第248話・『キョウちゃんの正論は正論なので正しくて論じる必要は無い』

恋する少女は美しい、俺の為だけに恋をして俺だけの為に壊れる様は面白い、三日三晩口説いた、口説いて口説いて口説きまくった。


心の傷を抉りながら何度もそこに泥を塗り付けた後に塗り薬だよと嘘を吐きながら何度も何度も、そうやって出来たのは俺に恋をする素敵なエルフだった。


能力を使わずに普通に恋をさせた、恋ってなんだっけ?ずぶぶぶぶぶぶぶ、二匹を体内に引きずり込

騎乗動物では無く妹で殺そう、俺は互いに想い合っていた姉妹の殺し合いが見たいのだ、片方は俺の能力で俺に恋をさせました、片方は能力を使わずに俺に恋をさせました、みたいみたいみたいみたいみたーい。


どちらの愛が強いのかみたーい、あはははははははは、後者、妹の愛が勝ったら純愛って素敵だなーって思う、んふふふふ、どうなるかな、お互いに今の心境ってどうなんだろうか、どうなるんだろうか。


『キョウ、楽しそうだね』


「キョウ!見ててくれたか?俺ってちゃんと出来るだろ?あはははは、頭いいーからなーおれー」


『キョロにかなり計画を変更させられたねェ、キョウが頼りにするから、キョウが無駄に信用するから』


「うっ、で、でもでも、あいつは悪い奴じゃないぜ、俺だもん」


『私が消そうとしてたの、言う必要があった』


「き、キョウぅ」


『―――私よりキョロが大事なのかな?』


鋭利な刃物で心臓を一突きされたような感触、妹も長老も体内に収納した、全身は泥塗れで恋畑計画の成功を告げている、なのに、なのにキョウが褒めてくれない、自分を頼ら無いでキョロに頼ったのが気に食わないようだ。


俺達三人はみんなキョウなのにどうして仲違いをするの?別の人格では無くまったく同じ一つの精神が生理的に切り替わるだけ、それはくしゃみやしゃっくりと変わらない、怒りや喜びと変わらない、同じ人間の別の行動や感情。


全身を震わせながら動揺する、すっぽり、木の根にお尻を沈めてどうやって弁解しようかと必死で考える、勿論その思考はキョウに流れている、何も言わずに様子を見守っている。みながら欠伸を噛み殺す、そうそう、やったやった、後はこの妹でお姉さまをぶち殺すだけだ。



「き、キョウの方が大事だもん」


『だったらどうして私やキクタに相談しなかったの?キョロに提案された事を吟味出来る程の頭脳はキョウには無いよねェ?』


「お、おれ、あたまいい」


『一部をあれだけ行使して、それで動けなくなって、もし相手に敵意があったらどうしてたの?』


「お、おれ、ちゃんと」


『キョロのやり方はあまりに無防備過ぎる、ちゃんと私とキクタを通して、二人とも眠っている時はクロリアに』


「うぅうううう、もぉ、もぉ!」


『き、キョウ!?』


両手をじたばたさせて暴れる、キョウの言葉は何時も俺の身を案じてくれていてとても嬉しい、だけど今日はとてもそれが苦しい、一人でちゃんと出来たもん、一人でちゃんと一部にしたもん、ちゃんと仲良し姉妹の関係性を壊したもん。


それなのにキョウは責め立てるだけで俺に優しい言葉をくれない、褒めて貰えると思っていたのにこんな風に叱られる、怒られているのでは無い………叱られているのだ、俺の身を案じてくれているのだ、だけど、だけど、あたまいいもん。


「あたまいいもん、ちゃんとできたもん、きょうはおれのことをばかにしてる」


『ご、ごめんねェ、わ、私が悪かったから泣き止んでよォ』


「きくただったらほめてくれる!」


『ど、どだろ、キョウが危険な事をするのは許さないと思うよォ、ほら、可愛い顔が台無しでしょ?』


「きょうだっておなじかおでしょ!」


『え、えぇぇぇ?!』


「ふんだ、きょろよりきょうのほうがすきにきまってるでしょ」


ぷんすかぷんすか、キョウに素直に告白する、キョロはまだ出会って間もない、でもキョウとはずっと一緒。


産まれた時からずっとずっと。


『嬉しいよォ、あううう、嫉妬してごめんねキョウ』


「ふん、おこったから!やさしくしてよね!」


『も、勿論だよォ』


キョウはね、俺にずっと優しいままで良いの!


あれ?だったらキョロも優しいままで良いの?


???


『あいつは優しいよ、キョウにだけ』


そう、かな。

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