1

朝は苦手だ。

昼過ぎから出勤をしていると朝勤の辛さが身に染みてわかる。

満員電車は眠い中座れないし、学生が座ってるのを見るとイラっとしてしまう。

おまえら授業だけだろ!授業中いつでも寝れるじゃん?

あー。まじ社会人優先の椅子とかないかなーてあんときは思ってたね。

基本的に夜行性である私には朝勤とか向いてないんだ。


現在私はアラサー間近なのにも関わらず定職についていない。

いわゆるフリーターという人種である。

しかしあえて言おう。フリーターこそ最強の職業であると!

だってさ、昼から出勤だったら電車は混んでないし、寝ようと思ったら椅子で寝れるじゃん?

それにシフト制だから平日に休みとれるし、どこいっても人少ないから楽だし。

何より彼氏がいない私は自分の為にしかお金を使わない!!

なんて最高なんだろうか。

…いかん、言ってて寂しくなってきた。


ちなみに今はバイトの出勤中。

場所は歩いて5分のコンビニ。

まさに最強である。

「いらっしゃ…あ、お疲れでーす」

「お疲れ様です」

同僚Aに適当に会釈して控室に入る。

実質そこまで仲良くはないのでかわす会話も特にない。

いいさ、どうせシフトで入れ替わりになるんだから。

コミュ障である私には同僚と会話なんてのはハードルが高すぎるんだ。

慣れた手つきでコンビニの制服へと着替え、バイトの時間まで控室で時間つぶし。

手には昼過ぎまで充電してきた電池満タンのスマホ。

「今日は何をしようかなー…と」

シフト交代の時間まではまだ30分以上ある。

別に時間を間違えてきたわけじゃないし、毎回の如くだ。


え?なんでって?

家にいたら寝て遅刻するかもしれないから。

そんなこんなでスマホいじりを開始する。

近年のネット事情は異様なまでに進みすぎている希ガス。

2chも携帯アプリとしてある時代よ?

すげーいい時に生まれてきたな私。

といいつつも今日もやる事はSNSなんだけどねぇ。

「あれ? またフォロワー増えてる」

最近えらくフォローされる回数が多い。

特に最近おもしろいつぶやきもしてないきがするんだけどなぁ。

「なんだこの子」

フォローしてくれてるのは私には似ても似つかないイマドキ系の女子。

完全にリア充顔だわこの子。

なんか写真もカフェに行った写真とかしか載せてないし。

私みたいにゲームの画像とかを載せてるわけでもない。

逆にいうけどなんでそんなやつがフォローしてくるの?

どうみてもあんたら人種が嫌いそうなタイプなんだけど。


「あー。新島さん、もう来てたのかい」

「あ、お疲れっす。いくら私だからってノックはしたほうがいいすよ」

「おっと失礼。これは悪かったね。今度から気を付けるよ」

「これもう3回目ぐらいすけど…」

この女子が着替えてるかもしれないのにノックもせず入ってくるのは、店長の蒲生ガモウさんだ。

いっても店長というなの肩書を持ってるだけの人物だが。

年齢は私より一つ上の三十歳。

見た目は短髪で爽やかイケメンって感じだ。

正直なんでこんな人が一コンビニの店長なんかやってるんだろうと思ってしまう。

コミュ障の私だが、この人だけは別でなんだか馬が合う。

年が近いのもあると思うけど、趣味が意外と共通点があるのだ。

私の趣味はネトゲ、ネットサーフィン、SNSなどだが、店長はネトゲ大好きなのだ。

その為、数少ない話せる人物でもある。


「そういえば新島さん。明日から新人がくるよ」

「へー。朝シフトっすか? 私には関係ないけど」

「いや、珍しいと思うけど夜シフトだよ」

「はえ?」

意外性に素っ頓狂な声が出てしまった。

ここ半年近く夜のシフトに新人なんていなかったのに…

めんどくさいなぁ。男だったらなおさら喋る気なんておきないし…

「今回は女の子だよ。もっとも僕は会ったことないからどんな子かわからないけどね」

「会ったことないって、蒲生さんが面接するんじゃないんですか?」

「正社員の子なのさ。別の場所で受けて、ここに配置ってわけ」

ああ、なるほど。

忘れてたけどコンビニにも正社員ってあるんだよな。

そりゃそうか。全国に何万って店舗あるんだしね。

「年も若いらしいから。まぁ色々教えてあげてよ」

「しがないバイトの私に無茶ぶりっすね」

店長はわるびれもない顔をしてその場を去っていった。


「…ふぅ」

新人かー。

正直億劫でしかないなぁ。

ぶっちゃけ趣味とかあわないだろうし。

イマドキ系女子とか来られても困るしなぁ。

…まぁいいや。適当にあしらおう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る