ここが才能の終わり
@dojisan
第1話扉
「いまから何しようか?」
ふとそんな当てもない思いにふける少年が一人。彼は晃哉。学生、高校生。いま一番やることが尽きない3年生。受験という壁と戦っている。
しかし、もう受験は「戦っていた」なのである。彼は全ての志望校、"滑り止め"と呼ばれる箇所にも不合格を頂いてしまった。親からも罵声。「なんでそんなにできないの?」…だがこの親から言われれば誰しもが少しは堪えそうな言葉が彼には少しも沁みない。才能が周りの人達よりも自分にはあると信じていた。すぐに社会で見返せると。ただ、彼自身も何の才能かはまだ気づけてはいなかった。
「とりあえず…マックいくかな」
考えもなくとりあえずで向かった。
腹も減ってるわけでもない、何をしていいかもわからず、よくあるとりあえず~の考えのみで向かっていた。向かう途中、晃哉が呟く。
「俺を評価する世界とかないもんかねー?普通の社会じゃ俺のこと計れないっしょ?織田信長とか因数とか勉強させて分かるなら大したもんだよなー、ほんと。この世界変えてみろよ世界。」
よくある厨ニ病を抱えているような現代男子の呟き。自分失敗しないので、今更になってあの某美人女医のドラマのセリフを考えの奥に秘めてるような、そんな感じだ。
向かっている最中、横断歩道の上。友人から声がかかる。
「おい晃哉~、何してんだ?」
ただの呼びかけ、ただこれはフラグ?そう感じさせてもしまうタイミングでの呼びかけ。結末はフラグ通りであった。晃哉が呼びかけに振り返った瞬間、晃哉の身体は宙に舞っていた。車にハネられたようだ。
「大丈夫か晃哉?!おい!救急車!」
慌てる友人、意識が遠退いていく晃哉。心配してるのかTwitterの話題にしたいだけなのかわからない周りの方々。色々な人が交錯してるなか、晃哉は致命傷だったのか友人からの言葉が聞こえなくなってくる。
「おぃ…ぉ前…ほんと目ぇ…覚ませッ…」
あーあー聞こえない、死にそうだというのに頭の中は意外とこういうとき冷静なもので、頭では友人にこう返事していた。
「俺、死ぬっぽい?マジ?マジかぁ~」
あまりに第三者からみたような。聞こえなくなってきていた友人の言葉は聞こえなくなった。晃哉の意識は、完全に飛んだ。
何故か目が覚めた。
車に跳ねられ、友人の声も聞こえなくなったはずの自分が普通に目を覚まし、さすがにまだ理解ができていなかった。
「あー、これ夢オチか?リアルだな…」
まだ起き上がりながらの独り言だったので周りを見ていなかった。自宅か何かかと思いきっていた。そして視界が広がる。
「えっ?ちょっ…ここ、はぁ?何?」
彼は運動場の真ん中に立っていた。まったく訳がわからない。普通の高校…?いや中学?校舎はそのものなのだが、さすがに得体が知れない。そんな戸惑っている晃哉に校舎から少年と大人の男性、先生か?二人で小走りでやってくる。そのまま少年がうるさく話しかけてきた。
「どこから来たの?!名前は?!どうやって死んだの?!」
ぶしつけだな~と思いつつ質問に何かを感じる。
(死んだの?ってなんだ…?俺は死んだのか?夢オチじゃないのか?)
質問には答えられず、黙って考えてしまっていると、少年が自己紹介。
「ぼくはりょうた!涼しい太郎って書いて涼太!13歳だよ!」
13歳?!んじゃここは中学校なのか?と考えるがすぐ気づく。そういえば死んだとかなんだとか言ってたな、と。続けて先生が自己紹介。
「榊です。こちらの学校の指導員を行っています、これからよろしくね。」
はい、よろしく~ってわけにもいかず、色々考えているなか1つの情報。ここは学校ではあるのだということ。榊に晃哉は冷静に質問をとばす。
「ここは、中学校?」
13歳の少年を念頭にいれて質問した。答えをもらう。
「こちらは、専門学校とでも言うべきでしょうか?あなたの隠れた才能を見つけます。」
は、はい?うさんくさい…晃哉は瞬時に感じた。さらに思った、俺は死んでるんだろ?才能見つけてどうすんだ…。心のなかでぶつぶつ言っていると榊に話しかけられる。
「とりあえず、中へお入りください。あなたの部屋をご用意してます。こちらは寮もあるんですよ。」涼太も喜ぶ
「わーい!お兄ちゃんになってよ!」
もう訳がわからない。ご用意?来ることがわかってた?死ぬことが…わかってた?そんな気がした。才能?知らねえし、戻せるなら戻してくれよ、と晃哉は考えが追い付かない。そして運動場を縦断し、校舎の入口。
「何ここ?刑務所…?」
そう思えるような鉛色で必要以上に鈍重な見た目の分厚そうな扉が目の前に。そういえば見てなかったなと校舎の反対側を見る。運動場を超えた先にはよくある鉄格子のような校門、その先は、真っ黒な闇だった。鈍重な扉は晃哉は案内され、校舎の中へ入っていった。
ここが才能の終わり @dojisan
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