2:その名はアルティ

「うーっし、逃げ切れたな。おい大丈夫か?」

「身体は大丈夫だ。……申し、訳、ない」

「喋るな。今は休め」

 アークス王国に取り込まれた旧ハンムダリアの一角。二三歳のクレイトン・ヒンチクリフが立ち、当代アークス国王、サイモン・アークスが荒い息を吐きながら座していた。

 抵抗勢力の筆頭シャンドル・デ・ラ・ホーヤを殺害し、正式にアークスに編入されて六年が経過した当地に、サイモンはクレイ一人を護衛に連れて訪れた。

 六年の歳月は決して短い時間ではなく、敵意を緩和する策も機能している。サイモンも幾度か当地に降り立ち、旧ハンムダリアと元々のアークスは対等な関係と、世界への発信を繰り返していた。

 だが、どのように取り繕っても最終的に暴力で取り込んだ事実は変えられない。善良な人々も多少なりとも反感を抱く事象と、その首謀者とも言うべき男がノコノコ現れたとなれば、国粋主義者の暴発が生じても不思議では無い。


 クレイが抱いた不安は、見事に的中した。


 よりにもよってアークス王国軍御用達、オルーク社製の装備を纏った十数名の襲撃を受け、全員を叩きのめそうと動いた彼は「一人も傷つけるな」とサイモンから指示を受けた。

 敵を無力化させる事は、単に殺すより難しい。無傷の縛りが付くと難易度は更に跳ね上がる。道理に従う形で大苦戦を強いられ、武器を抜くどころか魔術すら紡げぬまま逃走を続け、辛くも逃げ仰せた。

「国民つっても、アンタに武器を向けたなら処刑されても文句は言えないだろ。なんであんな指示を出した?」

「辿り着くまでにどれほどの血が流れようと、どれだけ不信感を抱かれていても、彼等はアークス国民だ。暴力による併合で私に憎悪を抱くことは仕方がない。それを受け止める事が私の責務だ」

 任務遂行と言えるだろうが、「売られた喧嘩は買う」を基本とする男には引っ掛かりの残る結末。そして、殺しに来た連中を無傷で済ませたこと。

 不満と疑問の混じった声に、サイモン・アークスは不慣れな運動で乱れ放題の呼吸の隙間から応じる。職業人の視点では立派だが、立場を鑑みれば愚かな選択だ。

「象徴が身を危険に晒してどうすんだ。アンタに実権がないなんざ、文明社会から切り離された奴か、裏取りのない情報掴んで『俺だけは世界の真実を知っている』って噴き上がる間抜け以外知ってる。世の中の道理を教えるのは仕事の外か?」

「生きてきた場所が異なれば道理もまた然り。思考を画一的に持ってはならない。理解されないのならば、対話を試みるべきだ」

「『正義の味方』連中にも人権があると考えて、対話を試みろって言ってんのと同じだぞ。俺とアンタがそうであるように、同じ服着た違うサルがヒトだ。理解し合える環境なんざ、全てを完全に統合するしか無理だ」

「その通りだ」


 純粋な皮肉を肯定され、鼻白む。


 皮肉を打ち返して来たのかと視線を降ろす。未だ疲労は色濃いが、凡庸極まる男には確かな意思が宿っている。二の句が継げなくなったクレイに言い聞かせるように、サイモンの声が路地裏に響く。

「君の振るう力や、正しい者の正しい言葉では、世界を完全な平和に導くことは叶わない。力や知恵は、どれだけ取り繕っても才能や環境によって左右されてしまうからね」

「社会主義でもやんのか? 民主主義が絶対正義なんて言うつもりはないが、アレはアレで危険だろ。大陸北部の連邦も結局崩壊したしな」

「不正解だ。盤面が異なっている事が最大の問題だ。そこに立つ為の前提、生きるための規則。これらが異なる以上、真の平和と理解は成し遂げられない」

 盤面とは一体何を指しているのか。その統一が、サイモン・アークスの描く真の平和への前提条件という事だが、ではどうすれば統一が成るのか。

 情報の著しい不足から、当然クレイに正解は見えない。

 だが、これまで接してきた中で組み上げられた、目立つ欠点こそ無いが長所もまた然り。それなりを守り抜いて、それなりのまま次代に手渡すだけ。との印象が破壊された事は確かだ。

