閑話122・『エルフで幼女でラスボだけど君(主人公)をお嫁さんにしたいと思うヨ』
キクタは不思議な少女だ、そもそも俺とキョウだけしか存在してはダメな空間にどうしている?
疑問に首を傾げる、しかしキクタは幸せそうな瞳で俺を見詰めるだけで説明をしてくれない、だけど妙にこいつに甘いんだよな俺。
もしかして忘れられた一部か?しかしまったく記憶に無いし他の一部も知ら無いと言っている、俺の一部が嘘を言うわけ無いしやっぱり一部では無いよなぁ。
取り敢えずやる事も無いので散歩する、ここで不思議なのがキョウに切り替われないしキョウに連絡出来ない、ん?もしかして拒否されている?あはは、まさかぁ。
「き、キョウ、キョウ」
「うぉ?!近いぜ、ロリ臭いっ」
「す、好きでしょう、幼い匂い好きでしょう、あの頃のアタシ達のように」
「あの頃?」
「へうあ!?な、何でも無いよ、あ、あはは」
「ロリ臭いし何か怪しいぞお前」
素直に口にする、敵意があるわけでは無いぜ、二人でキョウのいない世界を散歩しながら色々と話す、んー、キョウが化けている可能性も考慮したがそれは無いな、俺の一部にあるような一体感が皆無だ。
なのに話していると妙に気分が休まる、チラリチラリ、何故か俺を直視しないキクタ、湖畔の街のすぐ近くにある小高い丘の上に立って周囲を見回す、何時もと同じ何時もの光景、街には何の異常も無い。
一つだけわかった事がある、そう、キクタ、こいつ俺の事が好きだな?異性の機微には疎い俺だがこいつの所作を見ているとそれがすぐに理解出来た、会話の内容も俺に合わせて俺に好かれようとするモノばかり。
しかも俺を直視する事をせずに視線は忙しなく泳いでいる、ええい、同性で幼女は範囲外だがエルフは範囲内だ、この場合は範囲内になるのか範囲外になるのか悩み所だぜ、俺が地面に座ろうとすると地面にハンカチを敷いてくれる。
「何か女の子っぽいな、お前、ハンカチのデザインも可愛いし」
「じ、自分で作った」
「へえ、良いお嫁さんになれるぜ」
「き、キョウのお婿さんになりたいっっ、なんてね、あはは、冗談よ」
「え、俺と結婚するならお嫁さんだろ、何言ってるんだ、お前」
「あ、あははは、そぉだね」
「俺を嫁にしたいなら食うに困らねぇ程度の資金と食い放題のエルフを用意しやがれ」
「はいぃい、ご、ご用意してますっっ、あああああ、食欲旺盛なキョウが今日も愛らしいよォ」
「へ」
何かこいつと喋っていると全てが噛み合っていないような錯覚を覚える、美しい少女に好かれるのは悪い気分では無いが理由も不明だしそもそもこいつが何なのかわからん、やはり三時のおやつなのだろうか?
鼻血を出しそうな勢いだな、何だかササや炎水を融合させて100倍強力にしたような少女だ、全肯定して俺に好かれようとする様は見ていて気持ちが良い、エルフだよな?耳がピコピコと忙しない、思えば餌と認識しているだけでエルフを間近で観察した事は無い。
「耳が凄い勢いで動いてるけど大丈夫か?」
「!?」
大きくまん丸い瞳は青みを強く含んだ紫色、春風の到来を告げる花を連想させる菫色のソレが驚愕に震えている、ワナワナ、愛らしい瞳から光が少しずつ失われてゆく、な、何だよ?キクタのハンカチの上に座っているので見上げる形になる。
「き、キョウを心配させた、だから駄目なんだ、だからクズなんだ、だから救えなかった、魔王を殺してもキョウを救えないっっ」
「え、何だか物騒な言葉言わなかった?」
「み、耳を削ぎ落とそう、まずはそれで許しを……こんなピコピコさせてキョウを心配させるだけの無駄な部分」
「無駄じゃねぇ!?エルフライダーの大好物っっ」
「じゃあこの場で噛み千切ってっっ、オイシイヨ」
「うわぁ、ちょ、近寄ら無いでくれ、あはは」
負のオーラとハートマークを交互に飛ばすキクタが恐ろしくて少しだけ面白くてついつい笑ってしまう。
見入る、そして魅入る、キクタの視線はまっすぐ俺を見詰めている、ど、どうした?
「き、キョウがアタシで笑ってくれている、う、嬉しいよぉ」
どうして、どうしてそんな風に笑うんだ?
まるで死んだ人間が生き返ったかのような……気のせいよだな?
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