8

 日が没したファナント島の熱帯雨林。

 ほんの少し見えた隙間を、木々の伐採で強引に拡大して設営した野営地で、フリーダ・ライツレは黙々と四肢を振るっていた。

 夜の空気に映る仮想敵は漠然とした輪郭しかないが、確かに彼の双眼の先に居る。身体に刻んだ挙動を更に深く焼き付けるように、仮想的の攻撃に反応して少年は四肢を繰る。


 日課の型稽古に一段と熱が入っている理由は、昼間生じた出来事だった。


 地下空間に突入した一人は意識を失い、残る二人も負傷して地上へ戻ってきた。

 自力で戻ってきた二人の間に漂う空気は、突入前にはなかったひりついた緊張が満ちており、不測の事態が生じたのは火を見るよりも明らか。だが、二人揃って詳細を語る事を拒否した。

 意識を取り戻したハンヴィーは事態を把握出来ておらず、ユカリとコルヴァンは沈黙を守る。情報共有の拒否には苦言の一つでも呈したかったが、拒む相手から無理矢理引き摺り出して、事態の好転が生じた試しはない。

 ――求められた時に応える。今は準備するしか、無い!

「精が出るな」

 締め括りの直拳を放とうと構えた時、木々の隙間からコルヴァン・エラビトンが静かに姿を現す。関節や局部を覆う装甲は取り払われているが、身に纏う空気はやはり鋭い。

 異邦人の登場から、それなりに修羅場を踏破してきた自負はあるが、眼前の男に自分はまだ届いていない。 

 歯噛みしながら拳を降ろすフリーダ。だが、バディエイグ軍人は彼の前に立ち、腰を落として手招き。「拳を降ろすな」のサインと解し、意図を読めないながらもそれに応じる。

「異邦人の力はおよそ見えた。ハンヴィー・バージェスは知っている。ライラック・レフラクタはそもそも本職ではない。知らないのは君だけだ、フリーダ・ライツレ」

「信用出来ませんか」

「知らぬまま信用する方が不自然だ。知らぬ者の為に命を賭ける趣味はない」

 無礼と憤る者もいるだろうが、コルヴァンの気持ちはフリーダも理解出来る。


 異邦から現れた少女が戦う事を望んだ時、コルヴァンと似た感情を抱いたのは他ならぬ彼自身なのだから。


 クレストの緩みを整え、息を吸う。

 木々の隙間から聞こえる虫の音が、土の弾ける音に隠される。

 猛然と突進するフリーダは、相手が短刀を抜いた瞬間に手刀を選択。手首を強かに打ち据えて刃を強引に流し、空いた腹部へ蹴りを撃ち込む。

 靴底に硬い手応え。野獣や町の破落戸ならここで沈むが、バディエイグ総統直属の戦士は両足の僅かな後退に留め左腕を伸ばす。

 彼我の筋力差は大きく、組み付かれれば逆転は難しい。即断したフリーダは地を蹴り後退。盛大に空振ったコルヴァンをしかと捉え、着地と同時に握り固めた右拳を叩き込む。

 流れは上々。加減しているので負傷しないだろうが、勝ちの判定は揺るがない。

 組み立てが完璧に嵌り、内心快哉を上げるフリーダだったが、何の動揺も無く自身の右腕に手を伸ばしたコルヴァンの姿に目を剥く。

「しま――」

「遅い」

 短く宣告し、フリーダの右腕を釣り上げ、揺らいだ足を払う。残る手で胸倉を掴み小回転。背負われたと気付いた時、既に彼の天地は逆転していた。

 円を描き、後は地面に頭部を叩き付けられるだけ。完全敗北を突きつけられ愕然とするフリーダ。頭頂部と地面の距離が五センチメクトルに縮まった所で、彼の落下は止まる。

「悪くない。いや、ヒルベリア出身のハンデを鑑みれば出来過ぎだ。だが、全て型通りで意外性に欠けるな」