 確信と、何処か不吉な予感を抱き沈黙するクレイを他所に、サイモンが立ち上がる。汗こそ残るが、肉体の疲労に振り回されているだけの男。といった風情を完全に振り払った男は、微笑を湛えて歩き出す。

「そろそろ戻ろうか。これ以上遅くなると、色々と不都合が生まれる」

「……了解した」

 戸惑いながらも、己の役割を思い出したクレイはサイモンに追従する。

 同じだが、決定的に違う。

 ヒトとしてごく当たり前の、しかし、受け止めることが存外難しい事実を映し出す光景を見るのは、旧ハンムダリアを見下ろす空だけだった。


                   ◆

 

 声を受け、クレイとオズワルドが振り返る。

 目に映るは死した空。だが耳に届く声が二人の元雇用主にして現アークス国王、サイモン・アークスであることだけは疑いようが無かった。

「どこで見てるか知らねぇが、やっぱり頭はお前か。……何のつもりだ?」

「クレイトン・ヒンチクリフ。君に嘗て語った筈だ。それを結実させる為の一手を放つ。シンプルな話だろう?」

「オズの殺害も含めた一連の出来事が、世界平和とやらの礎ってか? ……足元を見れない屑が、平和を語ってんじゃねぇよ!」

 クレイの大喝が、空気を震わせる。

 死せる大地に不釣り合いな、生に満ちた咆吼を何処吹く風とばかりに、サイモンの声が淡々と続く。

「平和には犠牲が必要だ。そして、私も必ずそこに行こう。だが今は整備の段階……」

「言葉遊びは結構。貴方がどれだけ崇高な目的を掲げていようが、ルチアを差し向けた時点で対話の道は無い。整備段階ならば、ボク達がここで潰すまで!」

「断絶は深い、か。アルティ」

「ここに」

 第五の声が生まれる。


 声の生まれた地点に、忽然と人が立っていた。


 身長は一・七メクトルに僅かに届かない程度。腰元まで伸びる髪は新雪よりも白く、あどけなさと玲瓏さを両立させた整った顔で、呼吸の度に変色する目が特段異彩を放つ。

 品を感じさせるが、上層部の存在が纏うにはカジュアルに過ぎる装いの少女は、目を無視すればこの場にいてはならないと判断し、紳士的に退場を促すべき存在にも見える。

「お前飛行島の……!」

「お久しぶり、でしょうか。また別の場所で。と言いましたが、ここで再会するとは読めませんでした」

「黙ってろ! 人食い女が切り札? 墜ちたもんだ、サイモン・アークス!」

 激するクレイと、彼の反応を受け警戒度合いを引き上げるオズワルド。意思が益々先鋭化していく二人に、やはり変わらないサイモンの声が届く。

「アルティ・レヴィナ・エスカリオ。世界変革の旗手だ。君達が彼女に勝利したなら、計画を全て明かし、放棄した上で私は自刃しよう」

 落伍者二人は、同行者とアルティと呼ばれた少女へ視線を何度も行き来させる。それほどまでに、ここにいない男の宣言は衝撃的だったのだ。

 サイモン・アークスによる、疑心を煽る行為や煙に巻く発言、隠し事は枚挙に暇がない。政治に求められる素養以前に、彼個人の性分がこれらの多用に繋がっているのだろう。

 だが、彼は絶対に嘘を吐かない。分厚いヴェールで丹念に覆い隠し、思考の袋小路へ誘導する事こそあれど、最奥には必ず真実を置いている。

 アルティと呼んだ眼前の少女を撃破すれば、彼は本当に計画を放棄して自刃するだろう。そのような宣言をするとは即ち、少女に絶対の信頼を置いているが故。


 ――そこまで信頼を寄せる。つまり、俺やオズ、ルチアなんぞ歯牙にも掛けない実力者って訳か。……長期戦は不味い、やるなら最初の一撃に賭ける。


「そして一つ約束して欲しい。アルティが勝った時、再び私の配下に付くと」

