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「魔力の流れが歪んでいる。今月でもう四度目だ」
アークス王国首都ハレイドに聳え立つギアポリス城。煌びやかな内装に似合わぬ粗末なコートを身を纏い、顔に刻まれた一文字の傷が目を引く眼鏡の男が、立体映像を睨みながら呟いた。
男、いやパスカ・バックホルツは顔を顰めながら、国全体の魔力の流れを図式化した物を空中に顕現させる。一か月前と現在の状況を比べ、ある一か所の変動が大きい事に気付いて更に顔を顰める。
魔力の歪みが何も引き起こさないのなら、彼もここまで不機嫌な表情はしない。
一週間前にこの現象が観測された時には、王国最大の農耕地帯ベケッツの大地に、巨大な亀裂が突如刻まれる怪奇現象が発生した。
食料確保などの観点から、ベケッツで魔術の実験をする馬鹿はいないし、人災なら警備の兵を多数配置している為に、事が起こる前にどうとでも対処は出来た。
出来なかったとは即ち、これは天災であると考えるのが妥当だろう。
凄まじく幸運な事に死者は出なかったものの、多くの世帯の家屋や農具が損壊するなどの被害が出た。
大地や建造物の修繕、農具などの補填の指揮を取り、各方面を駆けずり回る羽目になった苦い経験や、魔力の流れの極端な変動が短期間に幾度も起こると、かつてこの世界に災厄を齎した五頭の『エトランゼ』の再訪を呼び起す、との伝承が、彼にこの現象に対しての興味と危機感を呼び起している。
眼鏡を外して目頭を揉みながら『
上位の魔術である『
ここ数日の彼は、延々と雑務と自分が全く関わっていない事についての始末書の作成で忙殺されていた。苛立ちを多分に含んだ言葉が、無意識の内に漏れる。
「ここまで酷い事は今まで無かった。ここは伝承によれば『エトランゼ』との戦場になった場所だ。投棄時に処理を怠っているのか? 担当者に少し……」
「その必要はぁ、無いんじゃなぁい?」
やけに甘ったるく間延びした声が背後から聞こえ、振り返る。
目の前には彼の想像通りの、始末書の大半の原因となっている人物が立っていた。パスカは人物が漂わせる臭いと両手に持っている物に顔を顰めつつ口を開く。
「結論までの理屈は聞こう。その前に、だ。お前また殺してきたな」
「だってぇ、こいつら税金踏み倒した挙句に官吏に暴力を振るったのよぉ。義務は果たさずに権利だけ主張する馬鹿はぁ、死んじゃえば良いじゃなぁい」
「法を侵す者であっても国民であるならば法に則って裁くべきだ。お前のやった事は単なる私刑でしかないんだぞ。大体俺達には……」
「パスカはつまんないぃ……」
頬を膨らませながら、桃色の髪と、戦には全く相応しく無い華美なドレスが特徴的な小さな少女、彼と同格の実力と地位を持つデイジー・グレインキーは両手に持っていた首の無い死体を放り捨てた。
同僚の蛮行にこめかみを抑えながら、パスカは問い掛ける。
「二人は俺が弔っておこう。デイジー、必要は無いとの根拠を聞かせて貰うぞ」
「べーつにそんな大した事じゃないわよぉ。ただぁ、違う世界の人が『ゴミ捨て場』でこんにちはぁってしただけぇ。パスカもぉ、お部屋に籠ってばっかりだからこの程度の話も知らないのよぉ。今じゃどこでも噂で噂な噂のお話なのにぃ」
デイジーが舞踏会の参加者と見紛うステップで室内をくるくると回りながら、さらりと重大な事を告げる。
「大した事じゃないか。異界からの来訪者か、陛下は何と仰られている?」
「王様ならぁ、いつも通りに決まってるじゃなぁい。それに違う世界の人間ってぇ、意外とポンコツらしいからねぇ、興味もすぐになくなっちゃうかもねぇ」
「脅威になり得ぬ存在故、様子見との選択肢を選ばれたのか」
「でもぉ、その人に影響されてぇ、魔力の流れがおかしくなってるのは事実だしぃ、これ以上大きな事が起きれば『ゴミ捨て場』をぶっ壊しに行きなさいって姫様は言ってたわよぉ。楽しみだわぁ、早く何か起きないかしらぁ。『ゴミ捨て場』の人間ならぁ、幾ら殺しても怒られないしぃ」
「おい待てデイジー! それは一体どういう事だ!」
言いたい事だけ言ってデイジーは部屋から消えていき、パスカ一人の状態に戻る。
溜息を吐きながら、彼女が投げ捨てて行った二人分の遺体に黙礼し、胸に手を当てると、二つの亡骸は光の粒子と化して部屋を出て行った。
見送った後、再び椅子に座って図を眺め、嘆息する。
