第247話・『泥塗れ恋愛体質覚醒種』

幼女じゃない奴を一部にするのは珍しいよなぁ、んふふふ、薄く笑いながら近付くと小さく震える、さてさて、そんなに怖がられたら困るのだけど。


17歳ぐらいかな、まあ、俺とほぼ一緒だわな、エルフじゃん、えるふえるふえるふえるふじゃん、エルフは美味しい、エルフは素敵、そう、三匹も優秀なエルフが食える。


こいつの姉は集落のエルフを全て食い尽くしただろうから実質もっと食えるぞ、感謝する、そして観察する、細い腕を体に巻き付けるようにして震えているエルフ、おいしそエルフ。


素敵なエルフ乗り物からジャンプ、命令が無いので四つん這いのまま待つようだ、がんばれー、また踏んでやるからな、頭も踏んでやる、お前がロリで頭が小さくて頭が悪いから踏んで腫れさせて膨らませてやる。


膿んで死ね。


「ふふ」


「え、エルフライダー」


「そぉでぇす、君のお姉さんを虜にしちゃった可愛いエルフライダーです、趣味はエルフを壊して食べる事、お前はそうしないよ」


「ど、どうして」


「そうだねェ、んふふ、普通に恋して貰った方がお前には良さそうだ」


「こ、恋を、する、そんな事、出来るわけ無いよ」


「出来るよ、俺ってこんなに可愛いんだもん、すぐに夢中になる、お前は普通に恋をして普通に俺を愛するんだよ?それでお姉さまを超えられる」


女を口説くのは楽しい、それがエルフなら尚更で、それが人の物なら尚更だ、お前はお姉さまのモノなのか?それともこの騎乗動物のモノなのか?頬に触れると大きく体を震わせる。


紅が溶け込んだ淡く鮮やかな藤色の瞳は切れ長で鋭い、綺麗な瞳だなと頬を擦る、体をガタガタと震わせて面白い、赤色が主張する淡い紫色のソレは紅藤(べにふじ)と呼ばれる色彩だ。


染め色としても人気があるソレは若々しさを感じさせる色彩でもある、藍を薄く薄く下染めして紅花で丁寧に上掛けしたら紅藤(べにふじ)になる、そのような面倒な手順を踏まないでこの色を手に入れられる。


美しい瞳だ、欲しい、欲しい、欲しい、目を抉ったら嫌われるだろうからその周囲を指でグリグリとする、見た目は冷たい印象の少女だ、顔も小さく肌も白く何処か鋭利な印象を見る者に与える、瞳も切れ長だしな。


髪の色は黒よりも艶やかで区別する理由には十分だ、黒漆のまるで濡れたような深く深く綺麗な黒色、呂色(ろいろ)だ、黒を基調としているのに淡く輝いている、手で触れるとつるるるるるるるるると滑る、気持ち良い。


漆工芸の塗りの技術の一つの呂色塗が名前の起源だ、専門職の呂色師がいる程に複雑な工程と技術が要求される、蝋色とも呼ばれる美しい色彩の髪を撫でながらこれも俺のモノになるのかと微笑む、こいつの瞳はずっと俺を見ている。


自分では世の中を知っていると思っているだろうが何も知らないのが実情、少し外の風に当たると心が揺さぶられる、こいつの場合は外の世界に救いを求めていた、だけどそれを諦めて自分の心を嘘で偽った、だからこうなった。


「出来るよ、もう、お姉さまも長老もいない、お前の好きだった二人はお前を特別視しなかったし、お前は彼女達を特別視するばかりのバカな嫉妬女だった」


「や、やめてよ、聞きたくない、自分の心の暗い所なんて聞きたくない」


「そーゆー所が可愛いよ、弱さ?いいじゃないか、さらに帰る集落まで失ってお前はもう一人ぼっち、大好きな二人もいない、いや、さらにお前を見てくれなくなった、何故かわかるか?」


「わ、わからないよ、わかりたくないよ」


「お前が嘘つきだからだよ、見ろ、このクソエルフは俺の餌になりたいと自ら志願した、ほれ、幸せそうだろ、素直さで幸せを勝ち取ったのさ」


軽い頭を蹴飛ばしてやると股を擦り合わせて鳴く、発情しているのか?また耳を噛み千切ってやるから黙ってそこにいろ、お前が育てた素敵なこいつが素敵な恋愛中毒者になる所を見ていろ、な?


触手は刺さない、世間知らずのガキは絶望している、愛する人を失って、愛していないと憎んでいた人を失って、集落の仲間を全て失って一人ぼっち、ここから先は人間の世界、魔物の世界、エルフ以外の世界。


頼る者はいない、だから優しく解き解す、仕掛けは上々、姉ちゃんに憧れているのか?俺の事が気になるのか?その答えは全て俺が握っている。


「俺はお前が欲しい、お前は悩む力がある、悩んで悩んでそれでも無理をする、そして誰かの為に努力もする、俺の為にそれをしてよ」


「ぁ」


「こいつも大好きなお姉さまもお前の努力や愛情を蔑ろにするだけ、でも俺は嬉しいな、お前が俺の為に頑張ると嬉しい、嫉妬してくれるとこんな可愛い奴が俺の為に嫉妬してて可愛いなぁと思う」


「ぁぁ」


「そうだな、こいつとお姉さまより近くで大事に可愛がってやる、お前は特別だからな」


「ぁぁぁ」


「お前だけだ、この集落で欲しいと思ったエルフはさ、おいで」


「んっ!?」


キスをする、こいつの初めてを全て奪って恋愛畑に連れ込んでやる、それはきっと素敵なお花畑、んふふふふふふふふふ、耳かけをしたショートボブを抱えるようにしてキスをする。


瞳をじっと見詰めながら口説き口説き口説き口説きまくる、ふふっ、逃げようとしないのは偉いね、手奇異(てきい)、姉ちゃんの一番は俺、お姉さまの一番は俺、長老の一番は俺ぇ。


そんな俺がお前を一番にしてやっている。


「ひぅう、は、はひめてだから」


「ふぅん、いいじゃん、お姉さまにも長老にも奪われなくて良かった」


「し、しょんなの」


「嬉しいよ、慧十十、さあ……三日三晩求め合おう、お前が俺に恋するまで、泥塗れになって」


「ひぃいいいいいい」


「嬉しいよ、可愛いエルフの女の子」


「え、えるふらいだーしゃま」


「そう、お前は様付けがいいな、俺はお前の王子様だからな」


「す、すてきぃ」


素敵だろうよ、お前の集落をぶっ壊してあげたんだからさ♪


愛の重さで潰れろ、ガキ。

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