閑話111・『上野さんはを読んでオッパイでも胸でも無くおチチと呼ぶ事のエロさを知った』

嫉妬深い、キョウは誰よりも嫉妬深い、それでいてナルシストであり自分として俺を愛しているし異性として俺を愛している、二重の愛で支配された俺自身の女性体。


グロリアとイチャイチャした夜には必ず現れて色々される、キスされたり抱きしめられたり色々とされる、好き勝手にやらせて時間が過ぎるのを待つしか無い、夢の世界での時間は意外に早く感じる。


それだけキョウのテンションが高いのか俺自身こいつともっと一緒にいたいと思っているのかそれは不明だ、グロリアに遊ばれた夜は嫉妬が凄まじく中々に酷い目に合う、だけど自分が自分に干渉する事を止める事は出来ない。


湖畔の街は今日も静かだ、透けるような青い空は何処までも広がっているし湖畔に広がる水面は軽やかで鮮やかだ、カエルとかいるのか?この世界を探索すると様々なものに出会う、俺の脳内には無い光景、だから誰の光景だ?


「キョウ、ほら、ぶーたれてねぇで」


「別にぃ、キョウはさっさと帰ってグロリアにおチチ触って貰えばいいじゃん」


「おチチって………あのなぁ、俺だって好きでグロリアにおっぱい揉まれているわけでは無いぜ?」


「おチチ」


「はぁ?」


「おチチって言って、やり直し」


じゅじゅ、鼻水はちゃんとチーンしろ、湖畔が見渡せる小高い丘の上で体育座りをしているキョウ、この世界に降り立ってからずっとこの様だ、最初は心配してあの手この手を尽くしたが段々とムカついて来たぜ?


それをそのまま口にしたらさらにぶーたれそうだ、しかしグロリアと肌を重ねているのを何時も鑑賞してやがるのか?むっつりめ、こいつだったら男だろうが女だろうが好き勝手に抱けるだろうによぉ、自己を確立した最初はかなり飛ばしてたよなあ?


エルフのお姉ちゃん捕まえて生気吸ったり、ああ、あの時は俺とこいつの境目がここまではっきりしてなかったか?俺とキョウの切り替わりは曖昧だ、俺がキョウになるしキョウが俺になる、単純に裏と表の関係性では無い、もっと欲深くもっと悍ましい。


「キョウ?折角の可愛い顔が台無しだぜ?ほら、一緒に遊ぼう、時間は限られてるんだからさ」


「グロリアにも可愛いって言ってたよね?」


そりゃ夢中でおっぱいに吸い付くグロリアを見て確かに言った、普段は沈着冷静で完璧なグロリアが俺の腕の中では小さな赤子のように無垢な表情をするのだ、ついつい正直に呟いてしまったがグロリアには聞こえていなかったようだ、キョウには聞かれていたか?


それがどうしたと言いたいが恐らくぶん殴られる、女は自分だけの言葉を求める傾向にある、勿論、女寄りの精神を持つキョウもそうだ、しかしどうして自分自身にここまで嫉妬されないと駄目なんだぜ?……一部の多くが割り切っているのに本体のキョウはコレなんだから呆れる。


雲の流れを目で追いながらどうしたものかと悩みながら座り込む……キョウの横に座って肩で触れる、トン、じろり、何とも形容し難い視線で俺を責めるキョウ、しかし口元が僅かばかりニマニマしていやがる、ゆるゆるだ、だらしねぇなぁ、苦笑してもう一度軽く小突く。


「ねえねえ」


「何だよ」


「私もキョウのおチチ触りたい!」


「そんな事を言えば俺だってお前のおチチ触りたいわ」


「あー、そっちかぁ………んー、いいよ!」


「あ、ありがとう」


「良いって事よォ」


まさかキョウのおチチを触る事になろうとはなっ!嬉しい展開にテンション上がりまくりで応じるぜ、いかんいかん、あまりはしゃいでいると調子に乗るなっ、自分自身と向かい合う、キョトンとしたキョウの無垢な表情、改めて見るとグロリアに負けないぐらいの美少女だ。


自分自身なのに何だか緊張して来た、ぺたんと床に座り込んだポーズとその表情が俺の精神を激しく揺さぶる、しかし俺はもう嫌なんだ、男なのに大好きな女の子におチチを絞られ続ける悲しい人生はなっ!むにむにむに、何とも言えない感触、両手が俺の掌では無いような感触。


張りがあって瑞々しくて若々しい……キョウは揉まれている自分の胸を見下ろして笑っている、子供の表情だ、性的なものでは無く純粋に楽しんでいる、そのせいで酷い罪悪感が芽生える、おままごとをしながらセックスをしているような有り得ない感覚。


「どぉ?ねえ、どぉ?」


「や、柔らかいけど……もういい、もう触んないっ!」


「へ?キョウ?」


その表情が俺を惑わすんだぜ、金糸と銀糸に塗れた美しい髪、太陽の光を鮮やかに反射する二重色、黄金と白銀が夜空の星のように煌めいている、しかしその白銀の光はクロリアの細胞から由来するもの、一瞬だけそこにグロリアの姿を追ってしまう。


豪華絢爛な着飾る必要も無い程に整った容姿もグロリアと同じモノ、シスターに共通する人外の美貌だ、神がこの世界に具現化すればこのような造形になるのだろうと容易に想像出来る、瞳の色は右は黒色だがその奥に黄金の螺旋が幾重にも描かれている。


黄金と漆黒、何となく慣れ親しんだ感じがあるが違和感も同時に存在する、左だけが青と緑の半々に溶け合ったトルマリンを思わせる色彩をしている、あああ、やっぱりグロリアと同じ、今まで無自覚だったが俺もキョウもグロリアと同じ姿をしている。


それこそ双子のようにっ!お、おチチ、グロリアのぺったんこの胸っ、鼻の奥が痛い、興奮している。


「うっ、うぅ」


「おチチもういいのォ?」


「もう触らんっ!!ったく、柔らかくて瑞々しくてもっと触りたくて最悪だったぜ!」


「キョウ、それは最悪じゃなくて最高って言うんだよォ?んふふ、そうかー、私のおチチは最高かぁ」


「知らん、知らん」


「私のおチチが最高って事はキョウのおチチも最高ってわけだね、そーかー、だからグロリアも夢中なんだ、えへへ、私がグロリアに勝ったみたい」


「バカ言うな」


「?キョウ、顔が赤いよ?うへへ、やらしーの」


グロリアと同じ顔で品の無い笑みをしやがって、意識しちまうじゃないか!


俺とキョウって一人だよな?何だか最近少しだけ違和感がある、深く考えないままキョウとそのまま遊び呆けるのだった。

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