こうやって人間は、違和感というものを抱かなくなるんでしょうね……。
不思議な雰囲気のホラー短編。釣ってきた生き物は明らかに異常なのに、それをいつものように調理するお姉さん。平穏な日常が知らぬ間に歪んでいくような、静かな恐ろしさが素敵です。
釣りをする弟とそれを料理する姉です。出だしから不穏な空気を身にまとい、どうなるのかと思いきや……まさかこんなオチになるとは思ってもいませんでした。それでも、しっかりとしたオチで読後感はいいものになっています。果たして、姉はどちらなのか?次の作品にも期待して、星3つ送らせて頂きます。
不思議な雰囲気の作品だった。少しずつ不思議さがエスカレートしていくような、異形ホラー日常系コメディ?そんな作品だった。
作中の予想外さのおかげで、釣りの奥深さを知れました。釣りって楽しいんですね。読んだ私も釣りに興味を持ちました。釣られたのは私のほうかもしれません。そう思える作品でした。次はどんなものが釣れるのでしょう?そこはきっと、彼のまだ見ぬ世界が待っているんでしょう。
私も以前、友人に連れられて釣りに行ったとき、気持ち悪い生物を釣ったことがあります。手のひらくらいの大きさで、目も鼻も口もなく、全身に刺がある桃赤色の生物で、ウネウネと毛虫みたいに動く姿がたまらなく気色悪かったのですが、そのときのことを思い出しました。
本当の恐怖は、オバケでもなんでもなくて、正常さや秩序を失うことだと感じさせられます。おまけに、崩壊が知らず知らず始まり、変だなぁと思う気も失せた頃には、手遅れなんですね。狂気に飲まれてみたい人は必読です。その後のことは知りませんけど。