――確かにこれだけの変動が有り、尚且つ被害が拡大すれば出る理由にはなる。だが、出た時がヒルベリアの最期、という方向の結末は避けねばならん。どういう扱いであっても国民である事に違いは無いからな。……どうしたものだろうか。
デイジーともう一人はこの手のことにとんと疎く、頼りになる残りの一人もすぐには相談出来ぬ状況にいる。
結局一人で思索に耽るしかないパスカは、空中に浮かぶ図をいつまでも眺めていた。
◆
「ドラゴモロクがマウンテンに現れただって? ヒビキ、夢でも見たのかい?」
「お前にんな馬鹿な事言ってどうすんだ。事実だ事実」
「でも信じられない話だからね」
「ならユカリに聞いてみろよ。俺と一緒に居たんだから、見た筈だぞ」
「うん、私もヒビキ君と同じ生き物を見たよ」
「なるほど、事実のようだ」
「……なぁ、俺お前に何かしたか? 掌返しが酷くないか?」
ヒルベリア市街に帰り着いた二人は荷を置いた後、露店街へ買い物に来ていた。そこで仕事終わりのフリーダに出会い、食事を共にしていた。
最初の方は世間話に終始していたが、二人でマウンテンに行ったとヒビキが口にしたところ、それについて根掘り葉掘り聞かれることとなり、当然ながらドラゴモロクが出没した事も話題に上った。
二人の話が眉唾では無いと察したフリーダは腕組みをして、椅子にもたれ掛りながら唸った。
「ドラゴモロクの主な生息地ってどこだったっけ?」
「アムネリス森林地帯とか、ダート・メアとかその辺りだろ。何処の奴でも、ここまで辿り着くのは不可能だ」
当然二人の会話に付いて行けないユカリに対して、名前を上げた土地について多少の解説を入れる。アムネリス森林地帯はここから北東に位置する場所にあり、ダート・メアはハレイドまでのハイウェイが通っている荒野を指す。
どちらもかなりの遠方で、易々とドラゴモロクが来れるような場所では無い、と言って説明を〆ると、フリーダが話題を転換させた。
しかも、途轍もなく悪い方向に。
「ところでヒビキ、また空が変色したらしいけど、君は見たかい?」
「いや、見ていない。……お前は見たのか?」
「見たよ、あの時と同じ紅蓮色だ。……嫌な予感がする」
紅蓮色の空が何をもたらすか、それを知る二人は表情を凍り付かせる。ユカリだけは意味が分からずに、視線をあちらこちらへと泳がせる。二人がどうにかして言葉を捻り出そうと四苦八苦していた時、店の扉が乱暴に開け放たれた。
「出たよ!」
「王国議会の選挙ならまだ先だよ」
「当確の話をしてるんじゃなーい! また出たんだよ、異世界からの来訪者がさ!」
「今度は何処で出たんだ!?」
「私の家だよ! クレイさんと話してたらいきなり出てきてもうびっくり。……ってヒビキちゃん、人の話は最後まで聞けぇっ!」
ライラの制止に耳も貸さず、ヒビキは彼女の家に向かう。何故そこまで激しく反応したのかは自分でも正確な答えは分からない。ただ見ておかなくてはならないとの、妙な使命感だの義務感だのと言ったものに駆られていた事は間違いがなかった。
「ヒビキ君、も、もう少しゆっくり……」
かなり走った所で、ユカリから声が掛けられる。そこででようやく自らがユカリの手を引っ掴んで走っていた事に気付いた。全力疾走に付き合わせたからか、息も絶え絶えで、顔も紅潮している。自らの至らなさに、ヒビキは舌を打つ。
「ここまで付き合わせておいて、今言うのは変だってのは分かってる。けれど一応言っておく。これから行く先にあるのは、お前の同胞だった物かもしれない。見に行かないってのもアリなんだぞ」
ユカリの目に露骨な動揺の色が浮かぶ。あの大人数の中で生き残ったのは自分一人。言葉に込められた意も、覚悟を問われている事も察したのだろう。しばしの間沈黙したユカリだったが、やがて躊躇いながらも頷いた。
恐らくは、完全に覚悟は出来ていない。だが、ここで躊躇を続けていたところで、何の利も無いと判断を下したのだろう。
選択肢を狭める状況に追いやってしまったことに、ヒビキは罪悪感を抱きながら、ユカリに告げる。
「なら、行こうか。……覚悟はしとけよ」
また手を引いて走り出す。十四、五分走った所でライラの実家兼仕事場である『レフラクタ特技工房』に辿り着く。役割を果たしていないが、一応設置されている王国軍の詰所を除けば、ヒルベリアの中で一、二を争う巨大な建造物の鉄扉を蹴り開け、現場へと急ぐ。
建物には四つの作業場が存在している、その中でライラが使用している四番工廠へと飛び込むと、またも巨大な金属の箱が目の前に鎮座していた。
