第282話・『ロリババア幼馴染はあそこを褒める、褒め返す』

何だか少しつまらない、魔剣の魔物の弱点を見付けてさあこれからって時に呵々蚊が全てをねじ伏せる。


俺に敵対する存在を全て敵視するような圧倒的な振る舞い、殺意、過保護過ぎる?どうしてそんなにも俺を護ろうとするの?


何だかつまらない、本当は俺が倒したいのにっ、だけど呵々蚊は怪我をしたら大変ナーと俺を女の子扱いして何もやらせてくれない、首が飛んでも修復するぜ?


「………さ、最後のボスは俺がやるぜ」


「ふふふ、出来たら良いナー」


「俺だって戦ったら強いんだぞ!それこそ呵々蚊よりなっ!」


「あ、こっちに階段あるナー」


「大人の階段か?」


「普通の階段ナー」


冷静に返されて項垂れる、過保護過ぎる、キクタがもう一人いるような違和感、お姫様扱いされるのは好きだけどここまでお姫様扱いされると少し動揺する。


へ、辺境で育った俺はちゃんと自分の事は自分で出来るぜ?そりゃ見た目はお姫様だけど割と色々出来るんだぜ?ぷくぅ、頬を膨らませて呵々蚊を睨むが涼しい顔で流される。


「少しずつ思い出して来たナー、黒幕も大体予想出来るナー」


「黒幕、クロマクってカタカナだとグロ○ン見たいで少し怖い」


「キョウのあそこナー?」


「はぁああああああ?!超絶綺麗なんだけどぉ!?しかも無毛だぜっ!跪け!」


「そうやってからかわれる事に過敏に反応するのなら最初から下ネタをぶち込まないようにナー……き、綺麗なのは知ってるナー」


「呵々蚊のも綺麗だぜ!」


「あ、ありがとぉ」


顔を真っ赤にして怒鳴るようにして伝えると呵々蚊の顔も面白い程に一瞬で真っ赤に染まる、もう少しで最上階だぜ、急勾配の石段を登りつつ呼吸を整える。


魔剣の糸は最上階に続いている、軽く指で触れてみても干渉して来る気配は無い、魔剣にのみ干渉する特殊な糸のようだ、しかしこの魔力、覚えがあるな。


誰の魔力だったっけ??首を傾げる、物凄く覚えがあるようなのに全く思い出せないぜ、呵々蚊は黒幕はわかったって言ってるし、ここは任せて見るか?ふふん。


連子窓から外を見る、ガジュマルの化け物が塔を覆っているのは確かだが僅かに隙間もある、夕暮れに染まる古都は何処までも神聖で何処までも美しい、綺麗だぜ。


ラテライトで巧妙に築かれた分厚い周壁の四方に門がある、入口は一つじゃ無いのか?この高さで無いと確認出来無いように魔法で処理されている?帰り道も確認しとかなきゃな。


「ここにいる魔剣のボスを倒したらやっとグロリアに再会出来るな、それと謎のエルフだっけ?」


「大丈夫ナー、その二つは一つだからナー」


「え?………そうなのか?………すげぇ楽じゃん!一石二鳥!」


「喜ぶポイントがややおかしいような気がするけどそうナー」


「倒したら一緒に帰ろうな!」


「う、うん、一緒に、キョウと一緒に帰るナー」


「ど、どうした?呵々蚊?」


「いっしょに」


花咲く笑顔、あまりに眩しくて視線を外す、何がそんなに嬉しいのだろうか?呵々蚊と一緒に帰る事は当たり前なのにっ!呵々蚊は俺の一部だから当たり前なのにおかしい奴。


回線が復活したらキクタに聞いてみよう、呵々蚊の事はキクタに聞くのが一番だしなっ、赤みをおびた煉瓦の壁に手を当てて胸に触れる、ドキドキしている、動機が激しくなる。


へ、変態でストーカーだった癖にどうしてそんな綺麗な笑顔をするんだぜ?


「え、笑顔も俺の方が可愛いからなっ!調子のんなっ!」


「それも知ってる」


ナーって言わないで俺の頬を指で撫でて薄く微笑む。


お、王子様かこいつ……ロリの癖にっ、戦慄だぜ。

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