第236話・『復活してシンプルになった、そして他者を殺すのが平気になったゴーレム使い』

微睡みながら思考する、全ての計画は順調に進んでいる、しかし一つだけ疑問が残る、エルフの長老とやらが企んでいる事だ。


まるで俺を手助けするような動きに腹立つ、俺は俺がしたいように俺がするんだ、おれおれおれおれおれおれェ、湯船に漬かりながら汚らしく舌打ちをする。


祟木を具現化したついでに宿の近くの風呂場を貸し切りにした、あは、ありがとう資産家、久しぶりのお風呂、楽しい時間のはずなのに自分の計画を歪められているような利用されているような感じで苛立つ。


腹立つ苛立つ、ぷんすかぷん、足をモミモミさせながら頬を膨らませる、ぷくぅ、殺してやろうか、その長老とやらを、ぷんすかぷんすかぷんすか、茹蛸のよな俺をたしなめる様に白魚のような指が動く。


「うがぁあああ、殺す殺す、もぉ、やだぁ」


「シスター・キョウ、お風呂上がりに牛乳飲みましょうね!公衆浴場(こうしゅうよくじょう)ってボク初めてです」


「やだぁ、おれ、りようされるのやだぁ、微睡壬(まどろみ)ぃ、あまえさせてぇ」


「はいはい、良い子良い子してあげます、うひゃ、御髪(おぐし)の匂い良い匂い」


「すんすん、ペチャパイ」


「それはもう、ほんと、すいません」


金春色(こんぱるいろ)の瞳は何処までも済んでいて邪気が一つも無い、そして知性もあまり無いように思える、頭スゲェいいのになあ、髪の色も同じ色彩をしており全てが鮮やかな青色で構成された特殊な少女、顔の造りは柔らかで嫌味の無い美少女だ。


少しトロンとした瞳が何故か欠伸を促す、こいつを見ていると何だか眠くなるし安らぐ、艶のあるサラサラとした髪は肩より少しだけ長く伸ばしている、前髪を眉の上できっちりと切り揃えているし両側の髪も同様だ、清潔感があって清廉な女の子だ。


普段はカッパクラウサと呼ばれる丈が異様に長く黒いマントに似ている衣服を着ている、学者や学生が好んで着用するモノ、自分と同じ金春色(こんぱるいろ)のモノで青いやつ、ケツも青そうだしなぁ、頭には同じ色の正方形の角帽。


板の中央上部にの部位から吊るされた房を垂らした平面の正方形帽子は何だが本当に学者見たいでカッコいいのだ、しかしここは風呂場、自分を着飾るモノも無く全裸である、こいつのまな板に頬を寄せながら甘える、まな板すべすべ、乳首気持ちいい。


死んだけど認めたく無くて、ざざっ、死んでない、死んで無い死んで無い、こいつは最初から俺の俺だけの一部、あふん、すべすべぇ、死ぬ時は本体の俺と一緒だもんなぁ。


「胸大きくなれよ、何時までもロリでいるなよ、れろ」


「は、はぃいいいいいい、もりもり食べて大きくなりますっっ、もりもり食べます、えっと、お肉とかで良いですか?」


「だめだ、すきだもん、おれがたべるもん」


思考が定まらない、自分自身の立ち位置が不確かになるような絶望感、お腹減ったあああ、おなかへったああ、ぐうぐうぐうぐう、きょうのけいかくどおりすればさんびきともくえるのかなぁ、くいたいなぁ、つよいえるふをたべたべごくごく、えへへへへへへへ。


だいすきな微睡壬はおれにやさしい、慈しむような目でおれをみてくれるの、おれだけのごーれむつかい、ぜつぼうからきぼうにかえたの、ざざざざざ、なにもおもいだせないもん、それってすてきなことだよね、なにもおもいだせないけどだいじなひとがいてくれる。


「しゅき、こっちみてて、おれだけみてて」


「はいはい、シスター・キョウ、何時だってボクはシスター・キョウを見ていますよー、お風呂も一緒ですし」


「といれ!」


「はい、一緒に行きましょう、だけどどうしてそんなに不安そうな顔をしているんですか?――読み取りますよ?」


「いいよお、こわいの」


「エルフの長老ですかぁ、夢見の力があるのであればどうして身内を犠牲にするのを回避しないんでしょうね」


「おれをりようしてるきがする、ぷんぷん」


「はい、両手を上にして下さい、ごしごし」


「うひゃ」


「おおっ、今の声物凄く可愛いですよ!」


「ひぃ」


10歳ぐらいのガキに体を洗われる、ぷにぷにおてて。


「ちゃんとほうたいまける?ちゃんとできる?」


「ああ、右腕のですね、お任せください!……大丈夫ですよ、シスター・キョウ」


「ふぁー、ねむい、ねむ」


「貴方の一部はみんな貴方の事が大好きです、そうだ、もし不安が消えないのだったらみんなで―――消しましょう」


「う、ん」


そう、そう、する。

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