第318話・『仙人ロリは今日もキョウにロリロリしい』

高度は低いが頂上は広い、麒麟は疲れも見せずに周囲を警戒している、俺は何時までお姫様なのだろうか?


抱っこされるのは子供扱いされているようでうーむ、唸って見るが麒麟の愛情を確かに感じれる行為に身を任せようと思う。


錬金術は俺も扱えるが錬丹術は流石になァ、麒麟は少々扱えると言っていたしこの大陸の外では割とポピュラーなのかな?この大陸では錬金術師は貴重だけどさ。


ササの行っていた人体実験を思い出して軽く吐き気を催す……お、思い出したくないぜ、錬丹術もソレに近しいのだろうか?うーん、いや、それよりは歪では無く人体や自然に身を任せる形で行使する術だ。


不老不死の仙人に昇華する為に必要な霊薬の仙丹を生み出す為の分野だ、仙人、ざーざーざーー、あ、れ、急に情報が開示される、その力と情報が一気に流れ込んでくる。


こ、これ、誰の記憶?顔を蒼褪めさせて体を丸める、だぁれ、知らない一部の情報と力に狼狽える、こ、こんな能力を持った一部を俺は知らないぜ?こわいこわいこわいこわい、でも、すき?


「な、何だ、変な一部が、俺に、情報を、せんにん、仙人」


「ご主人様、どうやらご主人様の中に我の故郷の大陸に住む高位の仙人の一部が―――何時、何処で」


「わ、かんないや、わかんない、きりんん」


「はい、大丈夫です、情報の処理は我と一部がしますのです……ご主人様は我の腕の中で可愛く震えていて下さい」


「ぶ、不細工になる」


「なりません、我がご主人様」


「うぅううう、へ、変な一部、こわい、しらないしらない、早く、はやく眠って」


『―――――どしたん?ふふ』


「ひっ」


声がする、俺の中で俺では無い少女が、いや、俺だ、俺の一部なのにこんなのしらない、しりたくもない、だめだぁ、自分の背中から奇妙な性器が生えているような奇妙な違和感、そう、こんな一部、こんなの、体にあったかな。


ないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないない、あるよ。


ひいいいいいいいいいいいいいい、忘れたらあかんよ忘れたらあかんよ忘れたらあかんよ忘れたらあかんよ忘れたらあかんよ忘れたらあかんよ忘れたらあかんよ忘れたらあかんよ忘れたらあかんよ忘れたらあかんよ忘れたらあかんよ、あかんよ?


俺の声、きみのこえ、だれのこえ、きれいな瞳、白菫色(しろすみれいろ)の波打つ髪、真っ白な道袍、雲履と呼ばれる下履き、幼女、墓夢盧はむろ)だ、はむろ、はむろ、おれをまもってくれる、やさしいせんにんさまだよ。


「いたたたっ、うぅ、何だったんだ、いたいぃ」


「かなり高位の存在ですね、仙人として自分を律していただけで神への誘いもあったやも」


「しらん、こんないたいやつしらん、しらんしらんしらん、きえて」


「……この者はご主人様の為に何かを―――」


「いらないもん、おれにはいまのいちぶがいるもん!だからこいついらないもん!こいつののうりょくいらないもん!」


「ご主人様」


「きりんがいるからいいもん!」


「あ」


「だから、こいつはやくしまって、しまってええええええええ、いたいのきらいだもん、いたいのこわいもん、やだやだ、ちゃんということをきいてよ」


「わ、わかりました、すぐに封じます」


「はやくしてっ」


『人工仙獣(じんこうせんじゅうが)来る、はよ、避けな、今の一部ちゃん』


誰かが、誰かが、誰かがおれではなく、おれのきりんにめいじる、きりんにめいれいできるのはおれだけなのに、俺だけなのにっ。


墓夢盧、はむろ、どうして、おれをたすけてくれるの、おまえをわすれてこわくていたくてつらいよ、おれのおくに、おくにいけ、そうおもうのに、たすけてくれるの。


のうりょくとちしきだけあたえて、きりんにめいじて、あああ、あ、おまえはきえるのだ、やだ、きえたら、おれのいちぶはおれとずっと。


『任せるで、今の一部』


「ちぃ、消えたかっ、ご主人様を苦しめるだけでは無く救うのかっ」


景色が一転する、麒麟が俺を抱えて高くジャンプする、地面から何かが這い出て来る。


醜い何かが。


「はむろ」


お前は逆に俺の中に戻る。


ごめ、んなさい。

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