第2話 勤務先へ

「あと一人足りん」


あごひげを蓄えたロン毛の警察官が資料を見ながら苛立っている。


「バックれたんじゃね?最近就職しても音速で辞める新入社員とか、ネットで話題になってんじゃん」


携帯型ゲームで遊んでいる若い男性が、ソファに横たわりながら言った。


「ねぇコローレ、それ、そのお菓子取って」


「おいプレハ、お前そんなアホみたいに食ってるとマジで太るぞ」


「うるさいですぅー」


頭に花飾りを付けているプレハと呼ばれた細身の女性に

コローレと呼ばれた、先程のソファで横たわっている男性がポテトチップスの袋を投げた。


プレハはポテトチップスの袋を開けながら


「もうほんとに来ないかもね~その新しい人。もう集合時間1時間以上経ったでしょ?」


「…ったく 若い奴はすーぐ嫌なことから逃げやがって」


あごひげはため息をついた



スドォォォォォン!!!



「!?」


外でとんでもない轟音が鳴り響く。

何が起きたのか、外へ確かめに行く3人。

だが土煙でなにも見えない。


「…え、何? ……爆発?」


たじろぐプレハと、土煙に目を凝らす男2人。

やがて土煙は晴れ、なにやら中から人影が出てきた。

桃色の半袖Tシャツに緑色の半ズボン、そして真っ白な長髪の女性がこちらへ歩いてくる。


「今日からここで勤めさせていただく、ルナと申します。よろしくお願いします。」


唖然とする3人。


「あー あの、これ 着地ミスです。何も爆発はしてないです。安心してください。」


何も安心できないその光景を前に3人は成す術なく、ただ口を開けて瞬きをすることしか出来なかった。

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