 手が離され、べしゃりと地面に転がる。勝てる組み立てから投げに繋がれて負けたのは、何の言い訳も出来ない完敗だろう。

 だが、敗北そのものよりもフリーダの心を打ちのめしたのが、コルヴァンの短い分析だった。


『多分、君とヒビキなら君の方が才能あるよ。あの子は最初の師匠がカルス・セラリフだったのが悪い方に作用してるし、基礎部分も粗削りだ。その点、君は身体の発育も基礎技術もちゃんと出来ている。普通のことを普通にこなせるのは、間違いなく才能だ』

「研鑽を積めば真っ当に慕われ、人々を導く存在に貴方はいずれなる。ですが、異邦人が関わる大きなうねりに立ち向かう才は、間違いなくヒビキにあって貴方には無い」

『闘争心で実力差を埋め、勝ち筋を強引に引き摺り出す。只の馬鹿とも言えるけど、彼の特性は訓練で得られない。同類の馬鹿、例えば……ヴェネーノみたいな輩が持つ力が彼の最大の武器だ』

『生まれながら邪道を持つ者は、持たざる者には到底見えない場所に立つ。私達も貴方も、そちら側ではありません』


 アガンスで師の役回りを担った、ストルニー・バスタルドとルーカス・アトキンソン。実力者二人とコルヴァンの指摘は、装飾に差があるが本質的には同じ。

 型に嵌まった領域ならそれなりにやれるが、その先がない。

 曲がりなりにも戦う者にとって、最大の屈辱と痛みを齎す指摘に唇を噛むフリーダを他所に、コルヴァンはハングヴィラスを横たえ、生物の骨を想起させる複雑な刃の検分に移行する。

 悲壮感すら漂わせる少年を見て、黙々と作業に励んでいたバディエイグ軍人は、少しだけ首を捻る。

「弱いとは言っていない。普通に生きる分には十分過ぎる力量だ。そこまで思い詰める理由は無いだろう?」

「僕は負け続けている。それこそ、何もしていないに等しいほど」

「ヒルベリアで強敵と出会う事など無い筈だ。誰と戦い、負けた?」

「始まりはアークス王国四天王、デイジー・グレインキーだ」

 無表情を守っていたコルヴァンの眉が跳ね上がり、目に興味の色が宿る。相手の反応の意味を探ろうとせぬまま、ヒルベリアの少年は他者に隠し続けていた痛みと共に強者の名簿を口にする。

「『ディアブロ』のレヴェントン・イスレロに終始劣勢。『正義の味方』と括られる異邦の騎士ペリダスは何も出来ていないも同然。別の異邦人相手でも、そうだった」

「想像以上に苛烈な戦歴だな」

 声色こそ変わらないが、コルヴァンの表情には更なる興味と驚愕があった。

 十七の少年が経験する戦いの範疇を大きく外れていると、戦場を越えてきた男は正確に理解し、逃げずに生き延びているフリーダへの敬意も若干滲んでいた。 

「マルク・ペレルヴォ・ベイリスの事務所で、仕事に同道したりもしたけれど、根本は大きく変わらない。ラフェイアとの戦いでもそうだった。奴と戦うのは戦闘様式を考えると無理だって慰めは要らない。ティナも蓮華さんも……ヒビキも、あの怪物と渡り合っていた」

「不死の怪物との戦闘など、俺も回避する。生き延びただけで胸を張れることだ」

「物語の読者は、いつだって生存者の立場でいられる。それだけの話ですよ」


 ヘドロのような感情の吐露に、取り成しを吐こうとしていたコルヴァンが口を噤む。

 

 人外染みた連中との対峙を想定するよりも、マウンテンで事故に遭う可能性に備える方が遥かに合理的で真っ当だ。過大な力を得てしまえば、賞金首に括られる存在のように自身を危険に晒す。

