読者様からの推薦 3 ~【ゴッド☆ちっぱい】~
数ある危険なスコップ作業の中でも、特に危険度が高いジャンルという物が存在する。
それは、隊長と隊員が『主戦場だ』と豪語する歴史ジャンルである。
カクヨム界生命保険協会の調べによると、カクヨム界で生命保険を販売する各社が公表した「危険職種」の中で、特にその危険度が高いとされているのが「ファンタジー要素の少ない戦乱物のスコップ従事者」である。
ご都合主義の少ないその世界でのスコップでは、死という現象がリアルに表現される事も多く、同時に「命に対する考え方」が現代と比べて非常に希薄であり、日常そのものが死と隣り合わせなのだ。
この日、そんな危険な世界に二人は足を踏み入れていた。
「ここはどのあたりだ」
「そうですね。日本の滋賀県あたりだと思います。岐阜県との県境あたりっすね」
スコップを片手に街道を歩いていた二人は、異様な雰囲気を察して古い寺に隠れるように潜んで辺りを覗っている。
「物々しい連中が多いな。街道の方は大行列ではないか」
隊長の言うように、完全武装と言っても過言ではない連中が辺り一帯に展開しており、近隣の街道にはその武将集団が長蛇の列を作って西へ西へと歩を進めている。
「年代的に考えても、関ケ原でしょう。雰囲気的にはもう戦闘は終わった感じでしょうね。自分、ちょっくら見てきますよ」
危険を顧みない、無鉄砲、様々な表現がなされるが、隊員の行動は言うなればただの馬鹿である。
「貴様、怪しまれれば斬り殺されるぞ。自重しろ」
「だって隊長、状況から考えて今動かないとチャンスを逃しますよ!」
隊員はやけに乗り気である。
「何のチャンスだ」
「石田治部ですよ! 今頃ローラー作戦から逃げ回ってるはずです。会って話が出来るのは、長くて一か月、早けりゃ明日にでも田中吉政に捕まっちゃいますよ!」
隊員の必死さに、隊長は少しの沈黙を以て考慮する。
隊員はそれを身じろぎもせずに待った。
「やはりダメだ。だが貴様が石田三成に会いたいのなら、会わせてやる」
「え?
無言で頷いた隊長は、そこで一つの質問を投げかけた。
「貴様、巨乳と貧乳はどちらが好みだ。特段重要な質問ではない。好みの問題だけだ」
「へ? まぁ……全体的なバランスにもよりますけど、つるぺったんは結構好みです!」
隊長は小さくニヒルな笑みを浮かべた。
「いいだろう。だが先に言っておくがな、貧乳とストーリーは殆ど関連性がない。これから連れて行く世界は、紛れもなく真っ当な歴史物だ」
「……!?」
隊長は目を輝かせた。
貧乳に興味を惹かれたわけではない。
そもそもスコップする世界に
そう簡単に出入り出来るものではなく、スコップ協会の許可も必要となる事なのだ。
「心配するな。これから俺が目指す世界は、かつて貴様が作った世界だ」
「……え? あれ? まさか、ちょっとそれはどうなんですか?」
だが、三成には会いたい。
ピザを食べたいと思ったその直後に蕎麦が昼食では虚しいのと同じで、三成に会いたいと思ったらどうしても三成に会いたいのだ。
それが自分の作り出した世界だとしても。
「わかりました隊長。自分、案内するっす!」
「そうだな。ちなみに俺は巨乳が好みだ」
「ばっちりっす。そっちも抜かりない世界です!」
「そうだったな。安心した」
こうして二人は、スコップを放り投げて完全にサボる事になってしまったのだった。
◆読者様から頂戴した他薦作品を紹介させて頂きます。
タイトル:ゴッド☆ちっぱい【治部少乳の大冒険】
ジャンル:歴史・時代
作者:犬のニャン太(ゴメンナサイ
話数:12話
文字数:33,156文字
評価:★61 (2016.11.26現在)
最新評価:2016年11月10日 20:36
URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054881506660
検索時:『ゴッドちっぱい』で検索しましょう。
キャッチコピー
ならば言おう。俺の望みは乳……いや、そんな筈はない。今のは違うぞ
ぴぴこ様より頂いたお便り(近況ノートより転載)
初めまして!
いつも楽しく拝見させてもらってます。
リクエスト受け付けてくれるとのことでしたので、勇気を振り絞って書いてます(汗)
紹介前のショートストーリーが楽しすぎて、私の好きな作品の前にどんなショートストーリーを付けてくれるのか、それがどうしても見たいんです。
私は書かないので推薦になりますけど、よかったらお願いします。
作品は「ゴッド★ちっぱい」です(笑笑
ダメですかね?
ニヤニヤしながら待ってます!(笑)
感想―――(大人の都合で無判定とします)
石田三成に対する強いリスペクトが生んだ、前代未聞の超真面目歴史ファンタジー小説。
読者のレビューで「イカレテル」や「ふざけたタイトル」や「タイトルだけ星三つの価値」などと揶揄されるインパクトのあるタイトに反し、一話から強烈な歴史物の展開をぶつけられる事になる。
この作品だけで石田三成の魅力が存分に伝わる形ではありますが、どうにもキャラ設定にちぐはぐな要素を詰め込んだために何処まで伝わるかは読者次第であろうと思われます。
同じくレビューにて「良い意味でタイトル詐欺」と評された通りタイトル事態は完全に遊び心で付けられているにも関わらず、六条河原の処刑風景から始まるストーリーや、その他設定が高評価で、特にラストの展開が秀逸だと賛辞が集中した異色作。
星だけが投じられる評価の割合が少なく、読者に「何か書いていきたい」と思わせるような、強烈なインパクトのあった作品だという事は間違いないと思う。
ちなみに、ストーリーに「ちっぱい」は殆ど影響を及ぼさない。
一応、申し訳程度には意味を持たされているが、エロ展開は期待しない方がよろしいかと思います。
ぜひご一読ください。
※ここからは本音
ちょっとまってくださいよー!!!!(ロッチ風
というのが本音。
「埋もれちまった悲しみに」を開始して早々に寄せられた他薦がこれでした。
まさか、自分の作品を紹介してくれと言われるなど全く想像しておらず、完全に不意を突かれた形になってしまいました。
ですが、こちらが提示した条件に丸ハマリな上に、勇気を振り絞ってくれたとの事でしたので無下に断るわけにもいかず。
紹介順を後回しにさせて頂く条件でお受けしたのですが、流石に日数も経過していますし、ここらへんで紹介させて頂く事にしました。
感想部分は一応、真面目(?)に書いたつもりです。
が、★評価だけは勘弁してください!
自作につき、判定無しとさせて頂きました。
お便りではショートストーリーを楽しみにしているとあったのですが、ぴぴこ様ごめんなさい。
流石に自分の作品が対象だと思う様に妄想が膨らまず、若干やっつけ仕事になってしまいました。
以上、言い訳で〆たいと思います。
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