第177話・『一部の中で最も狂神的なソレが完成、いけ、微睡壬』

事が終わると同時にキョウがベッドを修理する!と全裸で叫んだので流石の私も目が点になった。


裸のまま大工道具を使ってベッドを修理するキョウを裸のままで立って見守る私、この世界は望めば修正出来るのに本当に好きなんだからァ。


ニコニコとして作業をするキョウ、そこには私の指で昂っていた女の子はいない、男の子のキョウ、物作りが大好きで凝り性で自分に自信が無くて学が無いと思っている愛しい人。


暫しの後、寝ようぜと笑顔で口にするキョウの手に引かれてベッドの上に二人で転がる、軋みも無く安定している、だけどキョウの喘ぎ声が大きくて実は気にならなかったんだよねェ。


それを口にしたら無言で頭を叩かれそうなので黙っている、くしゅん、キョウがくしゃみをしたので毛布を掛けてやる、キョウって眠る時は体を丸めて眠るよね?ダンゴムシのようだねェ。


「気持ち良かったァ?」


「あ、うん、何だかアンアン喘いでいる内に終わった、キョウって上手だな」


「そぉ?表に出れるようになった時は随分とエルフの女の子で遊んだからねェ、手癖が悪くなっちゃったよォ、んふふ」


「も、もう、他の娘にするの禁止」


毛布の中に隠れながらキョウが呟く、その台詞は私にとってどんな言葉よりも嬉しくてついついもう一度聞きたいと欲が出てしまう、隠れているつもりだけど癖ッ毛がはみ出していてバレバレだよォ。


小動物にしか見えないよ?だとしたら私はそれを襲う肉食動物かなァ、ベッドから立ち上がるとすぐにキョウが顔を出して不安を訴えてくる、私がいないとそんなに不安?まったくこの娘は何処まで可愛いんだ。


換気だよォと呟く、どうも頑張り過ぎた、二人の体臭が部屋の中に充満している、性の匂いは何処か微睡を誘発するがキョウと甘い時間を長く過ごしたいので仕方無い、湖畔の街は既に夜を迎えている、現実の世界ではグロリアの横で寝ているはずだ。


あそこまで真剣に作業をされるとキョウも甘えられないよね、んふふ、しかしグロリアも作業の間にキョウにチョコを上げたり飴玉を上げたりするのどうなんだろ?ペットか何かかと勘違いしていない?飴玉をコロコロ転がせながら上目遣いで喜ぶキョウもキョウだねェ。


グロリアにとって心休まる存在はキョウしかいないのだろう、理知的で腹黒くて他人を信用出来無い女が唯一心開いた存在、溺愛も度が過ぎるとどうなのかなって思うけどグロリアは何とか自制しているようだ、他人を騙すのも自分を欺くのも実に上手だね。


「股がじんじんする」


「んー、キョウの反応が良過ぎて少し乱暴しちゃったかなァ」


「いいよ、またして、またして」


「う、うん、いいけどォ……ほら、詰めて詰めて、キョウは温かいね、何だか赤ちゃんみたい」


「赤ちゃん?お、俺は立派な大人の男性だぜ?ほら、見ろ、この筋肉」


「二の腕プニプニだよねェ、シスターの体って実に便利だよね、これで筋骨隆々の男よりパワーがあるんだから」


「ぷ、プニプニはやだ、もっと鍛える」


「だめ、こっちの方が可愛いからダメ」


くしゃ、頭を撫でてやると納得出来ないのか頬を膨らませて無言の抗議をする、残念だったねェ、それは単純に可愛いだけで何の抗議にもならないんだよ?教えた私が言うんだから間違いないよ、これでキョウの犠牲者は増えるだろうがそんな事は知らないもん。


金糸と銀糸に塗れた美しい髪、月の光を鮮やかに反射する二重色、黄金と白銀が夜空の星のように煌めいている、くしゃくしゃくしゃ、少し乱暴に撫でてやる方がキョウは喜ぶ、誰かに支配されて支配されて所有されていると自覚させられる程に喜んでしまう。


駄目な娘。


「うぷぷぷ、ざ、雑っっ」


「止めようか?」


「……………ざ、雑だけど悪く無い」


「はいはい、今度からは素直に言えるようになろうねェ」


「う、うん………よし、元気出たな?」


「え、う、うん……ふ、不意打ちは卑怯だよ」


「は?んーキョウは俺なのに時折わけわからん、さて、起きるか……起きてお前を泣かせた俺のお気に入りを始末しないと」


「キョウ?」


「……微睡壬も、俺の為に、ふふ、殺したいよなぁ」


キョウの微笑みは何処までも邪悪で何処までも前向きだった、そうなんだね。


完成したんだ、新しい微睡壬。

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