閑話163・『二人とも甘えたがりで甘え上手』
涼しげな青い湖面、その周りを囲むような小さな建物が幾つも並んでいる、風光明媚な街、自然と人工が仲良く調和している。
何時もの湖畔の街でキョウに甘えている、水面を見詰めながらキョウの膝枕の上に頭を置いている、幸せ!!キョウはグロリアの事で俺を叱ったりキョロの事で俺を叱ったり最近忙しいよな。
甘えるように頬を太ももに擦り付ける、スレンダー美人っ、もっと肉食えよと言いたくなるがそもそも俺自身だしな、俺が肉を食うしか無いのか、エルフの肉を大量に食うしかねーか。
「エルフ沢山食べるからな、安心しろよキョウ」
「ん?邪悪な感情をビンビン感じるけど突然どうしたのかなキョウ?」
「お前の太ももが、もう少しムチムチになれば良いと思う俺からの優しさ」
「そぉ、んふふ、このこのー、生意気ぃ」
「や、にゃめろぉ、きゃわいいおれのきゃおがぁ」
「こんな事で不細工にならないから大丈夫だよキョウ、よしよし、今日も可愛い、エルフのお肉を食べるのは賛成だけどねェ、太る太らない以前にあまりに餌が少ない」
「だよなぁ、もっと食べたい、エルフを沢山食べてエルフのお墓を沢山建てたい」
「へえ、どぉして?」
「んー、建物とか、物作りは好きィ」
「んふふふ、だからお墓を?キョウは壊れているけど可愛いねェ、ふふ」
「壊れても直す!えへへ」
遥か向こうに見える岩塩鉱山を見て思う、そうだ、死んだら塩も必要だよな、ふふ、きっと満足の行く死に方じゃないから、塩で清めてあげないと、俺っておかしくないだろ?
海の無い地域では白い金と言われる程に塩は重宝される、あそこの山々の全てが岩塩鉱山なのだ、エルフを沢山食べたら沢山お墓を建てて沢山塩を撒いて、ふふふ、ちゃんと出来るもん。
「エルフを供養してあげるのぉ、餌だけど、そのままじゃ可哀想だろ?ねえねえ、俺って優しい?」
「優しいね、餌に対してそこまでしてあげるなんて、きっと良いお嫁さんになるよ」
「くふふ」
「キョウは何時でも可愛くて正しいからねェ、でもキョロを信用し過ぎるのは駄目だよォ?」
「髪撫でて」
「はいはい、キョロはこの体を欲しがっているんだからねェ、私とキクタが見張っていても隙を狙ってキョウの前に現れるだろうし」
「良く来るよぉ、ふふ、キョウの事が嫌いだから俺と二人っきりになりたいんだって」
「知ってるよォ」
キョウは怒らない、明確にキョウの事が大事だと伝えてから怒らなくなった、産まれた時から俺と一緒にいるのにどうしてそんな事が不安なんだろうか?
キョロの事は嫌いでは無い、グロリアが与えてくれた俺だし、でもキョウは違う、俺が俺だけの為に生み出した俺だけのキョウ、こうやって甘えると幸せな気持ちになる。
こんな気持ちになるのはキョウだけだ、それを伝えるとキョウは柔らかい笑顔を浮かべる、キョウがこうやって優しく微笑んでくれるのは俺だけだ……自分自身だけだ。
俺とキョウは自分自身、俺とキョロは自分自身、でもキョウとキョロは自分自身では無い、それがこんな関係性を生んだのか?耳の裏側を指でカリカリされると変な声が出る。
「キョロはキョウをこうやって、愛でたり」
「ひゃう」
「可愛がったり」
「あうううう」
「愛したり」
「のああああ」
「そんなポジションを奪いたいんだよォ、んふふ、キョウはそれをわかってないねェ」
「?わかってるよ、俺がこうやって甘えるのはキョウだけだもん、キョロもキョウもそれがわかってないだけ」
「っっ、そ、そぉなんだァ」
赤面するキョウ、キョロの事でキョウが不安になっているのはわかる。
だから素直に愛情を伝えよう、メロメロにしてやる。
「め、メロメロにしてやるぜ」
「キョウ、それは言ったら台無しの奴だよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます