閑話110・『キョウちゃんがキョウをキョウイク』
精神が安定したせいで男としての欲望を取り戻した、やったぜ!あのまま精神崩壊していたらレイプ目シスターとしてグロリアに飼われる所だった。
男性としての欲望をグロリアに向けているのだが本人は欲望が自分に向けられている限りは怒る事は無いぜ、性の対象として私は完璧でしょうとドヤ顔をしている、確かに凄まじい美貌だが胸とケツが足りないな。
それを口にしたら最後だ………殺される、恐らく殺される、恐ろしい殺され方をされる、なので胸の内に隠しとこう♪だけど納得していない者もいる、それは俺自身だ、グロリアの部屋にお出掛けしようとしたら体が動かない。
そのまま鏡の前に座る、それもまた俺の意思では無い、鏡に映し出された自分の表情が変化する、可愛いと自覚している女の子特有の余裕に満ち満ちた表情、自分自身のその表情に少し呆れてしまうが何も言えない、完全に主導権を奪われている。
「んふふ、何処に行くのかなぁ、キョウ、今日はあの街に遊びに来てくれないのォ?」
舌が勝手に動き言葉が吐き出される、金糸と銀糸に塗れた美しい髪……月明かりの光を鮮やかに反射する二重色、黄金と白銀がそれこそ夜空の星のように煌めいている、癖ッ毛なのは仕方が無いのに指で微調整するキョウ、俺の寝癖もそうやって直してるのか?
豪華絢爛な着飾る必要も無い程に整った容姿、グロリアと似ているがここまで派手な要素あったっけと毎回思う、大きな瞳と小さな鼻、お人形のようだなと自分自身で思う、長い睫毛がキラキラと光っていてお姫様のようだ、残念、元農民だぜ!!
瞳の色は右は黒色だがその奥に黄金の螺旋が幾重にも描かれている、黄金と漆黒、何となく慣れ親しんだ感じがあるが違和感も同時に存在する……左だけが青と緑の半々に溶け合ったトルマリンを思わせる色彩をしている、グロリアとお揃いでお気に入りだぜ。
「あのな、好きな女が横の部屋で寝てるんだぞ?お前、やるしかねぇだろ」
「殺るしかないね」
「………ん?何だか意思の疎通が出来ていないような」
「殺るしかないね、だからファルシオンを持っていこうよォ」
「お前、こんな大剣でどんなプレイをするつもりだよ……プレイって真ん中から読んで最初に戻ると酷い字面になるよな」
「どうでもいいよ、下らない」
「なんか冷たく無いか?」
ここでキョウに捕まるとは思わなかった、さっさと話を切り上げてグロリアの部屋に行きたいのだが体がキョウに支配されている、強制的に奪っても良いのだがそれはそれで面倒な事になりそうだ、キョウを怒らせると色々と不備が出る。
仕方が無いので話を聞いてやるか、長話になりそうなのでベールを脱ぐ、何時の間にか肩まで伸びた髪がやや煩わしく感じる、一部の誰かに整えて貰おうかな?指先で前髪を弄りながら考慮する、おっ、無意識だけど自由が戻ったぞ、ふん、甘いぜキョウ!
胸の幅の肩から肩までの外側で着る独特の修道服は一切の穢れの無い純白で暗闇の中では少し不気味なモノのように思える、この服も最初は抵抗があったけど今ではお気に入りだ、様々な魔力的な効果も付加されているし何より軽くて丈夫なのだ。
「キョウったら使徒を取り込んでからグロリアグロリアってデレデレしていてカッコ悪いよ!」
「馬鹿を言うな、あのグロリアが惚れた男だぞ?カッコ良い所しかねぇわ」
「言ってみてよォ」
「体の中に沢山の一部がいて用途に応じて召喚出来るぜ、カッコいいだろう?」
「キョウ、教えて無かったけどエルフライダーの能力って実は相当にキモいんだよぉ?」
「ははははは、そんなバカな、出産も妊娠も出来る素敵な能力じゃねぇか、生命の神秘を司るこの能力の何処がキモイんだぜ?」
「そ、育て方を間違えたかなァ、あのね、キョウ、その能力が一番キモいんだよ?俯瞰で見ようねェ」
「俯瞰で………命って素晴らしい」
「あ、ダメだ」
キョウは頭を抱えているな、こいつって出た時は淫靡で他者を惑わすようなキャラだったけど今では俺に振り回されているよな、蜂蜜を思わせる粘度と糖度のある口調はそのままだが何処か俺を心配するような色合いが強い。
使徒を取り込んでから頭がスッキリしている、キョウの説教を聞いてやる余裕もある、促すように顎を動かすと指を立ててキョウが語り出す………旅で赤ちゃん出来ちゃったらどうするの?すげぇまともな説教に流石の俺も狼狽える。
「ぐ、グロリアに赤ちゃん出来てもグロリアだぜ?無敵だから大丈夫だろ」
「あまーい、あんな化け物でも女の子なんだよ?お腹に赤ちゃん抱えて旅が出来るわけ無いでしょう?」
「だ、だったらエッチ出来ないじゃん、あっ、俺は赤ちゃん二人抱えてて大丈夫だったぞ!」
「それも説明しないとねェ、キョウ、あの妊娠方法は普通じゃないんだよォ?」
「え、股からこいついいなって思う奴に触手伸ばして引き摺り込んで自分の赤ちゃんにする工程の何処が普通じゃないんだ?」
「ぜ、全部だよォ」
怯えた表情をするキョウ、え、俺が悪いのか?カタカタカタ、小刻みに震えているのは能力云々の恐ろしさでは無く俺の発言で怯えているようだぜ、見ろ、この視線を!
アホな息子を見る母親の目だっ。
「もしかしてそれが原因で女の子にモテないのか?」
「そ、それもあるのかなぁ」
「よぉし、キョウ!俺に常識を教えてくれっ!お前はやっぱり頼りになるぜ」
「うへへ……そもそも私の存在が非常識なんだけどなァ………」
キョウに色々と教えて貰いながら思う………常識って難しいぜ!
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