ユカリの乗っていた物と同じく、損傷が激しく原型を大きく損なっていたが、それを考えても彼女が乗って来た物とは形が違うように見受けられた。
「ユカリが乗ってた奴とは違う気がするんだが、これが何か分かるか? 何か罠とか有ったりするのか?」
「多分、バスだと思う。凄く壊れてるから、断言は出来ないけど。それと、少なくとも私の住んでいた国では、乗り物に罠を仕掛けたりとかはしないよ」
「あぁ、なるほど……。じゃあちょっと待っててくれ。中を調べてみるからさ……」
「その必要は無いんだよ! ……ありゃ、コレはデジャヴってるね」
振り返ると、放ったらかしにしていた二人と、金髪男クレイの姿があった。軽口を返そうとしたが、全員の、言葉は軽かったライラの表情も重かった為に、ヒビキも言葉に詰まる。
その間隙を縫う形で、ライラが口を開く。
「一応、店に行く前に中は確認したよ。幸い『転生器』は沢山あるから、塞いでる物は壊して通れたしね。生存者は無し。幾つかあっちの世界の品物が損傷が少ない状態で拾えたけど、動力が無いし動かし方も分かんないから、どうしようもないんだよね。……それとだね」
「俺から少し言いたい事がある」
金髪男、いやクレイが割り込み、指を突き付ける。彼の妙に綺麗な指の方向には、ヒビキではなくユカリがいた。
身を竦ませるユカリに、クレイは日頃の緩さを完全に消滅させ、野生動物の如き鋭い目で、淡々と言葉をぶつけていく。
「前に生き残ったのは君だけで、それ以外は全滅した筈だ、違うか?」
「は、はい。間違ってはいないと思います」
「クレイさん、アンタ何を……」
「黙ってろ。……それでだな、前のブツに乗っていたのは推測だが君含めて大体三、四百人程度か。そして、今回のコイツに乗っていたのはおおよそ六十人って感じだな。これも推測だけどな。どれだけ少なく見積もったところで、三百程度の人間が世界を跨いでいる訳だ。……答えて貰おうか」
「……な、何をですか?」
「お前が何者で、何の手品を使ったか、これに決まってるだろうが」
「―――っ!」
目にも止まらぬ早業で、ユカリの喉元にクレイの愛槍『紅流槍オー・ルージュ』が突き付けられていた。
見知った人間による、完全な予想の外から来た行動で、場の空気が凍り付く。
「どうした? 幾らでも反撃手段はある筈だ? 何してきても構わないぜ」
「わ、私は何も知りません……」
「見え透いた嘘は無しだ。なら、何故お前は生きているんだ?」
どうにか絞り出したユカリの抗弁にも耳を貸さず、オー・ルージュの穂先をクレイは逸らす事はしなかった。
「おぉっと、お前らも抜くんじゃないぞ。……まぁ、抜いたところで、お前らの攻撃が俺に当たるより前に殺れるがな」
「……クソッ!」
淡々と為される客観的事実の指摘に、ヒビキはスピカに伸ばしていた手を引く。一瞥もくれず、クレイはユカリに問い続ける。
「で、何か吐く気になったか? さっさと吐いた方が楽にはなると思うぞ」
「知っていたら言いますし、もっと早くに言っていますよ! 本当に、分からないんです」
「なるほどなぁ、なかなかしっかりした根性を持ってるんだな。見直したぞ」
裏表なく自らの感情を吐きだすユカリに対して、クレイは聞く耳を持たず、問答を仕掛ける。
まるで意味を感じられぬ二人の言葉の応酬が、かなりの時間続いた。やがて、クレイが諦めたかのように首を振る。
「もう良い。お前の事はよーく分かった。延々無理な問答を仕掛けて悪かったな」
「分かってくれたんですか、良かった……」
「ここまで耐えた根性は褒めてやるよ。だから、死ね」
「!」
クレイは目にも止まらぬ速さでオー・ルージュを引き、天へ向けて高々と突き出した。長身から放出されている魔力が長槍へ流れ込み、穂先から赤い雷光が弾け飛ぶ。
天井を突き破って周囲の者の視界を眩ませる、どころか完全に奪い取る程に膨大な魔力を浴びればどうなるか、思考の必要などなく理解出来た。クレイは何の感情も抱いていないのではと錯覚させる程に淡々と、ユカリの方へと向き直り、穂先を向けた。
「ま、そういう訳だから、サヨナラだ」
クレイは一切の躊躇なく『
ユカリはそれを避ける術を持たない。着弾した赤い雷光が、周囲にいた人間の視覚と、空間を塗り潰した。
恐らく亡骸も残らないだろう。凄惨な光景を想像したのか、ヒビキは絶望的な表情で目を背けた。やがて光は消滅し、場の人間の視覚も、正常さを取り戻す。
「……?」
雷撃に撃ち抜かれて死んだはずの、ユカリが立っていた。
