第二章 破壊

栄永 利口 Ⅰ


 この世界は、理不尽だ……。

 僕は、小さい頃からずっとずっと……勉強だけしてきたのに。

 他の奴が遊んでいる時も、僕は勉強机に向かっていたのに。

 マンガとかゲームとか欲しかったけど、全部全部全部我慢してたのに。


 僕の、絶対的に安定の保証がついた将来のために。

 だから! ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、我慢してきたんだ……!

 それなのに…………どうして?

 どうして、こうなってしまったんだろう?

 ――――僕は、全てを犠牲にしてきたのに。


 何を間違えた?

 いや。僕は間違ってない。間違ってないんだ。

 僕は、頑張ったんだから! 僕は、言う通りにしたんだから!

 間違っていたのは――――――世界だ!


 そうだ、この世界が!

 僕の努力を、過程を、頑張りを、あっさりと捻り潰した、この世界が!

 この世界がおかしいんだ! 裏切ったんだ!

 こんな理不尽な世界、僕が壊してやる!

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