第2話 君の瞳に完敗さ
大学生活…いわゆるキャンパスライフって、こんなに輝かしいものなのだろうか?
そう思うほどに朝がすがすがしいのだ。
「加藤君、おはよう」
キャンパスに歩いて向かっていると、いつものように天使が舞い降りてきた。
「神山さん。おはよう」
くる方向が同じ神山さんとのこの時間、うん。好きだ。
「恵奈がさ、昨日カンチさんと飲みに行ったんだって。結構楽しかったらしくて(笑)」
神山さんがふふって笑うからこっちまでなんだかおかしいぜ。
「あの二人なんだか気が合いそうだよな。そういえば今度四人で食べない?」
何言ってんだ俺。急にこんなの断られるにきまってる。
「いいねそれ!実はあたしも行きたいなって思ってたんだ。」
天使が笑う。ってか天使使いすぎだな。
「ほんと?いつ空いてる?」
がっつきすぎたかな。ああ、恥ずかしい…。
「あたし今週の放課後わいつでも暇だよ。恵奈にも聞いておくね。」
「さんきゅ。」
夢みたいだ。初な俺をどうする気なんだろうか。もうめちゃくちゃにしておくれ(笑)
「やっと来たな冬樹!待ちくたびれたんだわ!」
レストランの奥のテーブルに亮が見える。
「悪い!ってまだ3分前じゃんか」
「女子を待つのがジェントルメンなんだって!」
「そうだったな(笑)」
こんなふざけた会話してるけど、心臓はバクバクだ。毎日会ってるメンツなのになんだこれ。
「そういえば聞いてなかったわ。冬樹はどっち派なん?」
ニカつきながら聞いてくる亮を凝視してしまう。
「何が?」
わかってるくせにと言わんばかりに亮が前のめってくる。
「恵奈と神山さんだよ。」
そりゃもちろん…。でもここで言ったらがっついてるやつじゃないか。
「まだ知らないんだよ。これからだよこれから!」
いい感じでごまかしてみたけど。亮、なんなんだその顔。
「嘘だ。神山さんだろ。わかるんだって!」
「え!?」
「おまたせ!ごめんね、ちょっと遅れちゃった!」
声の主を見ると加瀬さんだった。そして後ろにいるのは神山さんだ。
「迷いそうになっちゃって(笑)」
照れくさそうに笑う神山さん。うん。これだ。
「さ!頼むぞ!」
亮の声でみんなメニューを見始める。とりあえず俺はたらこスパでも食べよう。
「え~迷うなあ。どうしよ!!」
「恵奈これ好きじゃなかったっけ?」
「あ!まだあったんだ!」
神山さんと加瀬さん。仲いいよな。何頼むんだろ。
「冬樹も決まった?」
「おう。亮は何にした?」
「これやで。」
なんか…。ありえないのにWデーとみたいだなって錯覚しちゃうぜ。目を覚ませ俺。
「かんぱーい!」
四人で黙々と食べる。そしてたわいもない話題で盛り上がる。
「冬樹はさ、元カレとかいんの?」
「ふざけんな(笑)ホモじゃないか。」
「え!違うんか!?」
「きゃはははは!」
俺と量の辛味に女子が笑う。なんか、幸せだな。
「有紀の元カレね、今モデルしてるんだって!」
「え!斉藤だろ?だろうな!!💢」
元カレ…か。そりゃいるよな。かわいいんだし。ってなんでこんな撃沈してんだ。彼女でもないのに。
「ちょっとふたりとも(笑)話題変えようよ!」
神山、照れてる。なんだろ。俺、今神山の顔見れない。
「亮はどうなの?」
唐突に亮に話を振った。亮のいろんなこと、知りたいしね(笑)
「俺はもうずいぶん前だからなー!そうやで!中学校の時だもん。」
「え!まじかよ。いたんだ。」
「おい冬樹~なんやその反応!」
神山さん、こっち向いて笑ってる。ってさっきから神山さんの視線気にしすぎだろ。でも…綺麗なんだよ。君の瞳にもう完敗さ。
誰にも知りえない ツリー @Sohosekai5
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