そは、深紅の部屋、人形の子宮


さあ、始めよう。

演技の時間だわ。



私はあなたに恋をしよう。

恋に恋する少女のように。


私の内にある真実の欠片を求め。

なくしてしまった魂の匂い求め。



小鳥よ、小鳥。

歌っておくれ。




下女レノアは私の失敗作。



失敗作にしようと

したにかかわらず


出来てしまった、

最高傑作の人形。



最大の失敗作は私。

魂をなくした人形。




私は蜘蛛であり、

蜘蛛の巣である。


魂の小鳥をとらえ、

喰らう蜘蛛である。



私の意識はすべての人形とつながり、

私の感覚はこの館すべてにつながる。


私はすべての人形であり、

この館そのものでもある。



あなたは私の子宮の中にいる――。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る