 妥当な対価だろうが、内通していた同僚に殺された者と、それを切っ掛けに離脱した者への提示など、常人は行う筈もない。

 頭のネジを幾つか落としてきた自覚のあるクレイとて、発言者がサイモン・アークスで、彼の人となりを知らなければ妄言と切り捨てていた。

 彼が描く計画の成就には武力が必要であり、二人の感情を計算から排除して力を純粋に求めているのだろう。

 袂を分かってからも尚、高い評価を受けている事実を前に、言語化出来ない感情が胸中を過ったのは一瞬。クレイはオー・ルージュを構え、図ったかのようにオズワルドも刃が湾曲した奇妙な剣をアルティに向ける。

「下らねぇな。今更戻るぐらいなら、俺は死を選ぶ」

「袂を分かった後、尻尾を振る無様な真似をボクは肯定しない。強い言葉を弄しているが、そのガラクタに負ける程、ボク達は墜ちていない」

 強い拒絶が、デウ・テナ・アソストルに投げられる。

 永劫にも思える沈黙は、サイモンが長い息を吐いて終わりを告げた。

「そうか、それが君達の選択か。ルチア君、下がるんだ」

「……しかし」

「アークスを発つ前に命じた筈だ。君の任務はあくまでアルティ君の補助。極めて勝率の低い戦いをこれ以上続け、君をここで失う訳にはいかない。下がりたまえ」

 意思を完全無視した指示を受け、唇を噛んだルチアが『転瞬位トラノペイン』を発動。揺らめく彼女から二人に放たれる物は、一つの側面では説明出来ない複雑な感情だった。

 役者が減じた禁足地で、残された二人は開戦直前とは思えぬ、平静を保つアルティを睨む。手札の認識に大きな優劣がある以上、下手に踏み込めば大火傷は必至。

 相手の手札を可能な限り引き出し、そこから指し手を構築する必要がある。

「……どう動く?」

「いつも通り、と行きたいが……!」

 余計な昂ぶりを防ぐ為、二人が言葉を紡ごうとした時、アルティの目が幽かに揺れる。ただそれだけの、何気ない所作を見たクレイは反射的に左へ跳ぶ。


 次の瞬間、彼の右肘から先が消失していた。


 視界が明滅する激痛が襲い、鮮血が吹き荒れる。転倒を辛くも免れ、着地と同時に『慈母活光マーレイル』を紡いで再生を図りながら、クレイは数秒前まで立っていた場所に転がる腕に目を遣る。

 鋭利な刃物に依る物に酷似した斬線が幾つか見えるが、それは、致命傷に成り得ない副次的作用。

 骨が砕かれ、肉と混じり合って桃色の液体と化している様から『壊界劇コラプティ』かそれに準ずる重力操作を受けたと判断。

「オズ!」

「分かっている! 全力で行くぞッ!」

 眼帯を投げ捨て、カロンと同じ輝きを放つ右眼を露わにオズワルドが疾走。右腕の再生が成ったクレイも追従する。

 予備動作皆無で重力操作の魔術を使用可能となると、敵は最低でも四天王級の高位魔術師。危険度は想定を遥かに上回る。


 長引けばジリ貧に陥る。故に元四天王二人は短期決戦を選択。


 刃が湾曲した剣と、オー・ルージュによる斬撃が、アルティを挟む形で叩き込まれる。

 二条の閃光。断末魔の悲鳴に似た金属音。

 アルティの目は二人を見ておらず、ただ突き出された両手が竜すら切り裂く斬撃を受け止めていた。小さな火花が掌に散っているが、傷は一ミリたりとも見えない。

 これだけで、凡人ならば戦意を喪失する。悪夢のような現実を目の当たりにしながらも、二人は愚直に攻める。

 オズワルドが正体不明の黒い光球を。クレイが『蜻雷球リンダール』を。超至近距離で放たれた魔術を受け、アルティは旋回。舞踊染みた華麗な動きで両手を振るって魔術を流し、敵対者へそのまま弾き返す。

 魔術に敵味方の区別は無い。競り合いを放棄してクレイは転がり逃げる。反転した視界に映るオズワルドも、彼と似た体勢で低く唸る。

 そして只一人、アルティだけが開戦時と何ら変わらぬ姿で悠然と立っていた。

 頂点には届かなくとも、客観的に見て強靭な肉体を持つ自身と、カロンの力で身体能力が増幅されたオズワルドの突撃を、無傷で捌く高位魔術師。しかも、恐らく力の底はまだ見せていない。

 相手にとって不足は無いどころか、戦いの回避が推奨される強敵。そしてサイモンが切り札と位置付ける以上、もう一段階上の何かがある筈。


 ――引き出される前に潰すしかねぇな。なら……。


 ハンドサインを交わしながら立ち上がる。奇策は幾らでも思い浮かぶが、それは得てして強敵には破られる。

 積み上げた物を十全に引き出して、道理に従った勝利を捥ぎ取る以外に道は無い。

 腹を括ったクレイの視界が光に染まる。『竜翼孔ドリュース』を発動し空へ逃げた彼の下方で『煌光裂涛放』と思しき光条が出鱈目に振り回され、デウ・テナ・アソストルの大地が炎上。やけに鮮明な赤が生まれた世界に、オズワルドの絶叫。

「目覚めろダストテイル……『虚現攪喰晶顎・餓獣乃型リヴィスタ・ルトゥム・ネメアリオス』!」

 ダストテイルと呼んだ剣が瞬き、切っ先からぬめった表皮が目を引く異形の怪物が顕現。

 断片的な化石から描いた不出来な復元図でもお目にかかれない、不揃いの牙が並ぶ大顎が開かれ、必殺の光条を咀嚼し無効化。生まれた間隙を突くように、怪物に飛び乗ったオズワルドがアルティに接近。

 初手と同じ仕掛けか、視線に射貫かれ怪物が爆散。吐き散らされる汚液に塗れながらも、オズワルドはダストテイルを大上段から叩き込む。

 斬撃はやはり掌で止められる。だが、今度は押し返されることなく両者は一歩も引かぬ押し合いを展開。

「君の生まれや思想は知らない。だが君を管理する存在は危険だ。恨みは無いが、排除させて貰うぞ!」

「一面的な視点ですね。それでは世界変革など不可能です」

「戯れ言を!」

「では、まず貴方を排除しましょう。『奇光乱剣雨レイニーレイ』」

 剣を絡めたままのオズワルドの周囲に、小さな光球が無数の顕現。彼が視認するよりも速く光球は剣に変形。描かれる未来予想図から一切外れることなく、剣はオズワルドに降り注ぐ。


 剣の雨が、元四天王の身体を千々に引き裂いた。


 大気中の塵芥同然に切り裂かれ、オズワルドだった物は溶け落ち、ダストテイルが地面に落下して虚しい音を奏でる。まずは一人を排除し、姿を隠したもう一人を続いて仕留めんと、アルティの目が敵を求めて動く。

 刹那、虚空から伸びた極彩色の糸が彼女の肉体に絡みついた。

 首・両腕・両脚。おまけに胸と腹にまで何重にも絡み付いた糸は、一つ一つ毛髪よりも細く、アルティの異常な視力と強靭な肉体がなければ、何も分からぬまま窒息及び解体されて終わっていただろう。

