タイムスリップした僕の話。

@himacom

第1話 それでも陽は登る

「明日から来なくていいから。」


そう言われて飛び乗った電車は帰路へと向かっていた。



僕の名前は鈴木。

平凡どこにでもいる鈴木。


というと、世間の"鈴木さん"に失礼な気がするので『会社をリストラされた鈴木』としておくことにしよう。



さて僕、会社にリストラされた鈴木はその名の通りリストラにあった。12年、務めた会社だった。それなりに貢献もしてきたと思うし頑張ったと思う。何よりお客さんにとても好かれた、営業に回るとその日のお菓子タイムは困らない。でも、業績は伸びなかった。愛想はいいけどそれだけじゃ大人はやっていけない。




そんな僕。

誰もが不憫に思う僕、鈴木。


そんな僕を慰めてくれるのは

家にいる猫の佐藤さん。

鈴木と佐藤っていいよねって

前の彼女が言ってたんだ。懐かしい。



家についた僕。

寂しい僕、鈴木。


傍らで猫の佐藤さんが

お腹が空いたと喉を鳴らす。

喉を撫でるとゴロゴロいうわって

楽しそうに笑う彼女はどこへ。




なんてことを思いながら床で敷かれたままの布団を横目に眠りについたのは会社をリストラされた鈴木が28歳23時の頃だった。




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