読者様からの他薦 作品紹介(良作揃い)
読者様からの推薦 1 ~【恋ひとつ、ふたりのあした、晴れますように。】~
秋に色づく街並みを、一足早くイルミネーションが彩り始めていた。
「この時期は嫌になりますよね。隊長はクリスマスの予定は決まってますか?」
何気なく尋ねた隊員に対し、隊長は明らかな動揺を見せた。
「なっ、き、貴様に何の関係がある」
その様子に、隊員はあからさまに「怪しい」という感想を抱く。
「ははーん、隊長、まさかリア充的な予定が入ったりしてますね? ショックだなあ~」
「な、なぜ貴様が残念がる!」
クリスマスイルミネーションに色泥られた街並みは、リア充とそうでない者との間に痛烈な格差社会を知らしめる。
「いやあ、隊長も暇だったら飯でも行こうと思っていたんですよ。自分、今年は確実にボッチなクリスマスですから」
昨年、隊員には彼女がいた。
それも数年ぶりの彼女であったわけだが、今年は一人である。
「そ、そ、そういう事は早く言え。俺にだって予定というものがあるのだ」
「そうっすよね。羨ましいなぁ」
項垂れる隊員。
隊長は動揺を隠せないままに言葉を続けた。
「だ、だがな。貴様が『どうしても』と言うなら考えてやってもいいぞ。予定と言っても大した事ではないのだ」
「マジっすか?」
「ああ。いや、べ、別に貴様との予定を優先したいとか、そういう事ではないぞ? いや、そうなんだが、そうではなく……ええい、もういい! とにかくだ、何処かへ行くならしっかりと予定を決めておいてくれ。クリスマスの夜に貴様と惨めに街をほっつき歩くなど御免だからな」
「なんか今日の隊長、妙に可愛いっすね」
刹那、隊長の顔が真っ赤に染まった。
「ばっ、馬鹿な事を言うな! 射るぞ!」
隊長の手には、クリスマスカラーに装飾されたボウガンが握られていた。
備えられている矢には、あからさまにハートの形の矢羽が付けられている。
「うお、危ない! ちょっと隊長! 危ないっす!」
「黙れ! 俺の心を乱したお前が悪い!」
一瞬の沈黙。
「……え?」
呆気にとられる隊員と目が合ったのだが、隊長は慌ててその視線を逸らす。
「か、勘違いするな。俺はただ、その、なんだ……どうせ暇つぶしをするなら、気心知れた貴様といた方が楽だと思っただけだ。妙な気を起こすなよ? ただの暇つぶしだからな?」
「そうっすよね、暇つぶしっすよね」
隊員は背中に妙な汗をかいてる。
言い知れぬ恐怖感に押しつぶされそうになりながら、隊員は隊長から視線を外してイルミネーションの方へ体を向けた。
その背中、上着の部分だけを隊長が小さく摘まんで引っ張る。
「暇つぶしも一人でするよりは、貴様となら……
「ぐあああああああああ!」
飛び起きた隊員は、逃げるようにしてベッドから転げ落ちた。
衣服はびっしょりと汗まみれになっている。
「恐ろしい夢だ……そういえば隊長って、男だとばっかり思ってたけど、どっちなんだろう。文字だけじゃわからないもんだよな。俺ッ娘の可能性を否定しきれない。恐ろしや恐ろしや」
隊員はすぐさま洗面所で顔を洗い、気分転換に昨夜読んだ物語の感想を書き始めた。
「くそう、こんなの読んじゃったからかな」
今夜はどうにも眠れそうにない。
隊員は朝までかかって感想を仕上げたのであった。
◆読者様から頂戴した他薦作品を紹介させて頂きます。
タイトル:恋ひとつ、ふたりのあした、晴れますように。
ジャンル:恋愛・ラブコメ
作者:氷川マサト様
話数:20話
文字数:170,590文字
評価:★15 (2016.11.20現在)
最新評価:2016年11月6日 22:15
URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054881463108
検索時:『ふたりのあした』で検索しましょう。『恋ひとつ』でもヒットします。
キャッチコピー
ぴんと張り詰めた、弓道場の空気 。口下手なふたりの、心地よい沈黙。
頂いたお便り(近況ノートより転載)
はじめまして!
基本読む専の黒猫屋と申します
推薦ひとついいでしょうか?
『恋ひとつ、ふたりのあした、晴れますように。』
氷川マサト さん
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881463108
高校生の恋愛もの、ふたりがだんだん距離を詰めていくところがじれじれしてよいです
そしてふたりには存外重い過去…
そしてそしてヒロインの結先輩可愛すぎます
どうしてこれが☆15個どまりなのか不思議で仕方がない作品です
どうかご覧くださいませ
感想★★★
最初に申し上げておきたいのは、私、恋愛がメインテーマのお話を読むのが苦手で御座います。
何故かって? 内緒です。
ネット上の恋愛小説で、弓道物が多いのは知っていました。
そして、その理由がはっきりと分かりました。
「心」を鍛える弓道と、恋愛って凄く相性がいいんですね!
高校生の不器用な恋愛模様に、恋愛小説ならではのヘビーな設定。
十七万文字、一気読みしちまったぜ。
年甲斐もなく恋愛小説を一気読みしちまったぜ。
良かった。実に良かった。
恋愛部分だけじゃなくて、青春部分っていいますか、上手くいかない事って多いよねって感じがとてもいい雰囲気で、完全に引き込まれてしまいました。
互いに惹かれ合う主人公二人の目線で交互に紡がれていくストーリーは、一層じれったい想いを感じられて、読んでるこっちは脳内で変な汁がブッシャーって感じですよ。
★15でおかしいと思うというお話があった通り、確かにこれはもっと評価されても良いのではないかと思う。
半面、私は恋愛小説を最も苦手ジャンルとしているため、このストーリーが他の恋愛小説と比べてどこら辺が秀逸なのかが分からない。
完全に勉強不足が露呈しました。ごめんなさい。
ですが、個人的な感想としては文句なしの★3です!
なんせ苦手な私が一気読みしたくらいですからね!
皆様、ぜひご一読下さい!
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