 縫い止められたまま、アルティは糸を眺める。七色の目に感情の兆しはやはり皆無。冷静に策を練っているようにも見えるが、既に状況は彼女を置いて先に進んでいる。

 何処からか断続的に遠雷に似た音が届き、巨大な紅光が高空に顕現。見る者に不吉な予兆を抱かせる紅光はやがて巨大な槍を形作り、アルティの胸部に穂先を向ける。

 ここまでくれば、下手人の正体と彼がこの瞬間まで何をしていたのか誰でも理解わかる。


 理解わかる事と、仕掛けを止められる事。二つは近く、しかし何処までも遠い。


「終わりだ! 『紅雷崩撃・第一階位ミストラル』ッ!」

 咆吼が放たれ、禁足地が紅に染まる。

 世界を侵略した紅が去った時、徹底的に蹂躙され、更に掘削された大地にアルティは立っていた。成人男性の頭部が格納出来そうな大穴を、胸部に刻んだ状態で。

 黒煙を胸部から吐き出し、立ち尽くしたまま動かないアルティを睨みながら、ヒトの姿に回帰を果たしたクレイはオズワルドと拳を打ち合わせる。

「組み立て通り、か。忘れてなくて嬉しかったぜ」

「最善の組み立てはこれ以外にない。カロンの持つ魔術に、拘束を目的とした物が有ったからこそ、だが」

「あの女、どんだけ物騒なモン揃えてんだよ」

 オズワルドが敵を拘束し、クレイが『紅雷崩撃・第一階位』を叩き込む、単純だが凶悪な連携は、四天王時代何度も展開してきた物だった。

 数百の落雷に匹敵する破壊力を持つ代償に、発動後の軌道修正が極めて難しい術の特性上、確実に敵の首を取るには誰かの助力が必須。現役時代、二人はこの仕掛けで何度も強敵の首を取り、そして今回も勝利を勝ち取った。

 破壊力は現役当時より上回っている。

 過去を知る者が観劇者に居たのならば、こう形容するであろう光景を禁足地に生み出した二人は、アークスに戻った後、どのようにしてサイモンに挑むかに思考を切り替える。

 決着が付いたなら、過去の戦いに必要以上に拘泥せず次に視点を移す。極めて合理的な判断を下した二人に、耳を疑う声が届く。

「流石は元・四天王でしょうか。私の想像していた領域を軽々と超えていきました。軽んじていたことを謝罪致しましょう」

 淡々としたアルティの声。胸部を撃ち抜かれた上、体内を高圧電流に蹂躙されれば生存は不可能。声が生まれるのは不自然に過ぎる。

 疑問と恐怖を等分に抱えながら前方に視線を戻す。彼等の目に映ったのは、胸部の傷が有機的な蠢動を繰り返し、やがて着衣共々何事も無かったかのように修復が成される光景だった。

 戦いは振り出し。否、こちらの手札を知られた事を考えれば寧ろ後退している。

「……俺は問題ないが、どうする?」

「やるしかないだろう。ボクにもまだ手札はある」

 仕切り直しの再戦に挑む意思を気丈にも見せ、魔術を紡ぎ始めた二人をアルティは無機質な目で見つめ、やがて右手を側方へ伸ばす。

「全力を出さねば無礼というもの。ご覧頂きましょう」

 アルティが呟く。すると、彼女の背後の空間が唐突に裂け、そこから五つの剣が這い出す。ほぼ条件反射で防御の態勢を取った二人を他所に、彼女の指が示す方向へ切っ先を向けた剣が、それぞれ異なる光を放つ。

 敵対するクレイ達すら目を奪われる美しい光は集束し、縒り合わされて巨大な翼に転じてアルティを宙へ導く。

 

 例えるならば、片翼の天使。


 内に秘め、次の瞬間に解き放たれるであろう凶悪な力を隠蔽する、神々しさすら漂う美を纏った少女は、忘我したように立ち尽くす敵対者を悠然と見下ろし宣告する。


「返礼としてお見せしましょう。私の切り札、そして世界変革に導く無二の一手『戦旗フラッグス』を」


 

 

 

 

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