ver.+

@tandori

第1話 空を走るおまわりさん

「ハァァァ~~~~」


こぶしの効いた演歌がスマホのアラームで鳴り響いている。


真っ白で透き通るような長髪を寝癖でボサボサにして、たった今

女性がベッドから目を覚ました。


ここはマンション11階の一部屋。

窓の外にはたくさん連なるビルが見える。

女性はベッドから出て窓へ。


上は、水色に青い線が中央を通るパジャマ。

下は、

……恐らくパンツは履いているが、上パジャマでスカートのように隠れている。


彼女の職業は警察官。

23歳 期待の新人。


「……そうか、今日から出勤かぁァ~~ア」


喋りながらあくびをした彼女は、

顔を洗い、歯を磨き、桃色の半袖Tシャツと緑色の半ズボンという さっき出勤と言っていたのが嘘のような着替えを済まし、


そのまま窓から飛び降りた。


落下?

…いや、走っている。

彼女は、空を走っていた。


「初日に遅刻は社会的にマズいか。

…いやでも第一印象はインパクトが大事とかなんとか…」


どうやら勤務先へ向かっている模様だ。


風を蹴る音が 彼女に抜き去られていく。

窓が全開の11階の一部屋では

まだ、こぶしの効いた演歌が忘れられたスマホから鳴り響いていた。

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