目立った外傷も見受けられず、先程までとの違いと言えそうな変化は、工房の床に大穴が開いた程度だ。首を捻る三人、そして身を竦ませるユカリに向けて、クレイがゆっくりと口を開く。
「なるほどお前は、いや君はシロって事か。すまなかったな、やりたい放題やって」
「……え?」
表情を緩めて一人得心が行ったように、何度も頷くクレイに対して、ユカリは蒼白な顔を、残りの三人は非難の意を込めた白い目を向ける。
「……悪かった、ちゃんと説明するから。その顔はヤメロ」
居心地が悪そうに顔を顰め、手を振る。流石にここまでやったのだから、この程度の扱いは当然だろう。と、三人の思考は一致する。
「俺がユカリ君を疑ってたのは揺るぎ無い事実だ。ってか、今でもまだ少しは疑ってるからな。……おいヒビキ、最後まで聞け。構えるな、スピカを下ろせ」
「……」
「大量の異世界人の中で、ユカリ君だけが生き残ったのには、何らかの仕掛けがあるに違いない。となると、懸念すべきはユカリ君がその仕掛けを、何らかの方策に基づいて活用し、この街に対して危害を及ぼす事だ。実際にユカリ君が用いる事が出来るのかを確かめるなら、生命の危険を感じる状況に追い込むのが一番良いと判断したんだ。結果としてユカリ君はシロだったんだから、俺のやった事は只の阿呆の踊りって訳だな」
「い、いえ。分かって頂けたのならそれで」
「ただし、だ」
声と表情を真剣な物に変えたクレイに、全員がビクリと肩を竦ませる。
「ユカリ君がイレギュラーだってのは、この街の人間は皆知っている。前回はマウンテン、今回はライラの家で発生したから動揺は少ないし、ユカリ君を敵対的な目で見る事も無い。だがな、この調子で空間の変動とやらが起こり、街の中心部などが発生点になれば、どうなるか分かるな? 街の人間は、俺ほど愚鈍で間抜けな奴ばかりじゃないぞ」
「……考えたくは無いですが、起こりうる可能性は十分有りますね」
クレイは、そしてフリーダも明言はしなかったものの、彼らが提示した可能性が何であるのかは、全員理解出来る。
空間の変動によって現れた異端者の唯一の生き残り。この一点だけを見ても彼女はかなり怪しい存在と言える。空間の変動が更に起こり街の人間に被害が及べば、間違い無く怒りの方向はユカリに向く。
彼女にとって最悪の結末を最良とし、それを実現すべく動こうとする人間が現れる可能性は十分以上に存在するだろう。この街は、そのような行為を進んで肯定はしないが特段否定する場所でもない。ヒビキの頬を汗が伝う。
「ま、一応抑え込む努力はする。俺だってこの街のリーダーをやってる訳じゃ無いから期待されちゃ困るが。それに、ユカリ君自身がどうであれ、君の肩書きは他国の人間からしても非常に魅力的だ。だから、さっさと答えを見つけ出すんだぞ」
踵を返して、クレイは工房から出て行く。
「クレイさん、壊した床はちゃんと整備してくださいよ!」
「あーするする、後でお前の親父さんに話持ってくわ」
締まらない会話を残してクレイが去った後には沈黙が残される。話を勝手に展開させていった人間が消えれば当然の結果とも言えるが、それ以上に彼が残していった事実の指摘が、四人に重く圧し掛かっていた。
ユカリの人間性自体が特に誰かを害するようなものではなかった為に、出自が不明瞭かつ突然の来訪にも関わらず街の人間達は受け入れてくれたので、思慮が及ばずにいたが、彼女自体が善であっても、彼女を連れてきた現象は破壊をもたらす害悪でしかない。
「次」がいつ、どこで起こるか分からない以上、何らかの策を講じる事は必須。しかし、手掛かりは何も無い。重苦しい沈黙を振り払うべく、ライラが口火を切った。
「……あのさ、この箱の中で見つけた物を皆でチェックしようか。ユカリちゃんなら、使い方とか分かるかもしれないしさ」
「そうしようか。二人共、今から時間はあるかい?」
「俺は幾らでもあるぞ」
「私が役に立てるなら、手伝うよ」
三人から肯定の返事を受け取るや否や、ライラは隣の部屋へと駆け出し、背中に物が満載されているのであろう布鞄を背負って戻ってきた。
鞄を床に下ろして中身を取り出すと、およそヒビキが見た事が無いような物体が続々と出てくる。どれもこれも、彼には使い方が理解出来そうになかったので、ユカリに助けを求める。
「なあユカリ、この四角いのは何だ?」
「それは携帯型のテレビだと思う。……ちょっと懐かしい、かな。電波を受信出来れば映るかも知れないけど……」
「こんな小さいテレビがあるんだね……。ハレイド近辺ならあるかもしれない。でも……」
「ヒルベリアにはないよなぁ……。と言うか、テレビってもっとデカいよな。ここまで小さく作れるって、どんな技術だよ」
「ユカリちゃん、これは何だい?」
「ウォークマン、かな? 充電が残ってたら、このイヤホンを耳に入れてボタンを押せば音楽が流れるよ」
「録音盤何枚分もこの中に入っているのか。ヒビキの言う通り、動いてる所を見てみたい……」
そこでフリーダは黙り込み、「ウォークマン」なる物体に手をかざした。何か嫌な予感を覚えたヒビキは、茶髪の友人に対して呼びかける。
「おい待てフリーダ、その手の動きを止めろ」
「ヒビキは何を言ってるんだい。僕が君の心配するような馬鹿な事を……」
ボンッ、と間抜けな音を上げて、彼の手の中にあった物体が弾け飛んだ。どうもフリーダは自身の魔力をウォークマンとやらに流し込んだようだ。
異なる世界の貴重な道具が、何の利用価値もない塵芥と化した事実に、場の空気が一瞬凍り付いた。
「言わんこっちゃねぇ!」
「ヒビキちゃん何ドヤ顔してるの! 手に持ってるラジオ、何か変な割れ目が出来てるじゃない!」
「いやぁそれはただの気のせい……」
「な訳ないでしょう! もう二人は触っちゃ駄目!」
「触るな、だと? ライラ、視点を増やす事の重要性をお前は軽んじている。未知の事態に直面した時こそ……」
「無能な働き者より邪魔な物は無いんだよっ!」
「…………」
せめてもの抵抗は、ライラの身も蓋も無い言葉であっさり切って捨てられる。
こうして前途ある少年二人は調査から隔離される憂き目に会い、工房の隅で仲良く並んで座る羽目になった。
「敗因は何だろうな、フリーダ?」
「教育の少なさと、機械に関する知識の不足だろうね」
「そりゃどうしようもねぇな……」
微妙に哀愁が漂うが間抜けな会話を交わしている間にも、ライラとユカリは拾い物のチェックを淡々と進めて行く。
特に反応が無く、ハズレだと二人に認定された品物の中から、ヒビキは先程のテレビを取り上げて、まじまじと眺める。
「小さすぎてただの平たい箱にしか見えねぇな、やっぱり」
「ハレイドとかに置いてあるテレビでも、やっぱり大きいからね。小型化に取り組んではいるけど、ここまでは出来ていない筈だよ。……映らないけど」
「ま、炎が無けりゃ窯もパンは焼けないわな。ここじゃコイツも、仕事を果たせない只の箱だ」
ヒビキは物体を眺め続ける。行為自体に特に深い意味は無い。只々退屈な時間を消化させる為だけの物だ。
自らの知らない物がゴロゴロしている、未踏領域たる異世界にぼんやりと思いを馳せていた時、不意に視界が揺らぐ。
「……!」
突発的、かつ想定していなかった程に激しい揺らぎだった為に、ヒビキは物体を取り落とし、乾いた音を工房内に発生させた。加えて、全身から激しい痛みと呼吸に不自由を覚え、胸を抑えて蹲る。
この光景はあまり友人達に晒して良い物ではないと考え、どうにか立て直そうとするが、自らの肉体に起こる変化はそれを許さず、地面に伏せったまま動けない。
ヒビキの状態のあまりに急速な変化に、三人とも駆け寄って来る。
「ヒビキちゃん、薬はちゃんと飲んでるよね!?」
「……飲んでる。こんなのは生まれて初めてだ」
「何か変な気配でも察知したのかい?」
「いいや、何も。いいから先に作業を……。おい、これ見ろ!」
痛み以上に目の前で起こっている現象に衝撃を覚え、ヒビキは脂汗を流しながら声を張り上げる。耳元で叫ぼうものなら普通文句が飛ぶが、二人は何も言わない。床に転がった物体に光が灯っている光景が、そこに存在していたからだ。
「……ヒビキ、君は手品も出来たのかい?」
「出来る訳ないだろ。俺だって理由が知りたい」
「二人とも静かに、下手したら消えちゃうかもしれない」
突如として、地面に転がった物体に光が宿った。ザアザアと、雨音に似た音を垂れ流し、延々と灰色を映しているだけではあるが、起動したこと自体が想定外で、四人は物体に目を捉えられたまま離せなかった。
いつ、何らかの変化が起こるのか分からぬ故に、時が止まったように四人は物体に視線を固定する。何分経過したのか、把握が難しくなってきた頃変化は訪れた。
「……今写っている物が変わらなかったかい?」
最初に指摘したのはフリーダだった。首を捻りながら、物体のある一点を指差すが、他の三人は確認出来ない。
半信半疑で彼が指差した所を凝視していると、不意に灰色の光景が揺らぎ、鮮明な光景が映し出され、緊迫した様子の声が聞こえてきた。
