第41話 朱里視点 エピローグ
文化祭も無事に終わり、片付けも終わり、私は疲れながらも家に帰ってきて布団に横になっていた。
片付けですり減っていた精神が回復し、今日一日で何があったのかを思い出す。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああ私のばかああああああああああああああああああああああああ!!」
どうしてあんな恥ずかしいことを言いまくったの私!
「ちょっと朱里! また歌ってるの? うるさいわよ!」
お母さんが何やら言っているがそれどころではない。
ああどうしよう明日どんな顔をして溝部君に会えばいいの! 穴があったら入りたい……。
しばらく布団の中で悶えているとスマホに着信が入る。まさか彼からかと思いながらいつもより素早くチェックをする。本当に彼からの着信だった。
「今日は多分変なテンションになってただけだと思うけど
あんまり気にしないでいいからね」
あの溝部君にまで察されていた。ああ恥ずかしすぎて死にそう。
翌日、私は憂鬱な気分で登校していた。
「あっ上野さん! ってどうしたの!? そんなに実行委員が大変だったの?」
最近よく話しかけてくれる同じクラスの女子が私の様子に疑問を持ったようだ。確かに片づけは大変だったが本当に大変だったのは私ですよというわけにもいかず、適当に応対する。
「そうなのよ、片付けも大変だったの」
「片付けもって他に何かあったの」
自分のコミュ力を過信した私がばかだった! テキトーに言ってしまって自分から晒してるじゃない!
「あっもしかして昨日の溝部君とのこと?」
言われて一瞬頭が真っ白になった。
「まさか上野さんがあんな大胆告白するなんてね! しかも相手は溝部君、公衆の面前で私のモノ発言なんてびっくりだよ」
そうだったああああああああああ! そういえばそんなこともありましたね! ああ死にたい。
「ち、違うのよ、あれはその」
その時、タイミング悪くいつもは時間が合わない彼が現れた。
「あっ、上野さんおはよう。ええっとそれと……」
「池田よ」
「ああ池田さんおはよう。上野さん、昨日のことはその、お気になさらず」
そう言ってそそくさと先に行ってしまう。
「ほほう、昨日の事とは、何があったのか教えてくれるかな上野さん」
「勘弁してください……」
「あなたがちょうど通りかかってあんなこと言ったせいで大変だったわよ……」
「まあ上野さんにも藤井さん以外の女友達ができてるようで安心したよ」
そんなことより、と彼は言うと、
「次のコミュ障脱却作戦なんだけど何をしたらいいと思う?」
「へ?」
「だって俺はまあいいとして、上野さんのコミュ障ってほとんど治ってないでしょ」
確かに言われてみればその通りだ。
「だから次は俊之辺りと話してみるのはどうかなって思うんだけど」
溝部君、ほんと渡会君のこと好きよね。あまつさえ彼女に他の男と話すことを提案するなんてちょっとおかしいわよ。
「はあ、なんだかいろんな事考えてた自分がばかみたい」
「ん? 何か言った?」
「いや、いいわよ。今度こそコミュ障脱却しましょうか」
「おっやる気だね上野さん。じゃあここに俊之呼んでみようか」
「それはダメ。ここは私とあなただけの場所よ」
「ははは、そうだね」
急には私たちの関係は変わらないけど、こうして少しずつ少しずつ変化していくのも、悪くないかな。
こみゅしょう!~俺と彼女のコミュ障脱却大作戦!?~ TK @tk428
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます