閑話151・『キモイ幼馴染の話題はシリアスを壊す』

躾をしなければいけない、あまりにお母さんお母さんと耳障りな単語を吐き出すのでキョウをちゃんと戻してあげないとねェ。


丁度限界を迎えた事だし全ての記憶を奪っても良い、キョウとゼロから始める事は何時もの事だ、何時もそうやって二人で一人で生きて来た、だけど今回はグロリアが邪魔かな?


一部はキョウの記憶から失われると具現化する事が出来ないようになる、中には強制的に具現化する個体もいるが稀だ、一部が出なくなればキョウに過去を伝える相手もいない、そのはずなんだけどねェ。


グロリアは一部では無い、一部では無いのにキョウの事を深く理解しているし桁違いの実力を持っている、キョウをリセットしても彼女ならどんな手段を使ってでもキョウを見付け出す、手に入れる、それだけは避けたい。


真っ白になったキョウを管理して教育するのは私だ、しかし居場所がバレてしまえばグロリアにその立場を奪われる、現にキョウがグロリアを嫌うように暗躍した過去があるが同様の手口を使われて逆に私が精神の奥底へと封印された。


あのような失敗はもうしない、だけどどうしてグロリアだけがこんなにもキョウにとって特別なのだろうか?一部にする気配が全く無いのは今までに経験が無い、記憶と経験を共有する私には今のキョウの行動が理解出来無い。


どうして、グロリアだけ他人で大切なの?


「キョウ、無駄だぜ?無駄な事をするとカロリーを使うぜ?カロリーを使うとお腹が減るぜ?お腹が減ると悲しいぜ?」


「どうしよう、半身の発言が頭悪すぎて頭痛がする」


「頭が悪いのか頭が痛いのかどっちなんだぜ!?」


「そうよ、キョウの質問に答えなさい、精神で繋がっているからこそ会話のコミュニケーションを重視しないと」


今日はキクタまでいるし、キョウに説教しようと湖畔の街に引きずり込んだら最悪のタイミングでキクタまで来てしまった、キョウのあまりのおバカ発言に無視して説教をしようとするとキクタがさらに正論を覆い被せてくる。


うぐぅ、このコンビ面倒だ、メンドクサイ!ふんふん鼻息を荒くしているキョウはグロリアに血を与えられたことで無駄に興奮している、そしてその横にいるロリエルフはキョウの役に立てるのが嬉しいのか私の逃げ道をすぐに塞いでしまう。


こ、このおバカなキョウと向き合って説教しないと駄目なのォ?冷たい言葉で会話を打ち切って何時もの様に説教をしたいのに絶妙のタイミングでキクタが邪魔をする、あれだ、グロリアと接しているような感じだ、イライラする。


「あのねェ、一部を自由に使うのは別に良いよォ?でも一人に集中して使用するのはルール違反だよォ、面白くないと思う一部もいると思うよォ」


レクルタンの事を遠回しに言う、キョウはお母様に向けるべき愛情を発散出来ずにレクルタンに夢中だ、それは私の予想であって真実では無い、だけどそのように思わなければやってられない。


この私が一部如きに嫉妬するだなんて事実があってはならない、キクタがいる事は不都合だと思ったが丁度良い、こいつがレクルタンを庇っているのは明白だ、私の権限に並べるのは貴方ぐらいでしょう?キョウの前でその化けの面を。


「キクタ、呵々蚊って昔からあんなにキモかったのか」


「そうね、キョウの前では飄々とした美少女気取ってたけど基本的にはあんなのよ」


「具体的には?」


「アタシとキョウのパンツを盗んで自家発電してたわね、レイは知っていたみたいだけど、変態同士気が合うのかしら?」


「れい?わはは、しかし呵々蚊キメェー、キクタはそれを知ってどうしたんだ?」


「二人のパンツを取り戻してあいつのパンツを全部盗んだわ、流石にそれでは可哀想だからレイのパンツを置いといて上げたわ」


「あはは、れいって奴だけ失ってるだけじゃねぇか、しかしキメェな、キメェな呵々蚊………パンツ渡したらストーカー止めてくれるかな?」


「二枚目を奪いに来るわ」


「二枚目を渡したら?」


「調子に乗って五枚要求してくるわ」


「さ、三枚目じゃないのか、いきなり五枚なのか?ごくり」


「三枚目じゃなくていきなり五枚を平然と要求するのがあいつの恐ろしい所なのよ」


「「キモい、あはははは」」


私の事を自然に無視する形で呵々蚊で盛り上がってるしィ、あ、あのド変態ロリは話題の全てを塗り替えるだけの力がある、楽しそうに笑う二人を見て頭痛が酷くなる、じ、邪魔だよォ、呵々蚊邪魔だよォ。


そもそもレクルタンについて語りたいのに呵々蚊の話題で大盛り上がりだ、大人しくて思慮深いレクルタンと現在進行形でストーカーしている呵々蚊では話題性としての威力が違う、れ、レクルタンについて語れる状況では無い。


うわぁ、邪魔ァ、キクタの言う通り何時も飄々として掴み所の無い呵々蚊だが昔からその行動には問題があった、キクタ、キョウを喜ばせているつもりだろうけど甘いよォ、呵々蚊は二枚目を渡したら十枚は平然と要求してくる度し難い人間のクズだよォ。


し、仕方無いっっ、キョウを喜ばすためにっ。


「か、呵々蚊は自分の履いた下着をキョウの下着と取り換えていた事もあったねェ」


「き、キメェ、あははは、記憶無くなって良かったー」


「ああ、あったわね」


仕方が無いので呵々蚊の話題で盛り上がったよォ。


くすん。

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