魔法少女紹介:姫島いのり

 さてさて、この魔法少女は読んでみればわかる通りに、非常に戦闘向けの魔法少女である。『木杖の魔法少女』の中においては、最強の座を争う一人であろう。


 姫島いのり、高校二年生。女子。

 裕福な家に生まれ、ほとんど不自由の無い生活を送る。二人の兄を持ち、家督は兄らのどれかに継がれると決定していたので、将来は政略結婚に出されるだろうと思われていたのだが、七歳の時に魔法少女としての覚醒の兆候が認められ、数週間の間、施設での魔法制御の訓練と魔法少女としての自覚教育を余儀なくされた。


 魔法は、『魔法の種を成長させてできたバラを支配し操作する』。魔法のバラの棘は針よりも鋭く、花びらはどんなナイフよりも鋭利でよく切れる。高い弾性と靭性を持ち、体に巻きつければ高い防御性能すらも期待できる。

 遠隔的な操作も可能であり、鋭利な花びらを宙に舞わせて敵の動きを封じる花弁舞踏会ソードダンサーなどはその能力を有効に使った技でもある。

 本編中、黒精シャドウにとどめを刺した長刀のように、本来攻撃性能の無い幹や花茎にも斬撃の属性を付与したりもできるため、一人の魔法少女が持つには恐ろしいほどの汎用性の高さを誇る。


 魔法少女として活動を始めた頃は直接の戦闘で彼女が魔法を使うことは無かった。バラを操作するにあたっての全ての動作にエネルギーを消費するからである。魔法を行使するにあたっての燃費が悪いのだ。バラ自体に事前にエネルギーを蓄えさせておく事ができるようになってからは多少改善したが、結局は大幅な魔法の連続行使はできなかった。

 しかし、それを解消するのもまた、いのりの魔法だった。ある時、バラのリソース補充の為に造っていた薔薇園で、それを見つけた。

 ローズヒップ…バラの実である。

 いのりには一目でわかった。この実が蓄えているのは膨大なエネルギーであり、それはいのり自身が扱えるものだと。

 魔法を行使した後に摂取すれば、エネルギーを大幅に回復し、さらなる戦闘継続が可能になる。多少の技術は要るが、摂取せずしてエネルギーを抽出する事も可能。この時点で姫島いのりは最強の魔法少女の肩書きへ王手をかけたと言ってもよいだろう。

 しかし、彼女の魔法は絶大な攻撃力を誇ってはいるが、本質的には防衛戦に向いている。対空、対地へ罠を張り巡らし、捕らえ、圧殺する。そのために、安定した性能こそ凄まじいのだが、呵成の際の爆発力は他の魔法少女に譲る事も多い。その性質上、時折いのりの魔法は魔王型と揶揄されたりもする。

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【短編集】魔法少女SE 黒羽 晃 @awww3266

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