進捗11:ポスターセッション

和奈「……よっしと!」


ホテルの大きな会場に、自分の研究ポスターを並べる。

会場の中央には、立食用の食事が並び、その食事を囲むようにポスターが並べられている。

ポスターの大きさはA0サイズなので、少し見上げなければならない。


呉羽「……和奈~」


和奈「あ、呉羽!設置終わった?」


呉羽「……うん、なんか早速質問したそうな人が来たから逃げてきた。」


和奈「いやダメでしょ、それ」


ポスターセッションは基本的には、参加者も発表者も飲み食いしながら行われる。


呉羽「……おなかすいたなー……まだ食事とっちゃダメなのかな?あ、すいませーん!ビールください!」


和奈「おーい」


呉羽「……ん~?」


和奈「乾杯もまだだよ?」


呉羽「少しくらいならいいでしょ~?んくっんくっ……ぷっは~~」


和奈「あーもう……おっさん臭いなぁ」


呉羽「いいんですー私頑張ったからいいんですー」


和奈「あんた発表者ツールみてたんでしょ……?」


呉羽「証拠がないですー」


和奈「うっわ、めんどくっさ!」


呉羽「……お、華先生だ!」


呉羽に言われ、壇上の方を見る。

実行委員長の華先生が話を始める。


………………


華「――では、乾杯!」


呉羽「っっ!!」


乾杯コールとともに呉羽は食事に向かってダッシュする。


和奈「ちょっ!!呉羽!!」


呉羽はさっさと人混みに消えていってしまう。

とりあえず私は、食事は後回しにしてポスターの前に戻る。

今から2時間、やんわりと発表をしなければならない。


………………



和奈「――ありがとうございました~」


ふと、ポスターの前から人がいなくなる。


和奈「……お腹すいたし、そろそろご飯かな~」


バイキング形式なので、食事はどんどん補充されている。

飲み物を取るついでに食事を取ろう。

そう思い、私はポスターから離れた。


和奈「…………お?」


食事と飲み物をゲットした後、ふと悠里のポスターの方を見ると、

そちらも丁度人がはけた後のようだ。


和奈「悠里~」


悠里「……あ、和奈!」


和奈「おつかれ、どんな感じ?」


悠里「やっと一段落ってところかな?」


和奈「じゃあ、ご飯食べない?」


悠里に、持ってるものを見せる。


悠里「あ、美味しそう。そうしますか!」


悠里のポスター前の机に私の料理を置き、悠里と一緒に再度食事を取りに行く。


悠里「……やー、なかなか辛辣なコメントをもらいましたよ」


和奈「ん?どんな?」


悠里「妥当性、需要性あたり?これって本当に社会に影響を与えれるのかって」


和奈「……えー……なにそれ……どんな人からの質問?」


悠里「基本企業よね。あの人達は『研究』という枠じゃなくて、『商品』としての枠で物事を考えてるから、やっぱりお金にならないものには価値が無いっていう考え方なのかなぁ」


和奈「なるほどねぇ……って、あれ!?」


悠里「ん?どうしたの?」


和奈「呉羽の……ポスターの前……」


悠里「え?……わー……」


呉羽のポスター前に大量に人が並んでいた。

そして呉羽はいい感じに酔っているらしく、かなりいい感じにアドリブで話している。


悠里「……呉羽ってそこそこ人見知りよね?」


和奈「だね……お酒の力って怖い……」


悠里「ま、とりあえず食べましょうか!」


和奈「だねー!」


………………………

………………

………


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情報系ラボガールズ 水波形 @suihakei

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