 戦闘能力は現状維持に留めて実用的な術を、例えばライラのような技術習得や中断した学問の道へ進む事が最善。フリーダも頭ではよく分かっている。

 同等、いや出自や家族構成から無意識の内に下に見ていたのかもしれない幼馴染の進化は羨望や嫉妬、そして焦りを彼に齎していた。

「強さの追及は麻薬に等しい。過ぎれば死ぬぞ」

「分かっています。ですが、今は受け入れられない」

 憧憬を届かぬ物と割り切り、諦めを美しく偉大な決断と思う時は、歳月を重ねればやがて訪れる。可能性が徐々に減じ、やがて単一の在り方を決定付けられるのが人生であるならば、そのような思考を嫌悪するのは浅慮と言わざるを得ない。

 だが、フリーダにとってその時は今ではない。幼馴染との対比で年齢以上に成熟していると見られる少年も、今は憧れに身を投じる時期に居る。

 いつの間にかコルヴァンの手は止まり、フリーダをじっと見つめていた。視線によって、自身が途轍もなく無礼な振る舞いをしていると気付き、フリーダは慌てて頭を下げる。

「すみま――」

「謝るな」

 途中まで降りていた頭は、屈強な手によって強制的に止められた。

 中途半端な状態で固まったフリーダに、硬い声が淡々と届く。

「正しい道は主観、客観で異なる。君が描いている道が『今』の君にとって正しい道だ。正しさの貫徹を望む感情を、何故恥じる必要がある」

 立ち上がったコルヴァンが、ハングヴィラスを地面に突き刺して再び構える。

「望むのならば、必要な物は分かる筈だ。『同類』になら、俺は幾らでも力を貸そう」

 眼前の男が放つ力強い声は、迷いを払うには十分だった。

 身体を開いて打撃戦の構えを取り、フリーダが前に出る。

 肉を撃つ硬い音が、熱帯雨林に響いた。

 

                  ◆


 男性陣二人が格闘戦を繰り広げ、女性陣二人が川で洗体を行っている頃。

 ハンヴィー・バージェスは一人岩の上に座していた。両の手を交差させる形で掲げ瞑目する彼の額には汗が薄く滲み、全身を彩る刺青は淡い光を放つ。魔力の放出が行われているのは明白だが、そこから想像される物と彼の周囲で現状展開される光景は大きく異なる。

 組まれた両足の間に焦げ茶色の針山が複数。要塞ネズミと称されるげっ歯類が集まって穏やかな寝息を立て、肩には色鮮やかな小鳥が留まっている。

 加えて、本来それらと敵対する種である一メクトル近いサイズの蛇も彼の肩に絡み付き、自身だけがこの場所にいるかのように弛緩した雰囲気で佇む。

 彼らは皆魔力を持たぬ生物であり、寄り集まる事でハンヴィーが放射する魔力を吸収して活性化。といった類の事象もない。

 黙して座すハンヴィー・バージェスの周囲が、居心地の良い空間だから引き寄せられる、単純な理由で御伽噺同然の光景が描き出されていた。

 大気の流れすら忘却させる静謐な世界は、ハンヴィーが大きな欠伸をして集中を解くことで終わりを告げる。

「君らさ、ちょっと緩み過ぎだ。オレが君達を取って食う輩だったらどうすんだよ」

 言葉を受けても、動物達は留まる事を選んでいる。いつも通りの光景に少しだけ苦笑を浮かべ、ハンヴィーは腕を組んで空を見上げる。

 ファナント島に足を踏み入れてから、全身の感覚が異様に冴え渡っている。今までは漠然とした感知に留まっていた大気中の魔力や、数十メクトル離れた生物が放つ臭気の類が手に取るように感じられ、島全体を流動する力の行先をも彼は感知していた。