「――既に三日、三日という時間が経過していますが、突如として姿を消した○○市市営地下鉄××中央行きの行方は分かっていません。警察は事件、事故の両方の面から、この地下鉄の所有する○○市、車体の製造を担当した□□重工などと共に調査を行っていますが……」
「……!」
よりにもよって、四人が最も見たくない物である可能性が高い映像が、映し出されていた。
出来る限り、想像を振り払おうとするが懸命に話す女性から切り替わり、マウンテンに突き刺さっていたあの物体が映し出された時、ユカリの方に視線を向けると、先程クレイにオ―・ルージュを突き付けられた時以上に表情を蒼白な物にし身体を小刻みに震わせている。
この反応を見るに、彼女が巻き込まれた現象について、目の前の映像が語っているのは誰もが明らかだった。
画面が切り替わる。
「……」
一人に対して、多数の人間が詰め寄る狂乱の光景が映し出される。鉄道の運営する側と、乗客の関係者という構図だろうが、三人にとっては未だかつて目にした事が無い狂乱ぶりで、誰も言葉を発せない。
その中一人に、ユカリによく似た女性の顔が一瞬映ったような気がした。もし彼女の家族の類であるならば、今は一番映って欲しくなかった存在であり、三人とも見間違いであると強引に納得させようとした。
しかし三人がどう思おうと、無関係な人間か否かはユカリが一番分かる事。その彼女の反応を見るに、後者なのだと痛い程に理解出来てしまった。
「あぁ、うん、そうだよね……。夢な訳、無かったんだよね……」
絞り出された掠れた声は、今までの彼女からは想像も出来ない絶望に塗れた声だった。油の切れた人形のようなぎこちない動きでヒビキが首を向けると、ユカリは涙を流しながら、歪んだ笑みを浮かべる。
「……少し一人にさせてくれないかな? ……大丈夫、大丈夫だから」
「まっ――」
「来ないでッ!」
明確な拒絶の意思を叩き付けられ、制止させようとしたライラの手が止まる。完全に硬直したその場の面々の様子を見て、取りなすように「大丈夫だから」との言葉を残して、ユカリは部屋を出て行ってしまう。
「……やっぱりあの時」
「フリーダのそういう所、嫌いじゃないけど今は無理だよ」
「だったらどうすれば良い? ライラ、君には分かるのかい? 空間を変動現象の予測は不可能な上に、変動が起きても常に一方通行。おまけに渡ってきた人間はユカリちゃん以外全滅。手立てが無いじゃないか」
「それは……」
始まった現実の応酬を聞いていられず、ヒビキは床をぶん殴った。鈍い音と、殺気立った目を認識して、二人は口を噤む。
「ユカリは死んで良いような人間じゃないだろうが。それに手立てだってまだ全部を探した訳じゃない。だから……」
言葉が止まる。だから何だ? 何らかの手段を自分は知っているのか? 何か確信があってデカい口を叩いているのか? 二人の考えを変えられるだけの何かを持っているのか?
答えは全て否だ。ヒビキは、いや残る二人もユカリを元の世界に戻す手立てなど、知っている筈も無い。
この場で何を言おうと、それは只の無意味な妄言にしかならない。
「……だからって、見捨てて良い訳が無いだろ」
絞り出したヒビキの声は、虚しく床に落ちて消えて行った。
◆
どうやって自分の家まで辿り着いたのか、はっきりとした記憶が無い。
気付いた時、ヒビキは自室の床で無様にスッ転がっていた。
行く宛がないお陰か、ユカリは先に家に戻って来てくれていたようだが、話す事は無い。いや、自分には話す資格が無いと言った方が正確だろうか。
「……クソが」
どれだけ記憶を掘り返しても、知人に聞いてみても世界を跨ぐ方法など見つかりはせず、知人からは医者を紹介される有様だった。
常識的に考えればそうなるのは当たり前の事で、立場が逆なら自分もそうしていたのは間違いない。
「何か、何か無いのかよ」
無論、都合良く天の声が振って来る訳が無い。無意味な事をした自分に苛立ちを抱き、立ち上がって壁を殴りつける。
補修の必要が生まれてしまったと、舌打ちをしながら腕を引き抜くと、澄んだ音が耳を叩く。
床に転がった発信源を見つめ、怪訝な表情を浮かべたヒビキだったが、すぐに正解に辿り着いた。
「この鍵、確かおやっさんの……」
おやっさん、とは彼の育ての親カルス・セラリフを指す。
誰もが認める変な男であったが、マウンテンに転がっていたヒビキを救い、今に至る基礎を作ったのは間違いなくカルスのお陰だ。
