第2話 変わらぬ習慣
朝目覚めると
目についたのはスーツ。
『あー。何時だ。
会社に行かないと...』
佐藤さんがにゃーと鳴く。
まるでそれは合図のように
僕を会社に行く準備をする鈴木から
会社をリストラされた鈴木に引き戻す。
そう。僕はリストラされた。
だから会社にも行かないしスーツも着ない。
すし詰めの満員電車もないしうたた寝をして近くの人と衝突事故なーんてことはないのだ。
そう、もうないのだ。
そう考えると
仕事に出かけない朝は何をしよう。
部屋の掃除もしたいし
溜まった録画も観てしまいたい。
そうだ、観たい映画もあったな。
あぁ、たまには凝った料理を作るのもありだ。
悩みに悩んだ結果、
僕鈴木は平々凡々な男。
そんな平々凡々な鈴木が選んだのは
散歩。近所を散歩すること。
昔から歩くのが好きで
こっちに越してきた頃は
よく朝から夕方まで散策をしていた。
散歩というと爺くさいと言われるが
散策というと少し冒険家ぽくてワクワクする。
携帯と財布。
必要最低限を詰めて背負ったリュックは
いつものビジネスバックより軽くて。
少しだけ遠くまで行ってみようかなって。
下がっていた気分を荷物から
ひょいっと降ろしてくれたみたいだ。
佐藤さんをひと撫でして出掛けた。
早朝、7時を回ったところだった。
タイムスリップした僕の話。 @himacom
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