 天啓と形容する他ない現象によって、旅の終着点がコルヴァンの言葉通り島の中心であると理解し、このまま進めば辿り着けると確信を齎した。

 自分やコルヴァンはバディエイグに長らく伝わる御伽噺の答えを。ユカリ達はグァネシア群島を訪れた目的を。それぞれ望みが叶えられる日は近い。

 喜ぶべき状況なのだろうが、ハンヴィーの表情は硬い。

 地下空間に降り立ってすぐに意識を喪失し、再覚醒を果たした時はユカリに背負われていた。同道した二人には疲労と負傷が刻まれ、元々良い感情を持っていなかったであろうコルヴァンなど、爛々と輝く殺意を向けていた。

 これだけ材料が揃っていれば、地下空間で二人を害する行動をしでかしたと推測するのは容易。そして、無傷のまま彼等を圧倒するだけの力を、意識のない状態の自分は絞り出していた。

 只の看板程度だった継承者の肩書や、装飾以上の認識を持っていなかった刺青が、重い意味を持ち始めているとハンヴィーは認識していた。

 物心付いてから今に至るまで、継承者だと何度も言われていた。だが、継承者が何を成す為に生まれて来たのか、周囲の人々は明朗な答えを提示してくれなかった。つまり、伝承の正解は島の誰も知らない。


 ――伝承など気にするな。一人の人間としてどう在りたいかを考えて生きなさい。


 説教の一部と聞き流していた養父の言葉が、何度も反響を繰り返す。

 ベラクスの思想や方針に思うところはあるが、それなりに成果を出している運営に、素人が首を突っ込んでより良い目を出せるとは思えない。だからこそ、何度か舞い込むベラクス打倒の旗印になって欲しいという、依頼は全て断っている。

 否定すると面倒な輩に絡まれた経験がある為に、日頃は継承者を名乗っているが、その地位を本格的に活用する意思は元よりない。

 政治や経済も、生物が本来いるべき領分から外れた人類が作り出した不完全な代物だが、屍山血河を生み出しながらもそれなりの秩序を生み出している。ハンヴィーの抱える物より遥かに安定しているのは事実だ。


 神話や伝承はあくまで心の拠り所であり、社会の骨子になってはならない。 


 これもまた養父の言葉だが、これは手放しで賛同することが出来た。

「どうすっかなぁ」

 呟いた途端、彼の周囲に集っていた生物が一斉に散っていく。彼らにとっては侵略者、しかし自分にとっての共犯者が来た。

 足運びの音と気配で読み取り、警戒を解いたハンヴィー。彼の予想通り、木々を掻き分けて現れたのは紫髪の少女ライラック・レフラクタだった。

「あれ、ユカリは?」

「考え事だって。多分大丈夫でしょ」

「大丈夫ったって……。まぁしゃーねーけどさ」

 洗体の為に野営地から少し離れた二人は、ある程度武装を緩めている。異邦人の装備は『ワキサシ』なる小さな刀剣と火薬式拳銃だけ。万が一を想定すると、やや心許ない備えだ。

 ――けどユカリの場合、決めたら他人にゴチャゴチャ言われても揺るがなそうだしなぁ。

 説得が出来なかったのも無理はないと結論付けたハンヴィーの隣に、ライラが腰を降ろす。背負っていた榴弾発射器を降ろすが、整備は食事前に済ませていた筈。

 何か別の用件があるのは、疑いようも無かった。

「面倒くさいから直球で聞くけど、オレに聞きたいことって何?」

「ハンヴィーは島の中心まで行ってどうするの?」

「単純に興味がある。これじゃ駄目……だよな」

 きちんとした理由を持つ同行者と比較して、客観的に見える所から推測される根拠が致命的に弱いのは彼も自覚している。三人は言うまでもなく、コルヴァンはファナント島が何らかの利用価値、例えば本格的な観光地として使えるか否かの判断を委ねられたと、第三者の視点では推測出来る。

