く。
体を擦り付けて耳の裏の匂いを嗅ぐ、食欲がさらに増進する、何処までも何処までも膨れ上がるソレが体から溢れる、淫靡な気配を体に纏いながらもお母さんに全てを、そう、そう、他のはいらないよ。
貴族の娘が呆然と俺達の方を見詰めている、見せつけるようにツツミノクサカの耳を噛む、はぐはぐはぐはぐ、美味しい、真っ赤になって急いで目を背けるそいつ、食うぞ、あんまり可愛い仕草をするとお腹に入れるぞ。
「あん、キョウ、盛るな」
「へこへこ腰が動く」
「こら」
「見せつけようよ、ここで食べて良いよね?人間も魔物も見てるよ、好きでしょ?」
「好きじゃ無い、交わいを人に見せる何て下品だわ、キョウ、落ち着かなくて良いからこのまま園を回りましょう」
「どうして、どうして、どうして」
「美味しい餌なら他にもあるわよ、ここの魔物を管理している奴とかね」
「いらないもん、お母さんが一番おいしいもん、指がカリカリしてて、でも柔らかくて、んふふ、また指を減らしてあげる」
「こ、こら、だから盛るんじゃないわよ……そ、育て方を間違えたのかしら、まあいいわ、可愛いし」
「可愛いでしょ?んふふ、お母さんの娘だもん」
「…………」
耳を噛むのに飽きたので頬を頬に寄せる、プニプニしていて気持ちいいなあ、お母さんがロリで良かった、良いロリで良かった、ふふ、悪いロリだったら全て捕食している。
でもこれは良いロリなので全部食べない、指を食べるか調子に乗って腕を食べるぐらい、どれも白くて甘くてお菓子のようだ、歯で肉の繊維を引き裂く感触を思い出して胸がときめく。
「キョウは可愛過ぎるわね、へ、変な男に絡まれないか心配だわ」
「からまれないよー、ほんとだよー」
「お母さんに嘘を言うんじゃありません」
「ほんとだよー」
あまりにしつこいと一部を出して黙らせるし、ば、化け物とか言って逃げるし、男の肉は硬くてまずい、だから女がいい、出来るならロリがいい、俺はまだ赤ちゃんなので離乳食が一番なのだ、離乳食はロリ。
あれ、ロリが食べるのが離乳食でロリは離乳食では無いような気がする、あれれ、檻の中の魔物を見詰めながら舌で唇を舐める、絶叫しながら逃げ出す魔物、魔物を観賞していた客も唖然としている。
ぐるるるるるるるるるるる、くるるるるる、喉が鳴ってお腹が鳴る。
「ほんだとよ、男の人は怖いから、お母さんが護ってねェ」
「わ、わかりました」
「ふふ、耳の裏良い匂い、盛っちゃう」
「…………餌は探してあげるから我慢なさい」
「飴玉代わりにお母さん舐めてて良い?」
「やめなさい」
「そうしないとあそこの男の人を誘っちゃうよ、出来るだけおバカっぽく」
「な、舐めなさい……だから、男の人をそうやって物色するのは止めなさい」
「はーい」
飴玉おかあさん。
んふふ。
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