第27話 パチンコ店員としてのスキル2

さて、ここからも闇の部分だと思うが私の思う所をぶちまけていきたいと思う。


店員としてお客様から求められるスキルを、仮に接客だとしよう。

常に柔和な表情をキープし、ランプをつければすぐに駆け付ける。

目線を意識し、一声掛けを忘れない。


なんと素晴らしいことだろうか、ただ私が仮にこの対応をされてもその店を毎日通う理由にはならない。私が通う店は、立地条件、イベント日等いろいろあるが、あくまでちゃんと設定を使っている店、これに尽きるのだから。


もっというと、他者からみたスキルというのは店員としてはお客様からではないというところだ。


これは上司にあたる役職者から見た評価になると私は思う。

実際問題、ホールに出ている社員はほとんどが好きでホールに出ているものではないのだ。私も事実、過去に幹部候補生という聞こえの良い謳い文句についていって、現状を受け入れているただのバカだが、じゃあ幹部になるにはどうしたらいいんだってのは、上司からの評価にほかあるまい。


上司から評価を受け、試験を受ける。

試験の過程には一切接客技術など関係ない。求められるのは答えだ。


もっと言えば、営業時間外に出来る作業面においてもスキルの差。

簡単なものでいえば、異物(主に硬貨、プラスチック片)が入ってしまったハンドルの対応とかだろうか。

難しくなると役物だったりの部品交換など、数えたらきりがない。

だが実際スキルは正直お客様には関係ない。いかにその店員がパチンコの液晶を交換できる者だったとしても、本当に意味がないのだから。


正直に言うと、上記のスキルを踏まえた上でのコミュニケーション能力で全てが決まる。上司とのコミュニケーション、お客様とのコミュニケーション。これらを制する者が全てを制する。

部品なんか交換できなくったって、上を目指すだけでいえば必要ないのだ。


ここまで話してはぐらかしてるけど、じゃあ本当に大切なことってなんだよ?

って思った方はこれだけを実践してほしい。

あなたがパチンコ店員であるならば


「目の前のお客様を大切にしてほしい」


これだけである。

数あるパチンコ店から、自身の働いている店に足を運んでくれて下さったのだ。

一人ひとり、理由は違えどあなたが働いている店に来てくれたのだから。

ほとんどの人は、店員の事なんて誰も見ていない。

ある一人は、今日は勝てると思ってきたかもしれない。

ある一人は、設定が入っているかもと期待してきたかもしれない。

ある一人は、家が近いし暇だからって理由かもしれない。

ある一人は、時間が余ってたまたま近くにパチンコ店があったからかもしれない。

ある一人は、理由なんてないのかもしれない。


それでも、たった一人でも

あなたが働いているから来た


そんなお客様を作ってほしいのだ。

それこそが真の接客だと。

作った笑顔なんて誰にでも出来る。マニュアル通りの挨拶も必要ない。

本当に、また来たいと思っていただけるように接する気持ちで十分だ。


正直に言うと、役職者や店長、上位職を目指すうえで必要の無いことかもしれない。

適当に玉を流しても文句も言われないだろう。


でも、声を大にしていいたいことだったんだ。

パチンコ業界を支えているのは、目の前にいるお客様なんだと。


ある婆ちゃんはなけなしの銭であろう千円で海を遊ぶ。景品のオロナミンCがいきがいの婆ちゃんだったりな。景品で取らなくても目の前のスーパーの方が安いよ。

車で30分、わざわざ遠くから来てくれるコンビニのオーナーさん。バジ打つなら他の店の方が正直設定が入っているんじゃないかって思うのに。

夫婦で切り盛りしている豚丼の店主さん、いつ休んでいるんだろうって思うくらい店に行けばいつもいるのに。


ともかくいろんな人が

自分が働いている店に来てくれたんだ


これから先、私よりも先に出世して偉くなる奴がたくさんいるはずだ

給料も今よりずっと良いだろう

接客なんて、下手したら1日中しない仕事をしているかもしれない


店員としてのスキルは、出世するスキルとは似て非なるものだ。

万が一お客様から嫌われていようとも、上司から好かれていれば役職者になるチャンスも増えるだろう。

俺もずーっと考えた。このままでよいのかと。

結論なんて出なかったさ、実際パチンコ業界なんていつなくなるかもわからない。

雀の涙のような賃金でも文句は言わないさ。

それでも、店員としての誇りを持つことが唯一無二のスキルだ。


最後に、読んでくれた方には当然パチンコ店員じゃない方が大半だろう。

むしろ今はパチンコ、スロットなんてやらない人の方が多いのかもしれない。

それでも、パチンコ・パチスロユーザーに告ぐ。


パチンコ店員も人間だ


いいか、俺は召使いでもなければお客様は神様だなんて一つも思ってない。

今のパチンコ屋の接客というのはサービス過剰しすぎて、俗に神対応といわれるような、あたかも自分が神みたいな扱いを受ける事があるかもしれない。

勘違いするな、それは仕事でやっているからでしかないんだ。

リアルに言うとあなたが使ってくれたお金で商売が成り立っているんだから。

もちろん、全てのお客様が勝つことが不可能なのは周知の事実だろう。

だからこそ接客サービスなんてものが過剰になりすぎてしまった、私はこれを正直パチンコ業界の負の遺産でもあると思うくらいだ。


だからこそ、店員に対して不条理を突きつけないであげてほしい。

負ける日はとことん負けてしまうだろう。新人だったらミスもするだろう。

しかし、過剰に店員にあたるのは慣れてない者には本当に苦痛であり、働きたくなくなる理由の一つにもなるのだ。そうして辞めていくものがいるのなら非常に辛いのである。


この垣根を超えた先に、本当の業界の未来が待っていることを信じてやまない。

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4年大卒の俺がパチンコ店員になった話 大本光明 @mituaki7272

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