026 諸来船
昔、男が、五条の辺りに住んでいた女に会えなくなったと、思い侘びていた人への返信に、
思いもよらず、袖に涙が騒ぐことだ。港に唐船が寄ったばかりで。
【定家本】
むかし(男)、五条わたりなりける女をえゝずなりにける事とわびたりける人のかへり事に、
おもほえず 袖にみなと(なみだ)の さはぐかな(らし) もろこしぶねのよりしばかりに
【朱雀院塗籠本】
無し。
【真名本】
昔、男、五条渡りなりける女を、え
【解説】
「袖の港」は博多港の古称でもある。『定家本』では博多と関連づけるためか、「袖に港の騒ぐかな」となっていて、余計わからなくなっている。
第87段に「波渡」と書いて「
「五条わたりなりける女を、え得ずなりにける」とあるので、第5、6段辺りと関連するエピソードかと思えるが、もともとまったく別の話の別の歌だった可能性もなくもない。
いずれにせよ、この歌はもともと、博多港に唐船が突然来港して大騒ぎになったときのように、私の袖も涙に濡れた、というだけの歌であろうと思う。
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