第326話・『あそこを見せ合う程度には仲良し主人公×ヒロイン』

「キョウ、すき、すき」


グロリアに呼び捨てにされるのは大好きだ、自分がグロリアのモノになれたようで凄く嬉しい、行為が終わっても好意は消えない。


まるで幼子の声、ふぁ、欠伸を噛み殺しながらグロリアの髪を撫でる、さらさら、一切の抵抗が無く指の隙間に流れ落ちるグロリアの銀糸の髪。


シーツを取り換えに来た宿の人間がドアの前で引き返すぐらいには盛り上がっていたぜ、頬に何度もキスをされながら幼い笑みをするグロリアを抱き締める。


「つーかオイ」


「どうしました?」


「ぜ、全身にキスマーク、オイ、どうやって今日出歩くんだ?」


「私もキョウさんに、ホラ」


グロリアの白磁の肌にも俺が刻んだ愛の証があちこちにっ、シスターの肌は繊細で透明で白い、産毛すら無いような人外の肌は容易に愛の証を刻む、しかしそれは状況によるぜっ。


二人揃ってお互いにキスマークをっ、一切の穢れの無いはずのグロリアが俺の唇で汚されている様を見て何だかドキドキする、グロリアが恥じるように体を隠す、シーツ波打ち赤い海が広がる。


あ、改めて見ると凄いな、麒麟のキスマークを奪い去るように肉ごと引き千切ったグロリア、普通の人間だったらあの世行きだ、は、初めてエルフライダーで良かったと思ったぜ?ふふふふふ。


腰を叩きながら呆れる、いたたたた。


「キョウさん、おじさんっぽい」


「いたた、あそこも腰も痛い、腫れてない?見て」


「うーん、綺麗なままですよ?」


「もっとちゃんと見てよ」


「え、襲われたいんですか?これだけやったのに」


「腫れてるか見てって言ってるだろうがっ!全く、盛った猫じゃねーんだからさ」


恥じらいながらも股を開く、グロリアがジーーッと見詰めた後にニッコリと笑う、わ、わかりにくい反応だぜ、換気の為に窓を開ける。


何とも言えない二人の匂いが部屋に充満している、この匂いをどうにかしない限りグロリアがまた盛りそうだ、太陽の日差し、もう昼か?


行為に夢中になっていたのでわからなかった、疲れもあってか何度か記憶が飛んでいる、す、少しはそのお陰で休めたかな?髪を梳いているグロリアの横にぽすんと座る。


「腫れてた?赤くなってた?」


「可愛いままですと答えましょう」


「か、可愛いか?うーん、わからん、グロリアのは綺麗なのにな」


「あ、改めてまじまじと見ないで下さい…………」


「グロリアだって俺のを何度も見てるじゃん、見せて」


「はぁ、あの純真なキョウさんは何処に行ったのでしょう」


グロリアに言われたく無いぜ、無毛なのは俺と同じだなァ、やはりシスター同士、ほぼほぼ同じだがグロリアの方が綺麗に見える、ホントは差異なんて無いんだろうけど惚れた女だからかな?


ぽんぽん、グロリアが太ももを叩いて俺を誘導する、むちむち、頭を置くとむちむちっ、そのまま髪を櫛で梳いてくれるのだが俺の髪は癖ッ毛なので大丈夫かな?だけどグロリアは優しい手つきで俺の髪を揃えてくれる。


何でも上手なグロリア、当たり前のように何でも出来る、だけど嫉妬したりするのは下手、嫉妬に上手も下手も無いだろうと呆れながらもやっぱり下手だなァ、うとうとする。


「お昼は外で食べましょうか、宿の食事は味気無いので」


「うん、でも、これっ!このキスマークっ!二人とも……どうする?」


「このままで良く無いですか?」


「良くねぇわ」


「二人が仲良しって、みんなにわかるのに、どうして?」


「ぐ、グロリアぁ」


からかっているわけでも冗談を言っているわけでも無い、グロリアは本気でそう言っている、変な所で純粋で子供っぽいので対応に困る。


は、恥ずかしいだろうがっ、お互いにキスマークっ、二人がシタって事があからさまにわかる、それなのにグロリアは不思議そうに首を傾げるだけ。


その真っ直ぐな好意が嬉しくて、時折怖くなる―――――村を出た当初に俺がグロリアに向けた真っ直ぐな好意、それを今はグロリアが俺に向けてくれる事に恐怖を覚える。


嬉しいのに。


「わ、わかった、一緒にお出掛けしよう」


「わぁ、嬉しいです♪」


「はぁ」


でも逆らえない、大好きだから。


愛しているから。

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