第260話・『愛でた死愛でた死』
ガキを食うのは簡単だ、柔らかい肉はすぐに噛み千切れるし柔らかい骨はすぐに噛み砕ける、部位によって味は違うが全体的にミルク臭い。
感謝と感動を言葉にしながら食われているのは面白かった、エルフってみんなこんなのなの?小指を噛みながら不思議に思う、食べられているのに幸せだと言っていた。
捕食されているのに幸せって不思議だよな、きっと痛いと思う、きっと苦しいと思う、きっと無念だと思う、それを上回る感動があるって事か?姉妹の殺し合いも済んだようだ。
死んだ方は俺のお腹に孕ませてまた産んでやろう………気配を探るとどうやら妹の方だ、可哀想に、結局は姉に勝てないのか?あれだけ愛して恋をさせてやったのに愚かな奴、すぐに再生させてお姉ちゃんより強くさせてやる。
くふふふ、ついつい笑ってしまう、久々利拿に戻れと口にするとモジモジしながら俺の胸に触れる、ずぶうぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ、形容し難い音、表現し難い音、お前と妹殺しを完遂させた姉はまだ会わせない、お前達は両方とも俺のモノだ。
嫉妬している?自分自身の感情が理解出来ずに首を傾げてしまう………お前達はそうだ、一生会わせない、ずっとずっと会わせない、そうしたら二人とも俺のモノだろう?ふんふん♪ついつい楽しくなってスキップしてしまう、あわせなーい。
「ああ、キョウ、ここにいたのか」
「ああ、見付かったか、山小屋ぶりだね、元気だった?妹はちゃんと殺せた?」
「殺せた、褒めてくれ」
グシャグシャに潰れて土と一つになった肉塊、これを頭部とは認識出来無いわな、それを投げられて受け止める、血と泥水が合わさった汚水が地面に広がる光景に目を細める、ほうほう、そのまま自分の中に収納する。
生き返らせてやるから安心しろ、良く姉妹でちゃんと殺し合いが出来たね、お前が俺の事を愛しているってわかったよ、そこに嘘は無いんだな、恋い焦がれて顔面を潰されてもお前はこうやって戻って来てくれた、愛おしい。
大好き。
「おう、良く殺せたな、出来ないかと思っていた」
テレルルを見詰めながら笑う、灰色狐の細胞を使って変化したようだが元の人型に戻っている、全身に火傷の痕はあるがすぐに回復するだろう、麒麟の電光は全てを焼き尽くす、俺の細胞を持っていてもかなり辛いだろうに。
どちらが勝とうが別に良かった、どちらかに肩入れしたわけでも無い、仲の良い姉妹が俺の為に殺し合うのが見たかった、丁度ガキを食べてお腹も一杯だ、精神も落ち着いている、おいでおいでするとテレルルが素直に寄って来る。
俺を監禁して満足していた戦士の少女、真面目で一途で健気で賢い、その全てを根こそぎ奪ってやった、愛していた集落はこいつが自ら壊した、俺への愛情を示すものだとしたら否定出来ない、こいつは俺を愛している、だから妹の頭部を俺に投げた。
泥塗れの頭部を。
「お前が逃がしたエルフを捕まえて食ってたんだ」
「そ、それは悪い事をした……全て尾で捕食したと思っていたんだが」
「ばーか」
「ああ、そうだな、全面的に私が悪い、悪い、すまなかった」
「おたんこなす」
「げ、下品だぞキョウ!そもそもそれは遊郭の――――」
「うっさい、ばか」
「っっ…………ご、ごめんなさい」
「サエズリって女の子だけど知っているか?最初は抵抗したけど少し顔を寄せたら恍惚としてすぐに食われたぞ、面白い」
「ああ、あの子は頭が良いからな、すぐに理解したんだろう……キョウに食べられることが正解だって」
「お前の妹の方が苦労したぞ、口説き落とすのに割と手間だった」
ふふんと笑う、テレルルも何処かおかしそうに笑う、あれだけの死闘を演じたのにそれを感じさせない笑顔、妹を殺したのにその笑顔はどうなんだ?
まあ、俺がさせたんだけどな。
「さて、行くか、また妹を再生させたら殺し合いをさせてやるからな」
「キョウは私達姉妹の殺し合いが大好きだな、ふふ、我々のお遊戯は楽しいのか?」
「楽しいよ、だって両方とも俺の事が大好きなんだもん」
だから何回だって俺を楽しませて欲しい。
姉妹の死舞いをずっとずっと提供してね?
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