 客観的に見て薄っぺらい理由しかなく、暴発の危険があるとなれば、コルヴァンでなくとも危険視するのは当然。

 問われた時、答えられなければ更なる信頼の低下。果ては敵対も視野に入りかねない。これはユカリ達の人格云々はあまり関係ない、常識に基づいた真っ当な判断だ。

 疑心を湛えたライラの目をしかと見据え、ハンヴィーは腹を括る。

「オヤジから聞いてると思うけど、オレの両親はもう死んでる。記憶は無いけどな」

 唐突に始まった語りに、肩を跳ねさせた異国の少女の反応に構わず、蛇を背負った性別不詳の少年は淡々と言葉を紡ぐ。

「チヤホヤされちゃいるけど、その根っこは全然知らない。オヤジも知らなかったし、多分知ってても教えてくれないと思う。『自分で決着を付けなきゃいけない事もある』って、別件でだけど言われたしな」

 信仰対象である理由を始め、何もかもが漠然とした代物。正解不正解を見極めるには、伝承が始まったファナント島に乗り込む以外に無かったが、ベラクスの方針からそれは不可能。

 ハンヴィーにとって、三人の来訪はまさしく天啓に等しい好機だった。

「伝承の始まりに行けば、何かが見えるかもしれない。宿っている力の天井や、刺青の意匠の起点。そんで、伝承の正体とか色々な。昼間ユカリ達に迷惑かけたみたいだし、進めば何か一つは解き明かせる筈だ」

 持て囃されているが、核の部分に巣食う空虚は確かに在る。それを埋めるには、この方法しかなかった。そんな意思の籠ったハンヴィーの答えに、ライラの表情が少し曇る。

「もし辿り着いて、力が暴走したらどうするの? 今度は……止まれないかもしれないよ」

 島に踏み込んだ事で宿る力が増幅され、ヒトの器に収まらない量になった事で暴走した。そう仮定するなら、中心部に辿り着けば更にリスクは増幅する。昼間は幸運に恵まれ、今はこうして他者と会話が出来ているが、続く保証など何処にも無い。

 恐れがないと言われれば嘘になる。伝承の全てが詰め込まれているとすれば、到底ヒトの身には収まる筈も無い。ハンヴィー・バージェスの人格は瞬時に崩壊し、ただ二頭の蛇の残滓に繰られるまま。怪物と化すだろう。

 最悪の可能性を正確に把握したハンヴィーの黒瞳が、少しだけ細められる。

「独裁者殿がコルヴァンを付けたのも、そこら辺のケアの為だ。怖いっちゃ怖いけど、只のお人形に成り果てるくらいなら、しっかり始末してくれた方が良い。ライラ達なら出来ると、オレは信じてる」

「いや、そんな信頼をされても……」

「それにさ、その質問を本当にしたい相手は、オレじゃないんだろ?」

 雷撃に撃たれたように、ライラの身が跳ねる。その反応が、ハンヴィーの推測を余さず肯定していた。肩を竦め、継承者はあまり感情の籠っていない笑みを浮かべる。

「オレとそいつの共通点は同じヒト属である事。それ以外は何もかも違う。オレの答えにソイツを仮託したって、絶対に幸せにはなりゃしない。聞きたいなら、ソイツに直接聞いてくれ」

 完全に動きを止めたライラに罪悪感を覚えたのは一瞬。空虚な言葉による取り成しや、彼女の望みを適当に肯定する方がこの場では正解と、一応分かっていた。

 ただ、場の空気を読んで本質から逸れた物を正解扱いすることを、ハンヴィーは好まない。正しいか否かではない、各人の選択の問題だ。


「ソイツが誰であるかってのは聞かない。けど、言える時に言っといた方が良い。固めた奴の意思を覆すのは、血縁者や親友でも、多分難しいからさ」


 せめてもの助言を投げ、ハンヴィーは野営地に戻っていく。

 何度か口を開閉させ、紫色の瞳を夜空に彷徨わせた後、ライラも彼に続き、夜の森に静寂が戻る。

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