夜の森、そして『契約』

お久しぶりです!

いつの間にか1年経ってるぅー!?


▂▅▇█▓▒░(’ω’)░▒▓█▇▅▂ウワアアァァァァ


…もう定期的な更新は諦めます。

それはそれとして次の話を早急に考え始めねば!


では、本編をどうぞ。



ーーーーーーーー



「よし、今日もやるか」


「ワンッ!」


今日も今日とて俺とミクは『B&R』にログインしていた。

《守護者》の熊さん達と知り合ったあの日から1週間強、俺は戦闘や生産、教会にいる神父の爺ちゃんのような現地の人々とのコミュニケーションなど様々な事をこなしつつ、様々なスキルのレベルを上げた。

そうしてめでたく俺の召喚魔法スキルのレベルが規定値まで上がり、新しく『契約』コントラクトの枠が空いたのである。


「よーしミク、もうちょいで仲間が増えるぞ!」


「クァ〜!」


そう、今日俺は《守護者》さん達との約束を果たしに行く。

しかも今日は土曜日、母さんにも『お望みのモフモフを追加しに行ってきます』と報告して快諾を受けているからガッツリB&Rを遊べるというもの。

まずクマくんを迎えに行き、そこからレベリングしたり街を歩いたりするとしよう。






B&Rには昼夜の概念(1日22時間らしい)や気候の概念(何時ぞや習得した『レインフォール』は限定的な気候操作にあたる)があり、今の場合は小雨の降る夜となっていた。

そのおかげか、ユニの森の中は夜の静けさと雨の水分で匂い立っている森林特有の香りで、少し不思議な雰囲気になっている。

そして以前の記憶を辿り、『守護者』の熊さん達と出会った場所の近くまで出向いた俺達は、無事に熊さんと再会できた。


「こんばんはー」


「ワン!」


《おぉそなた達か、息災であったか?》


近くの木からアッポの実をとって食べていた熊さん…攻略サイトで調べたが、ゲームとしてのB&Rにおけるボス表記によると固有名『森の守護者、ガウリム』というらしい…がこちらを見て大きな歯型のついたアッポを下ろした。


「もちろんですよ。約束通り、契約ができるようになったので参りました」


《そうかそうか、ならば早速…》


ガウリムさんが腹に響く咆哮をあげると、すぐにクマくんが森の奥から駆けてくる。

いや見るからに喜んでくれているのは嬉しいんだけど、慣性がついたまま鳩尾に頭叩きつけてこないで欲しいんだが。

オレの口から「ぐぼぇっ」とか形容しがたい音が出たぞ今。

というかHPが2割程持っていかれたんだが⁉


《クゥ、クゥ…》


「ワンッ!」


《キュウ…》


苦痛にのたうち回るオレの横で、ミクがクマくんに一喝。

めちゃくちゃ落ち込んだ様子のクマくんが何だかおかしくて、痛いんだか笑いたいんだか分からなくなった。





《こんばんはぁ、お客人》


「こんばんは…随分と集まってきましたねぇ」


《それはそうだ、同胞の門出だぞ?それに、その同胞がついて行く仲間を見定めておきたいというのもあるようだ》


オレは今、数十匹の熊に囲まれている。

先程のガウリムさんの呼び声を聞きつけたのか、クマ君の後を追うようにこちらへやって来て、オレの臭いを嗅いだり肩をポスポス叩いたり、ガウリムさんのように話しかけられもした。

光を放つ虫やらキノコやらが周りを照らしているから、この森自体には暗闇による恐ろしさは無いが、大量の熊が自分を包囲するというのはなかなかにとんでもない状況で萎縮してしまう。


《儂らは女神様から与えられた『守護者』の任を次の世代へ継承するため、一族分け隔てなく全員で子を育てるのじゃ。皆が血の繋がりなど関係なく、お互いを家族じゃと認識しておる》


《その家族が一緒に旅をしたいと願う人間…その人が女神様に祝福を受けた『旅人』だとしても、自分の目で確認したいと思うのが親心というものでしょう?》


そりゃあ自分の家族が共に旅をする相手ともなると、知らないぽっと出の人間なれば余計にそいつが気になるのも当然の事だよな。

向こうの方ではクマ君と同世代なのか、子熊の一団が少し寂しそうな声で吠えながらクマ君とじゃれついている。


「私は皆さんのお眼鏡にかないましたでしょうか?」


《少なくとも俺達の力を笠に着て旅をしようというクソではない事は、お前の眷属からも聞いたよ。召喚魔法の使い手が自分の杖で殴りかかって戦うとか、お前変わってんなぁ》


《けれどあの子狐ちゃんはとても嬉しそうに貴方の事を教えてくれたわ、素敵な主なんだって…それこそが、貴方の人となりを証明してくれたのよ》


「有難うございます。皆さんと彼の良き友、良き仲間となれるように精進して参ります。また旅の途中にでも顔を見せに戻りますので」


どうやら、ミクが色々言ってくれたおかげで信用して貰えたようだ。

今度お礼も兼ねて、思いっきり遊んであげようと思う。

それからも暫く『森熊』の皆さんと友誼を深め合い、段々談笑も落ち着いてきたくらいで周囲の熊さん達が退いていき、クマ君が目の前まで戻ってきた。

時間のようだ。


「では早速なのですが、契約ってどうしたらいいんでしょう?」


《向かい合って立ち契約術式の行使を願えば、お前たちならば自ずと分かるはずだと聞いているぞ》


誰に、と聞くまでもなく『女神アステリア』だろうなぁ…と思いつつ、先程の激痛から完全に復帰したオレはクマくんと向かい合う。

ぺたんと尻を落としてこちらを見つめるクマくん可愛い…いや違うほのぼのしてる場合じゃない。

契約コントラクトを使おうとすると、何時ぞやの様に『読むべし!』とでも言うかの如く、文言が空中にポップアップしてきた。

これ、多分女神様に見られてるかな?

まあいいんだけど。


「『我、我が名を礎に契約を求む』!」


《グゥッ!》


詠唱を始めると共に足下に巨大な魔法陣が展開する。

夜の帳に魔法陣の光が眩しくない程度に明るく展開され、なんだか神秘的な光景だ。

熊達が魔法陣の周りを囲んでこちらを見つめていた。


「『我が心臓を楔に、我が魔力を依代に、我と共に在り、苦楽を分かち合わん事を!』」


《グオォォォッ!!》


《我、森熊の守護者『ガウリム』が女神アステリアに代わり、この『親血契約』を見届け、これを認めるものとする!》


『契約』の詠唱を完成させてガウリムさんが何か吠えたと同時に魔法陣が強く輝きを放ち、目の前が白に染まった。


――――――――――――――――


2021/10/18


クマさん達の種族を『勇熊』から『森熊』へと変更しました。

迷っていたとは言え、没案を途中から使ってしまっていた…

大変失礼いたしました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Brave&Relief 〜みんな普通にMMOしてるのに俺だけ憑依ガチプレイ!?〜 トマト中毒 @wistelain

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