第310話・『おっぱいと化石ならおっぱい』
石灰岩は石灰質の殻をもつ生き物の遺骸が海底に長い時間を得て厚く堆積して発生したものだ、それは水分に弱くすぐに融解する。
命の残骸が海底で新たな形を得て命の恵みである雨でさらに変化する、死んでも永遠にこの星で利用され続ける、それは当たり前な事で自然な事だ。
妖精の感知を使って周囲の気配を探るがおかしな気配は無い、やはりあの山から不気味な気配がするだけでそれ以外におかしな気配はしない、魔力は無いが妖精の感知には引っかかる?
ユルラゥの優秀さに素直に感心する、土壌の発達が極端に少ない大地に生い茂る植物はある程度の法則を持っている、岩盤中の浸透水も流れやすい大地には森は生まれずに草原が広がる、カルストの大地は保水性が悪い事で有名だ。
しかしそれならそれで繁栄する植物もある、風によって到来した別の大地の土は長い年月で蓄積して土壌化した赤茶色の大地が僅かに見られる、そこには木々も生い茂り森とは言えないまでも中々に立派なものだ。
温暖湿潤な気候が到来した土を乾燥させずにこの大地に根付かせたのだ、小動物が行き来する様子も見られる、ここで狩りをすれば腹は満たされる、あの小さな山の意味を見失うほどに植物や動物の楽園と化している。
そこでまた疑問が浮かぶ、あの謎の獣は食料の少ない人里へと足を運んでいた、だけど反対側にあるこの大地には食料が溢れている、だったらどうしてあの村へ?……人間に出会う為に?野生の獣が?馬鹿馬鹿しい。
しかし真面目に考えるとそれしか浮かばない。
「不思議な獣だな、そして不思議な村人、両方とも暮らすならこっちだろ」
「どちらも似たようなモノですね、ご主人様、お体は―――」
「へくち」
「…………抱き付いていて下さい、この身は幼体なので体温は高いので」
「お、おう……麒麟は聖獣だから幼獣が正解じゃね?何時か大きくなるのか?」
「どうでしょうか、ご主人様の望むように」
「おっぱいは大きくなって欲しい、俺の一部はロリばかりでペチャパイばかりで何か寂しい、何かわびしい、泣きたくなる!」
「ど、努力します」
「弄ったら大きくなるかな?俺がグロリアにされたように」
「ひゃん!?」
「んふふ、可愛い♪」
岩肌に寄って観察を続ける………石灰岩にこれでもかとびっしり収まった化石を調べる、フズリナが一番多いか?その他には珊瑚やウミユリの姿がある、腕足類、三葉虫、アンモナイト、二枚貝、巻貝など古代に生息していた生き物がそのままの姿で存在している。
ササと祟木の知識を読み取りながら苦笑する、ふふふ、これは学者に売れるだろうなと思う反面、この景観を維持した方が将来的には稼げるだろうなと冷静な自分がいる、グロリアの悪い癖がどうやら俺に移ったようだ、オレンジ色の空が何処までも広がっていてとても綺麗だ。
「あの変な獣、もしかして古代の生き物なのかなァ?」
「ひゃん!?ひゃん?!」
「んふふふ、答えてよォ」
「ご、ご主人様ァ、お、お許しを、お許しを」
ローズクォーツ、美容の秘薬とも呼ばれている女性の美しさや一途な愛を彷彿とさせる鉱石、紅水晶とも呼ばれていて美しい色合いで人々を楽しませる、そんな桃色の薔薇と同じ色合いの瞳が涙目になって俺を見上げる。
潤いを持った鉱石は無機物から生物へと変化する、俺はほぼ無いぺちゃぱいを弄りながら許しを請う麒麟を無視する、俺が俺のモノで遊んで何が悪い、こんなものは単なる自慰行為の延長でしか無い、麒麟は俺だものな、俺は麒麟だもの。
額にも二つの瞳が存在している、四つの瞳、今は人里では無いので人外の証のソレが大きく開かれていて気分が良い。
「許さない、ぺちゃぱい、どうして大きく無いの?」
「あうぅ」
「ふふ、空の上で胸を触られて感じているだなんて恥ずかしい獣」
「お、お許し―――」
「催した、大地に降りろ」
声が何処までも冷たくなる、心が何処までも鋭利に尖る。
ぐるるるるる、お腹空いたァ、お腹空いたァ、ねえ、麒麟?
「み、御心のままに」
ねぇ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます