閑話170・『これが正しい、これが正解、でも本当は不正解』
「そ、その話は本当なのでしょうか?」
「ああ、お前の師匠にレ○プされそうになったぞ、最終的には絵本を読んで貰って終わったけどさ」
「死にます」
「待て待て」
取り敢えず相談するにしても身内では無いと話し難い内容だ、俺の一部であり墓の氷の弟子でもあるササを具現化して先日起こった事件の概要を話した。
そういえばこいつ等が師弟である事は情報として知っているけど実感としては無いよなあ……昔のササのあの狂人っぷりと墓の氷の高飛車っぷりがどうも交わら無いつーか、どんな師弟関係よ?
「ササってさ、墓の氷に師事してたって聞いたけどさ、どんな感じだったの?」
「………神様、今夜の月は青くて大きいですよ」
「あ、うん………いきなり襲われたから手首に痣が出来ちゃった」
「まあ、師弟でも殺したり殺されたり出来る仲なのでご安心ください」
「え、その文章の何処に安心があるの?」
もしかしてササの残忍性って師匠譲りなのか??……クスクス笑うササが怖くて後ずさる、は、墓の氷大丈夫かな?俺の中で喧嘩しないで欲しい、墓の氷からの一方的な愛情は垣間見えていたが弟子は弟子で容赦無いのな。
俺の痣を見詰めながら目を細める姿は野生動物のソレだ、ごめん、しかし師匠のレ○プ未遂を相談される弟子ってのも思えば可哀想な役割だな、少しだけ反省する、麒麟は麒麟で発狂するほどキレてて逆に俺が冷静になった。
麒麟を具現化したら宿が焦土になりそうなので止めた、しかしササもぷんぷんして可愛い、ぷんすこして可愛いぜ、ベッドの上に転がりながらどうしたものかと溜息を吐き出す、まあ、弟子にお灸を据えられるのも良いだろう。
「こんぐらいの痣、何て事は無いぜ、あまり師匠を苛めるなよ」
「はい♪」
「清々しいぐらいに良い返事なのが逆に恐怖だぜ」
「はい♪」
「墓の氷だって悪気があったわけじゃねーからさ、お、俺が可愛過ぎるのが、なんてな」
「はい♪」
「こ、殺しちゃヤダぜ?」
「………神様、今夜の月は青くて大きいですよ」
「うん、さっき見た」
「…………神様の方がお美しいです」
「あ、ありがと」
しかし墓の氷はこれから先どうなるのだろうか?ササは怒らせると怖いからな、念仏でも唱えながら無事を祈るしか無いな、ありがとう、そしてさようなら。
「しかしアレだな、ササは俺の事を襲わないのな」
「あり得ません」
「そ、そんなに魅力無いかな、俺」
「そ、その返しは予想出来ませんでした」
瞳が戸惑いで揺れる、丸みを帯びた大きな瞳は様々な『魔眼』を溶かして一つにしたもので黒目の部分は円状に虹色の色彩になっている、カラフルな色彩と異様な『興味心』を含んだ瞳は他人から見ると不気味らしい。
しかしササは俺自身だ、綺麗な瞳だぜ?
「ササだったら襲われても抵抗しないぜ、あはは」
「ご、ご冗談を」
「本気だけど?」
「…………………な、情けない事に勇気がありません、お、襲って下さいますか?」
「お、おう」
何だか変な展開になったが楽しかったぜ、墓の氷よ。
ササを見習え。
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