第179話・『創造主召喚、いたいよぉ、たすけてぇ、おねだり得意』

この路地裏でキョウを傷付けたわけだな、呑気な思考、俺の後ろにはフードを被った団体さん、この街では良く無い事が良く起こる、それは俺にとってなのかこいつ等にとってなのか、んふふ。


薄暗い空間は黴臭くて生ゴミ臭い、表の人通りが嘘のような最低の世界、割れたガラスが錯乱していて踏み付けると細かい罅が広がって粉々になる、こんな風にこいつ等を粉々にしたい、素直にそう思う。


なのに空を見上げれば青く美しい世界か広がっている………地上の穢れなんて関係無い、お母様はあんな所に住んでいるのか、俺の事を汚いって思うかな?地上でここまで穢れた俺を素直に抱いてくれるはずが無い。


「我々と一緒に来て貰おうか」


一人が集団の中から一歩足を踏み出して語り掛けてくる、こいつがリーダーか?女性の声だがキョウ曰く昨日の奴とは違うらしい、昨日のはロリだったらしいしな、コイツは若いけどロリって程じゃ無さそうだ、ふふふ。


どいつもこいつも微動だにせずに俺の反応を窺っている、呑気に空を見詰めているシスターに何の用事だよ?首を傾げて次の言葉を促すが何も言わない、どうして俺に命令するんだ?俺に命令して良いのはグロリアとキョウだけのはず。


ふ・し・ぎ♪そいつ等を無視してガラスの破片を踏み付けてキャキャと笑う、面白い、おもしろーい、大きな破片を見付ければそれだけで嬉しくなってお尻を左右に震わせる、ふふふ、やって良いよォ、良くわかんない人達、いいよォ。


「我々の主が貴方に会いたいと言っている」


「この前のロリ臭いガキかァ、思い出せないけどキョウが教えてくれる」


「そうだ、無理矢理にでも連れて来るように言われている」


そいつ等の周りを十字架が浮遊している、魔力の流れが激しくなり戦闘の意思を感じさせる、十字架、んー、まったく思い出せない、ガラスに映る自分の姿を見て苦笑する、グロリアに買って貰ったお気に入りの服、戦闘で汚したく無い。


こいつ等からは危険な香りがする、そして俺自身はより危険な存在だ、あの十字架は魔力で操作する類の武器だがこれだけの人数だ、大量の十字架を避けるにはこの狭い路地裏は些か都合が悪いなあ、ふふふふ、ガラスの破片を足先でなぞる。


レヘンガと呼ばれる異国の民族衣装は普段の自分を忘れさせてくれる、多彩な生地は艶やかに装飾されている、刺繍やパッチワークによって美術品のような完成度を誇っている、宝石などで高級感も演出していて実に楽しい、踊りたくなる。


おへそ丸出しなのが少し恥ずかしいがその内に慣れるだろう、しかしグロリアも俺に甘々だよな、投資すればそれだけ股を開くと思っているのだろうか?んー、安い女にはなりたくないけどグロリアが好きでしている事なので何にも言えない。


「やーだーよー、無理矢理連れてけよ、出来るなら」


「―――仕方無い」


言葉が言い終わる前に高速回転した十字架が飛来する、石畳みを軽々と粉砕して追撃して来る、どんくらいの威力だろうか?少し興味があるのでそのまま両手を開いて十字架を受け入れる、なるべく服を傷付けないように空中で体を捻りながら微調整。


肉に深々と突き刺さる十字架の感触は刃物とあんまり変わらない、血が空中に広がる様を眺めながら笑う、嗤う、普通にイタイじゃん、割とやるなぁ、右肩に深々と突き刺さった十字架に導かれるようにそこに幾つも十字架が飛翔する、肉の隙間に十字架が幾つも食い込む。


あんあん、喘ぐ、そのまま地面に落下する、見事に顔面から落下したので何だか景色がおかしい、ああ、首の骨が折れているから景色がおかしいのかな?それとも気付かない内に世界は斜めになったのだろうか?立ち上がろうとすると片腕が無い事に気付く。


遠目に見える自分の右腕に幾つも十字架が突き刺さっている、自分の一部がミンチになる様は中々見られるものでは無い、あん、もっと丁寧に潰して、興奮する、股を擦り合わせながら血を垂れ流しながら喘ぐ、頭を踏み付けられると鼻の奥がツーンとする。


「捕獲」


「人目があります、魔法で封じて連れてくのが得策かと」


「もう一人のシスターがいなくて助かりましたね、しかし単なる雑魚では無いですか」


「油断するな、様々な地域で多くの人外を屠っていると噂される化け物だ、詳細はわからないが主とは面識があるらしい」


「シスターにしては弱過ぎる故に欠陥品か何かか?」


「これではギルドに頼まれた魔物を狩っている方がまだ大変だ、このような状態でも死ねないのは幸か不幸か」


「そこだけは魔物よりも化け物らしい」


頭を踏み付けられて恥辱と屈辱で気持ち良いよォォ、もっと踏んで、だけど首が折れていて上手におねだり出来無い、んふふふふ、ぁぁ、魔物を狩るのもお仕事なんだぁ、お前たちは冒険者??それとも違う何かかなぁ……わかんないや、わかんないや、首が痛くてムズムズ痒い。


痒い痒い痒い、ふふふふふふふふふふ、お前たちのような勘違いのバカを見ていると全身が痒くなる、掻いて掻いてとお尻を振っているのにわからないのかなあ?何だかブツブツ呟いて詠唱しているけどレベルの低い魔法だね、可愛い、必死になって詠唱してて可愛いよぉ。


みーんなみーんな女の子のクソ百合レズ軍団なのかなぁ、夜はお盛ん?んふふふ、あはぁ、でもでも、負けないもん、クソ百合レズ具合なら負けないよ?昨日もずっとキョウに虐められてたしねェ、自分自身で自慰百合だよ、うらやましい?きゃはは。


首が折れて調子が出て来た、これって最初からこうだっけ?そうだそうだ、俺は最初からこんな感じの首でした、このおバカさん。


「ここ最近は新種の魔物も現れてかなり苦戦するがな」


「我々と互角に戦いたければ魔王軍の訓練された高位の魔物を連れて来て貰わないとな」


「お喋りはそこまでだ、早くしないと人が来る」


人は来ないけど魔物は来るよォ、あは、視界の端で俺の切り落とされた右腕が蠢いているよ??人間の一部では無くそんな形の新しい生き物みたいだぁ、右腕ウゴウゴ、俺の首はボキボキ、今日は楽しい事が沢山あって嬉しいなぁ、グロリアにお洋服も買って貰ったし。


この喜びをこのクソ百合レズ軍団にも伝えて上げたい、どうしたら伝わる、嬉しい事をされたら嬉しい事で恩返し!田舎者で不束者ですけどそこはちゃんとわかってますからね、首は折れているけどちゃんと脳味噌はあるので大丈夫なのです、ちゃんとちゃんとなのです。


お前の大好きな最高傑作が虐められているよ?えーんえーん。


「うぅう、いたい、いたいよぉ、ひどい、おれの、おれのうで」


「いきなりどうした?今更になって人間の振りか?」


「いたいよぉ、ひどいひどい、あぁ、たすけて、こわい、こわい、ああああああ、つつみのくさかぁ」


ドクン、心臓が大きく脈打つ、はいはい、お前らもうお終いだぞ。

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