赤毛の烏――アナキーな盗賊娘


黒い烏が舞い降り、

赤毛の娘になった。


無闇にヒラヒラした、

黒ドレスを着ている。



盗賊だという癖、

ゴツイ靴を履き、


足音もお喋りも、

騒がしく不快だ。



「あの館に入りたい?

ムリよ、無理々々。


だって、入口なんかさ、

どこにもないんだもん。



ねえ、それより、

イイコトしない?


アタイがあんたの女に、

なったげてもいいわよ。



ちょっ、ちょっと待ってよ。

イイコトおしえたげるからさ。


あそこに入るにはね、

水晶の鍵がいるんだ。


どこに持ってるっかって?

それはおしえられないね。


ヒントは穴、

穴ン中だよ。



アタイのアソコん中とか、

さぐったらみつかるかも。


だからさ、イイコトしよ」




「…ヤメテケレ、

ソンタナゴト、


サッパシ…イグネダ。


ア…アア、オラ、

ナンカオカシダ。


オラ…オラ、

ナンジシタナダベ…」



娘は白目を剥いて泡を吹き、

だらしなく舌を出している。



じたばた藻掻いたので、

スカートが捲れ反って、


黒いパンツが剥き出し、

赤毛がはみ出していた。


むだ毛の処理くらいしろよ、糞ビッチ。



漏らしていて、やたら臭かった。


(何を喰えば、こんな臭い……)



烏は悪食なのだと実感する。


(さて、どこに隠しているやら)



嫌々ながら黒パンを下げる。

それは排泄物に紛れていた。


(悪食にもほどがあるだろう。

こいつ、やっぱり絞め殺そう)




「バカヤローッ!


盗賊からもの盗むなんてサイテーッ!


アタイのパンツ脱がせときながら、

何もしないなんてもっとサイテーッ!」



「いいか――い!


館の中に入ったら、

レノアって下女メイドに、

力貸してもらいな!


あんた一人じゃ、

絶対無理だから!」





※赤毛・黒ゴスの盗賊娘ニーナ・クロポトキン。名前を考えました。

しかし、実はロシア人女性の名前はややっこしいのです。

まず、父姓がつきます。そして、父姓と姓が女性形になります。

たとえば、カレーニン公爵の妻でアンナなら『アンナ・カレーニナ』。

だから、ニーナ・ニーロヴナ・クロポトキナみたいな感じでしょうか?

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