第138話・『神様は俺と同じ事をして信者募ってるの?』
グロリアに含みのある感じで試したい事があるのでしょうと問われた、どうして俺の心の内がわかるんだろうか?少しだけ怖い、少しだけ嬉しい。
食事を終えてグロリアと別れる、あのお城に戻るのは後だ、一応は明日の朝ご飯の準備とだけ伝えたが実際は違う、試したい事があるしそれに都合が良い事が起ころうとしている。
この街に入ってずっと感じていた視線がある、ねちっこい視線、見詰めながらに犯されているような強烈な嫌悪感、グロリアは笑いながら殺気を隠していた、独占欲の塊のような女だ、俺が視線で犯される事も許さない。
だけど殺気を放つ相手なら好都合だ、俺を殺そうとする視線、故に暴力措置が可能になる、俺を殺そうとしたら俺に殺されても文句は言えないんだぜ?体の中で疼く、ズキズキズキ、俺自身の殺意が抑えられそうに無い、脳味噌の中心が冷ややかになる。
シスターの血を吸えばシスターになれる?そのような事は決して無い、それは迷信であり救いでもあるのだ、神に愛される権利を得る為の嘘、苦笑しながらさてどうしたものかと呟く、ファルシオンは置いて来たし、街中を出歩くのに少し邪魔だしな。
「どうしたものか、こっちから行くかね」
『キョウ様、お呼びですか?』
「おう、グロリアが含みのある感じでこの街の事を教えてくれた、でも全容では無い、どうしてだ?」
クロリアでは無く炎水の方がシスターについては詳しいだろ?元々はシスターを統べる存在だ、それを俺の一部にしたのだがそれは前後が逆転した事情であり本来は俺のお守り役として開発された、母親だな、都合の良い存在に俺を洗脳するのが役目だ。
本人はそんな事は関係無く俺に奉仕する気満々だったが今では一部となって立派に機能している、偉い、ズブズブズブ、腹を出して皮膚が泡立つのを観察する、俺の肌が腫瘍のように盛り上がり細かな瘤を生み出しながら人の顔を形成してゆく。
そこに痛みも無く疼きも無い、少し痒いかなって程度、そして皮膚に細かな皺が広がり細かな造形を演出する、こいつは一部の中でもササと同じぐらいに従順だ、それでいて気が回るぜ、仕事が出来る女は嫌いでは無いし仕事が出来る幼女は是非とも欲しい。
若くて幼い頭脳は瞬発力に優れていて回転力も素晴らしい、脳味噌だけ欲するのは餌に失礼だな、エルフライダーの本能が俺に優しく告げている、そんな穏やかな気分でいるのに殺意はどんどん大きくなる、恨まれる原因は沢山あるわな、生きる為だから勘弁な?
「ふふ、構築が終えるまでは醜いな、この不細工」
『罵ってくれて構いません、全て受け入れます』
「よぉし、良い子だ」
『光栄の極み、あの女がキョウ様に語っていない真実はたったの一つです、アルルコット族は過去にシスターを殺してその呪いに縛られている民族です』
「こ、殺す?化け物のようなシスターを殺す手段なんてあるのか?」
『ありますよ、正規品では無く処分を待つだけの失敗作であるならば』
「失敗?」
『何十年に一度ですがそのような存在が生まれるのです、処分しないで外に出したんでしょうね』
何だか怖い話をしている、神が創造するのに失敗作っておかしくないか?違和感を覚える、シスターを開発している所を見学したいな、グロリアにも聞いてみるか?グロリアは俺の餌をどうするか色々と考えているようだ、勇者の元仲間が第一候補な。
そして後は魔王の元幹部だ、これはかなり食ったから手慣れたものだし食い方もわかった、後はシスターもそろそろ欲しいな、使徒を食ってから調子が良い、食い物についても好みで色々と判断出来るのはありがたいぜ、ふふ、勿論エルフも食べたいなっ!
祟木の部下であり純血のエルフである宇治氏は一部では無く信者だ、俺のような神の為に頑張って故郷のエルフで餌に相応しい奴を選んでくれている、これはグロリアも知らないはず、グロリアに知られずに一部を増やすのは割とキツイぜ、でも二人の将来の為だ。
「そうか、神が制作したのに神に捨てられたシスターか、そいつの血を吸って何かを得たのがアルルコット族か、だからあんな目で俺を見る」
『不躾な奴らです、ご命令があれば処分したのに』
「鼻血でドジッ娘が偉そうに言うな」
『も、申し訳ございません』
「しかしシスターの失敗作かァ、おもしれぇ、ジャンクな味も好きなんだよな」
『き、キョウ様、その話は既に遥か過去の――――』
「そこまで信仰しているんだ、シスターの髪の毛やら皮膚やらを聖具として加工している可能性はあるだろう?そこから再生させても良いしな、あはぁ、お腹空いた―、シスターは久しぶりだなァ」
『さい、せい?』
「ああ、折角だから使徒化させて誕生させても良い、勇魔風に言えば第二使徒になるのかな??あの世界を統べるシスターが世界の嫌われ者の邪悪な使徒になるんだぜ?いやぁ、楽しい」
『使徒―――そこまで、既に神の領域に―――』
「何でかな、シスターや使徒を扱うのは自然と出来るんだ、その細胞やら在り方がわかるっつーの?まるで仕組まれたように、実に不思議だぜ」
『――――――――』
使徒を生み出せる事はわかった、部下子の細胞が全ての使徒の基本になっている、アクの細胞に含まれたソレと重ねて使徒を誕生させた、しかしそれが無くても生み出せるよなあ?材料から生み出すのはわかった、材料を生み出すのもわかりそう。
俺だけのオリジナルの使徒も誕生させる事が出来る、エルフライダーの能力として備わっている、しかしここで疑問が浮かぶ、こうやって人型の生物を創造するんだよな、完全な生命体をさ、だったらシスターも生み出せるよな?材料はある。
そして何よりその材料の生成の仕方も使徒と同じようにわかる、だったら恐らく俺だけのシスターも生み出せる、え、もしかしてもしかするぜ??シスターってこうやって製造しているのか?神が?
「ん?俺や勇魔と変わらん」
『キョウ様はそれらを糧に成長するのです、そしてやがてこの世界の』
「農民になる」
『え』
「冗談だぜ、それだけ色々と暗躍されて農民に逆戻りするのも面白いだろ?」
背後から迫る死の気配に苦笑する、路地裏に入った途端にコレか?俺がどのような存在になろうが構わない、グロリアを愛せる男である限りなっ!振り向きつつそいつにキック、キックキック♪
血反吐を撒き散らしながらも後退する敵を注意深く観察する、黒装束のそいつを見詰めながら優しく微笑む、頬に傷が走る、こいつ中々にやるぜ、しかしこの傷は甘んじて受けたモノ、具現化する炎水を感じながら血を指で広げる。
憤怒の炎水、さあ、おいで。
「いたぁい、んはぁ、痛いよ、痛いよ炎水、痛いよ『おかあさん』」
『ルァァぁアアあああああああああああああああああ』
痛くないけどそいつを殺しておかあさん♪死んだ後に細胞から記憶を読み取るからね。
読み取りやすいようにミンチにしてね?
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