カルス・セラリフは、コーノス山脈の向こう側にあるノーティカ出身かつ、大陸各地で名の売れた強力な戦士あり、今なお大量の謎が隠されていると専らの噂だが、その噂の真偽はヒビキにも明かされる事が無いまま、彼は七年前に姿を消した。
そんなカルスが生前、この家にある地下室を倉庫にしていたのは当然知っている。ヒビキも入りたいと望んだが、「お前には内緒だ」と言われ続けて終わってしまった。
今の状況とはまるで関係が無い筈だが、このタイミングで鍵を発見した事に、ヒビキは何か不思議な物を感じた。
屈みこみ、床にポツリと開けられた鍵穴に差し込んで鍵を回し、床板を一気に持ち上げる。するとそこには「穴」がぽっかりと開いていた。
当然のようにヒビキは身体を滑り込ませ、地下に降り立つ。
「すげぇ……」
降り立ったヒビキは、眼前に広がる光景に思わず感嘆の言葉を零す。
趣としては書斎のような部屋となっているが、壁にはカルスが愛用した武器がズラリと立て掛けられていた。
螺旋の模様を刻まれた二メクトル近い長槍「黒角槍ナヴァルス」を始めとして、武器愛好家やノーティカの者が見たら卒倒しかねない業物達に目を奪われそうになる中、ヒビキはある一点に向けて歩を進める。
「おやっさん、極秘にすべき資料の入ってる所に、極秘って紙を貼ったら無意味だぞ」
ある意味で養父らしい本棚の張り紙を破り取り、その下に並べられている大量の書物を手に取る。何か手掛かりがあるのでは、との希望に縋ったヒビキの試みは――。
「俺、ノーティカ語殆ど読めねぇや」
開始前にほぼ終わってしまった。
当然と言うべきか何と言うべきか、カルスの持つ極秘資料と思しき何かは彼の祖国であるノーティカ語で記されており、とても読める代物ではなかった。数少ないそれ以外の言語の書物を抜き出して読んでみるが、恐らくは今必要としている情報は何処にも載っていない。
結局、抜き出した本を苦労して読破しても何も得られる物は無かった。徒労感に満たされながら、本棚に本を戻していく。その時、とある一冊の本の背表紙にヒビキの視線は吸い寄せられた。商業の物ではなく、あくまで個人的に資料を纏めた形だが、妙に引き付けられてしまう。
単なる思い過ごしと片付けるのが妥当だし、何より育ての親の遺品を損傷させるのは精神的に良い物は感じない。
何も目的が無かったのならば、間違いなくそのまま戻していただろうが、今の自分には一応ある。
「おやっさん、ごめん」
謝罪の言葉を発した後、目を付けた一冊に向けて『
「やった」
結果として、賭けには勝利した。
本来記されていた文字がみるみる内に薄れ、代わりに二つの文字列が浮かび上がる。一つはノーティカ語、そしてもう一つはアークス語の表記が為されている。疑問が一瞬浮かぶが、背表紙に浮かび上がった著者名を見てそれは氷解する。
「……ノーラン・レフラクタ。ライラの親父さんか」
ライラとは真逆の、寡黙な男の姿を頭に描きながら本を開く。ヒビキの事を蛇蝎の如く嫌っている彼が、カルスと交流があった事にも驚きを覚えたが、最初に書かれていた題名で全て吹き飛んだ。
「世界の転移法!?」
思わず声が大きくなる。どういう事だろうか。まさかユカリ以外にも異なる世界からの来訪者はいたのか。混乱と期待で本文へと移り、そして答えを知る。
「あぁ、『正義の味方』の奴らを元の世界に戻す方法なのか」
数年に一度の頻度である別の世界から来たと主張しながら、自分達が生き延びる為にこの世界のヒト属と戦いを繰り広げる迷惑極まりない輩、それが『正義の味方』だ。
彼らの元の世界は、現時点では未観測であり、遭遇次第総力を以て殺害が基本的な対処方針となっている。
そいつ等を説得し、元の世界に戻す試みなど正気の沙汰ではない。しかしこうして本の形で纏められている以上、何か確立した方法があるのだろう。貪るようにヒビキは読み進めていく。
最初は『正義の味方』を説得する過程が記されていた。殆どの遭遇例で最終的にはカルスが実力行使で説得した旨の記述に苦笑していたヒビキだったが、読み進めていく内に表情が真剣な物へ変わっていく。
「……これ、使えるんじゃないか?」
失敗例が最初の内は並んでいたものの、徐々に場所の転移に成功した記録へと移行し、最終的には元の世界へと送り返し、一瞬だけの通信で帰還を果たした旨のやり取りを交わす事が出来た、と〆られて本は終わっていた。
必要な物は、大量の加工した
難易度はかなり高いものの、ヒビキでもどうにかなりそうな物しか書かれていない事に希望が湧いてくる。
