駄菓子屋もこみちさん

比名瀬

駄菓子屋もこみち

 そこは、近所に小中学校があり、よく小さな子供達や主婦が行き交じる商店街。

 その一角にある、誰も気付く事のなさそうにひっそりとしてる細い脇道を抜けると、広い敷地にぽつんと居を据える小さな建物がある。

 小さな小さな古びた建物。

 隙間風が入り込みそうな傷や日に焼けて色褪せた年季の入った外壁 。所々剥げた屋根の瓦。建付けが悪いのか、開ける時にやたらと力をかけなければならない入口となる横開きの扉。

 その入口の扉の上には、ここがお店だとハッキリと主張するような大きな看板が取り付けられている。


『ちみこも屋子菓駄』


 昭和頃にありがちの右から左へ読んでいく店名の書き方のされた、今の若者にはとても読み難い書かれ方をした看板。

 扉を開けて中に入ると、

 コーラ味やラムネ味をしたボトルグミや、モロッコヨーグルト、たこせんべいや、セロファン包装のされたラムネに、メロンやオレンジを模した容器に入ったアイスなど、そこは名前の通りに昔懐かしの駄菓子が置いてある駄菓子屋。

 まるで、その駄菓子屋だけを昭和から時間を切り取っているかのような不思議な錯覚を覚えてしまうような場所。



 そんな『駄菓子屋もこみち』へようこそ────

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

駄菓子屋もこみちさん 比名瀬 @no_name_heisse

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