第29話 思いよ伝わって

みんなは、一生懸命に考え、祈った。

何日も考え、祈った。

加奈美の手の腫れや熱がひいたある日、加奈美たちの前におみつさんが現れた。

((あなたたちには、負けたわ……))

と、おみつさんは言った。

((私、こんなに、私の為に考えたり、祈ってもらったのは、初めてよ))

((あなたたちは、私を無理矢理に祓ったりしないでくれたから、私の中の、憎しみや怨みが徐々に薄れていったわ……))

((ありがとう))

((これで、ようやく成仏できる気がするわ……))

((加奈美さん、私が側にいたせいで、苦しい思いをさせて、ごめんなさい。))

((あなたの心は、暖かくて優しくて、私が癒やされていくのがわかって、私の怨みが薄らいで行くのがわかったわ))

((あなたのおじいさんに言って、私を成仏させて欲しいの!))

『おみつさんそれで、いいんですね』

((ええ、お願いするわ))

『わかりました。 祖父に話します。』

『加奈美!! おみつさんに思いが伝わって良かったな!』

『本当に良かったわ』

『加奈美ちゃん良かったね!!』

『みんな……』

『まず、おじいちゃんに連絡しなきゃ』

〈ツルルルルル……〉

『おじいちゃん、みんなの前におみつさんが現れて、成仏させてほしいって言われたの!!』

『準備できる⁉︎』

ー『ああ、いつでも大丈夫だよ』ー

『わかったわ! 家でいい⁉︎』

ー『神社での方が良いだろうから、帰りにでも寄りなさい。』ー

『わかったわ、みんなに話しておくわ!!』


『神社の方がちゃんと、成仏できるだろうから、帰りに寄るけど、みんなはどうする⁉︎』

『俺は加奈美と一緒に、供養したいと思うからいくよ』

『私も、行くわ』

『俺も、みんなと行くよ』


『おじいちゃん、来たわよ』

『来たか⁉︎ 準備は出来ているからな』

『みんなも上がりなさい。』

『はい。 おじゃまします。』

『じゃあ、始めるぞ』

おじいちゃんは、祈りを捧げた。

そしてみんなも、心から祈った。

途中からおみつさんが現れにっこり笑い姿が消えた。

おみつさんは、無事に成仏できたようだ。

みんなは、心からの冥福を祈った。


『みんなの祈りが、おみつさんを救ったんじゃ、ありがとう』

『これで、おそらく、生まれ変わる事もできるじゃろう』

『みんなは、これから、自分たちの将来に向かって悔いのない人生を送ってほしい。』

『これが、おみつさんから感じた思いじゃ……』


加奈美たちは、自分の将来に向けて頑張っている。

数年がたち、加奈美と孝介は結婚し、娘と息子が生まれた。

約束通り、子供たちを大切に育てている。

これから、もう二人家族が増えるので、賑やかになるだろう。

大切に育てよう。

私たちの愛する子よ

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廃虚に近づくなかれ…後が怖い⁉︎ サチヤ @sachiya040507

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