だが、これが本当に使えるのかがまず問題であり、使えたとしても一人ではどうしようも無い事が多々ある。
「……行くか」
決意と共に書物を抱え「穴」から飛び出して、先刻までいたライラの工房まで全力疾走。
工房に転がり込むと、目的のライラともう一人、先程やりたい放題やってくれたクレイが何やら会話を交わしていた様子が目に飛び込む。
「ヒビキちゃんど――」
「これを見てくれッ!」
ライラに何か言わせるよりも早く、彼女に件の書物を突きつける。面食らいつつも読み進めていくライラの、そしてクレイの表情が真剣な物へと変わっていく。
「ヒビキちゃんはこれをやろうって事だね?」
「そうだ!」
血が昇っている為か語気が荒くなるヒビキを落ち着かせる為か、クレイが殊更に冷たい調子で切り返してくる。
「確かにここまで詳細に書かれていると、使えそうな気はしてくるな。だがこれほどの物が、カルス・セラリフの私物として封印されている事に、俺は何らかの意図を感じるんだがな」
「これ以外方法があるのか!?」
「無いな。そもそも俺も『正義の味方』の戻し方なぞ始めて見た」
あっさりとクレイは肯定してくるが、更に冷淡な言葉を続けてくる。
「俺達の敵でしかない『正義の味方』を救おうとする程に、慈愛に満ちた精神の持ち主ならば、封印していた事実と噛み合わない。世間に大々的に公表でもしていた筈だ。……止めておいた方が良い」
クレイの理屈は実に正しい。ヒビキがやろうとしている事の無謀さと、それによってユカリに生じるリスクを的確に衝いてきた。ここで引き下がり、もっと確実な方法をゆっくりと探す方が、間違いなく正しい方法だろう。
だが時間が無いのだ。ユカリ自身の精神状態にも、そして他の国の連中からの介入を受けない為にも、どうしてもやるしかない。
無言のまま睨み合う時間が暫し続く。やがて、クレイが諦めたように首を振った。
「しゃーねーな、手伝ってやるよ。……主に実力行使的な意味で」
「本当ですか!?」
「手が無いなら賭けるしかないのは事実だし、何より断ったら恨まれそうだ。……ライラ、お前もやるよな?」
「そりゃぁもう! 記述が無い術式を探したり、集めた血晶石の加工とかしていくよ!」
どうにか、希望の欠片が見えてきた。頭を下げようとすると、クレイに「終わってからにしろ」と制される。
「とりあえずお前らはもう寝ろ。明日から動き回る事になるんだしな」
促され、ヒビキは工房を辞そうとした時、ライラに呼び止められた。
「ね、フリーダはどうすんのさ?」
「明日、俺から一応話してみる。蹴られたら諦めるよ。現実味が無さすぎる話なのは事実だからな」
本来ならば、フリーダは自分達と同じ場所にいていい男ではない。リスクばかりが先行して、成功率の類が絶望的に低い賭けには乗らない選択をしてもおかしくない、寧ろそれが普通だ。
意を伝えると、ライラは頷いて工房の中へと入っていく。ヒビキも途中までクレイと共に歩き、やり取りを交わしながら帰宅した。
ベッドに座り、思考を回す。血晶石の需要はそれなりに高く、魔力を持つ生物が体内に有していると言っても、書物を見る限りおよそ十キロガルムは必要だ。それだけの量を得たことは、彼の人生で一度もなかった。
どれだけ狩り続ければ集められるのか。そもそもマウンテンでの採掘で確保出来るのか、不安は尽きない。
それを振り払う為か、ヒビキは立ち上がってユカリがいるであろう部屋へと向かう。ベッドの隅で座り込んでいる彼女の目は絶望に塗れている。何か言葉を発してみても届くかは分からない。
「一応さ、元の世界に還せるかもしれない方法は見つかった」
「……」
反応はない。当然の事だと思いながら、ヒビキは言葉を繋ぐ。
「所詮ゴミ捨て場の人間が成し遂げられるのか? って聞かれたら何も言えない。でも、お前をこのまま放置しておくつもりはない。可能性だけでも、俺はお前に提示するつもりだし、出来るまでは逃げない。それだけは覚えていてくれ。……おやすみ」
部屋を辞し、閉めた扉に凭れ掛かる。血晶石を用いる方法にこれほどまでに希望を抱いたのは、育ての親の遺した物に記述があったから、だけではない。
ヒビキ自身がその奇跡を直に感じた者の一人なのだ。
「奇跡ってのは引き寄せれば良いんだ。俺がそうであったように、な」
呟くヒビキの左眼は、彼の持つ『転生器』と同じ蒼に染まっていた。
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