第289話・『舌先で俺の名を刻む、これ、俺の』
キクタを殺す、キクタっぽい何かを殺す、二人で仲良く殺す、幼馴染二人で幼馴染の紛い物を殺す、それは何て素敵な事で何て無敵な事なんだろう、でも素『敵』も無『敵』も結局は『敵』だよね、それがわかるよ。
透明な触手を刺し込んで呵々蚊の頭の中を弄るよ!幼馴染を俺にオレにおれにするのは楽しいよ、抵抗は無い、呵々蚊は俺の事が大好きだから抵抗はしない、調整をしないとね、キクタモドキを殺すまでに調整をしないとね、しっかりね。
全身を震わせて瞳を大きく見開く俺の呵々蚊、涙が血涙になるまでちゃんと弄るからな、白目の部分に充血した血管が浮かび上がりとても素敵だね、雨の日に水溜りで溺死するミミズのようでとても綺麗だと思うよ、もっと太いミミズが見たいなァ。
砕けた膝、優しく抱きとめる、お腹一杯なので俺のお腹に呵々蚊の体重が、うぅうううう、吐きそうになる、その綺麗な顔に死肉のゲロをまき散らしても良いかな、瞼の裏で光が弾ける、互いにガタガタと震えて股を濡らしてどうしたの、バカなのかな。
キクタを殺せキクタを殺せキクタを殺せキクタを殺せキクタを殺せキクタを殺せキクタを殺せキクタを殺せキクタを殺せキクタを殺せキクタを殺せキクタを殺せキクタを殺せキクタを殺せキクタを殺せキクタを殺せキクタを殺せキクタを殺せキクタを殺せ。
呵々蚊の中には醜いそれこそゲロのような嫉妬がある、俺を奪われた、そうか、キクタにか、そこの殺意と憎しみに火を灯してやる、ついでに藁をぶち込む、油をぶち込む、風を送る、大炎になれ、大きい炎になれ、燃え上がれ嫉妬と憎悪の綺麗な炎、ひひ。
体を折り曲げて上手に呼吸が出来ずに悶絶する呵々蚊、髪を掻き毟ろうとするのでその腕を掴む、発狂、過去の嫉妬と憎悪を現代に蘇らせる、いいんだよ、俺の前ではキクタに素直に嫉妬しても、そんな事で嫌いにはならないよ?ふふ、小さい奴、そうやって見下すけどさ。
触手の数が足りないかな、やはりそのキクタモドキを見逃したいって無意識の俺が俺の能力を奪っている、だからモドキだから殺していいんだよ、邪魔だな、回線もまだ、俺の大好きな一部達は静かに眠っている、早く殺してみんなに会いたい、早く殺してみんなとえっちしたい、くふふ。
おれのぐんだん。
「どう、殺せそう?キクタの姿をした敵を問答無用で殺せそう?殺せそうになったらちゃんと片手を上げて返事をするんだぞ、触手を抜くからね」
「ぁぁ、き、キクタは、たいせつな、おさななじみ、おさななじみ、きょうと、さんにんで」
「俺だけにまだならないか、触手を増やそう、どんどん増やそう、オラオラオラ、もっと食え、もっと俺の事を好きになれ」
「ひぃあああああああ、も、もう、ずっと前からキョウの事を愛しているからぁああ、き、キクタの、キクタの事はっっあ」
「それじゃあ足りないってんだよ、ボケ、ロリ」
「きぃいい」
足りないんだよ、俺はどれだけ愛されても足りないのに俺が大好きなお前に少々愛された程度で足りるわけねぇんだよ、愛されたい、じじっ、ハエか?ハエの羽音、ああ、食べたウジ虫が蛹になって羽化して脳味噌の中を飛び回っているのか?
じじじじっ、キクタと一緒に出て行ったのに、だから今だけキクタを忘れて俺の呵々蚊になってよ、お願いだから、俺だけの呵々蚊になってよ、頼むから、ねえ、レイとも仲良しだったよね、レイ?誰だ?ねえ、ねえ、ねえ、俺だけの呵々蚊でいてくれよ。
おれだけのおれだけの、おれだけの、おれをもうおいてかないって、おれをもう、おいていかないんだよね、だったら、証拠、証拠を見せてよ、俺をもう見捨てないって、俺を置いてもう行かないって、キクタと二人で行かないって、ひとりはやだよ、やだやだ。
やだもん、だからね、証拠がいるの。
「もうキクタと一緒にお出掛け出来無いようにね、キクタを殺そう♪」
「き、キョウ、キョウ、キョウ、そこにいる?!そこにいる?!ぁああああああああああ、わかった、わかりましたあぁああああ、もうキクタと一緒には」
「旅をしない、ほら、言って」
「旅をしないですっ、旅をしない、絶対にしない、呵々蚊はずっと、ずっとぉおおお、きょうといっしょですうううううううううううううう」
「触手を増やそう」
「ぁぁああ、な、なんでっ」
「うるさい、気分だ」
紫檀(したん)や紅木(こうき)のように赤みの強い紫黒の髪がサラサラと肩に流れる、それを掴んで視線を合わせる、蜘蛛の巣に囲まれた異様な世界で確かな愛情を伝える、ぶちぶちぶち、髪が千切れる、これもまた愛情、奪う愛情。
眉の上で一文字に切り落とされた前髪、腰の辺りで同じように直線に切られた髪、それもまた口調とは別に整然としていて生真面目な雰囲気を見る者に与える、だけど人懐っこいし良く喋る、その人懐っこさは俺だけに向ければ良いんだよ。
暴れるので抱き締める、全身から具現化した触手を刺し込んで感情をさらに暴走させる、何度も何度も何度も何度も何度も俺を失ったあの日を思い出させる、呼吸困難、しらん、お前は俺をもっと思い出さないと駄目だ、俺が死んだ事実を。
ロリ臭い匂いを嗅ぎながら頬を舐める、舌先で俺の名を頬に刻む、これ、おーれの。
キクタのじゃない。
「ちゃんと、今度は俺の所からいなくならないでね?その証拠にこの先にいるキクタモドキを殺してね」
「殺す、キョウを困らせる、あ、キョウから呵々蚊を奪うキクタは―――――――殺すナー、くふ」
「良い仕上がりだァ」
俺の呵々蚊にちゃんとなったじゃないか。
よし、行こう。
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