エンジェルズ・シルク(フェチ小説)

千馬章吾

エンジェルズ・シルク

「ただいまぁ。」

午後5時。玄関の方で声が聞こえた。

そう。我が家のエンジェル、うちの姉である。

高校2年になる姉は今日、ピアノの発表会から帰って来たのだ。

姉はピアノが上手なだけではなく、美人で周囲にいる誰よりも優しく、とても清楚である。

白いドレスに黒のベストを着用し、下には薄手の白パンストの姉が、業務を終えて下界から天界へ舞い戻って来た女天使のようなオーラを漂わせながら、黒のストラップローファーを脱いで玄関を上がって来る。


嫁にするなら自分は姉のような人を選ぶが、姉そのものは自分の姉なのでそれは出来ない。

法律でも3親族以内は身内同士の結婚はしてはならない事になっている。

さて。

姉が浴室で着替えている。

「ふぁあ。今日はまずまずだったかしら。緊張して汗かいちゃったかなあ。ふう。シャワー浴びとこうっと。」

姉はどうやら、バスルームで着替え始めたようだ。

先ずはパンストを脱ぎ始めたのだろう。凸凹のガラス越しには、モザイクのようにその様子が伺える。中腰になり下半身に手を添えている。



中略



姉がバスルームから、シャワーを浴びて出て来た時、新しい服装に着替えて来た。

足フェチの俺にとってはつまらない服装のようだ。

Tシャツに短パン、素足か。しけているな。まあ良い。

脱皮後の殻はまださっきの浴室に残したままなのだろう。洗濯機は動いていない。

ティータイムしようとキッチンへと向かう姉の様子を伺った俺は、浴室へと向かった。

洗濯籠には案の定、先程の姉が脱ぎ置いた薄手の白パンストと、白いドレスが置いてある。

俺は先ずそのパンストの爪先部分に花を近付け、全力で息を吸い込んだ。

これは、未知との遭遇、いや空間転移にでもなるかも知れない。

脱衣籠には姉がさっきまで身につけていた

パンストと白のドレスがくたびれた感じで脱ぎ捨てられていた。

よほど疲れているのか、普段きちんとしている姉には珍しく

パンストは裏返ったまんまで、つま先部分が籠から落ちていた。

俺の頭の中は「あぁ、この匂いを嗅ぎたい・・・」

真っ白になり、駆け寄るとパンストを鼻に押し当て思いっきり匂いを嗅いだ。

湿った習字道具のバッグの中の古い墨汁のような匂いと

花王石鹸ホワイトのかすかな匂いが混ざった

甘臭い醗酵した女の足の匂いがした。

眩暈がしそうなぐらい心臓の鼓動に押しつぶされそうになり

犬のようにクンクン匂いを嗅ぎながら股間が硬くなるのを感じた。


もしばれても、とここで俺は思った。

姉は、うちの家族や友人、そして俺が知っている親族の中では、美人なばかりでなく一番優しい。

これは間違いないと確信出来ていた。

この事は正直に打ち明けて謝ろうか。それとも…………。


俺は正直に本当の事を打ち明けた。

そして、土下座をして「ごめんなさい。もうしませんから許して下さい。反省してます。」ときちんと三つ指を突いて謝った。

「姉ちゃん、実は俺姉ちゃんの事が…………。」

その時点で俺の股間は反り返っていた。

「最後まで言わないで、いいのよわかってたわ。私も同じ気持ちよ…………。」

そう言うと姉の方から唇を重ねてきた。

「まずいよ、法律でも3親族以内は身内同士の結婚はしてはならない事になっているし。」

俺は怯んだが姉は

「あなたは知らないかもしれないけど、本当は私達血が繋がってないのよ。」

「そ、そうなの?俺も足フェチだった気がしたけどそんな事なかったぜ!」



こうして結ばれた俺達は幸せに暮らした。



10年後、姉は和田冬子という芸名で歌手になった。

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エンジェルズ・シルク(フェチ小説) 千馬章吾 @shogo

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