他人の人生をなし崩しにしたら自分が幸福になりました

明鏡止水

第一章 怠惰と倦怠

プロローグ

できることなら人生をやり直したい。

人生はクソゲーだってどこかの誰かさんが言ってたような気がするし、私自身もそう思ってる。

ゲームであるならセーブポイントもあるし、進める中で詰んでしまってもニューゲームにすればいい。

でも人生はそう簡単にはいかないのだ。


私、新島早苗ニイジマサナエは怠惰な人生を謳歌しながらも、そんな考えを頭に張り巡らせていた。

歳を重ねるごとに自堕落になっていくこの生活にも、恐ろしいことに耐性がついてしまっている。

夜に寝落ちするまでネトゲをして、朝ごはんも食べずに昼過ぎまで爆睡。

昼にのそのそと起きたら恒例のSNS巡りをする。

これが私の今のルーティーンだ。

「お、フォロワー増えてる」


新しくフォローしてくれたフォロワーさんは全く知らない人だった。

プロフに写真があったけど、見る限りでは私よりも一回り上か、もしくはちょっと上ぐらいの男性であった。

「…暇人かよぉ」

正直私がいえた義理ではないが、女に見境なくフォローする男はあまり好きではない。

何回か試しに男性とメッセージのやりとりはしたことがあるが、最終的にどいつも『LINEやってる?』とかアホか。

確かに29歳、アラサーまっしぐらのあたしとしても彼氏は欲しいところだよ。

だけどそんなに軽い女じゃないからなっ!キリッ。

という三文芝居をしながらもあたしは動く気力のない体をなんとか動かす。

そう、バイト。

否、悪夢の時間である。


これは私という自堕落な人生を送っている、アラサー系女子が

これから起こる不思議なことにてんやわんやしていく物語である。

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