カクヨムにアンチレビュー機能つけようぜ!!

ちびまるフォイ

カクヨムにネガティブレビューをつけろ!!

カクヨムを始めてから数日が経って気付いたことは1つ。

このサイトも同じだということだ。


右を見れば異世界転生。

左を見ればデスゲーム。

下を見れば魔王だの。

上を見ればエロ小説。


なんだこれ。小説家になろうと何が違う?

フォロワーは薄っぺらい言葉で、映画の試写会のようなコメントで

「楽しかったです! また読みたいです!」なんてコメントしやがる。


そこで、俺は職業:プログラマーであることを利用して、

カクヨムにある新機能を付けることにした。


『ネガティブレビュー』


レビューというと「いいね!」みたいな褒める系のものが多いが、これは逆。

クソだと感じた作品をこっぴどく、完膚なきまでにディスるもの。


なれ合いを浄化し、作家のプライドを取り戻し

楽な道に流れさせないように戒めて創造力を発揮させる機能。

良薬口に苦し、だ。



――数日後。


「ふざけんな!! 俺の小説のどこかつまんないんだ!!」

「もうカクヨム辞める! 悪口言われるだけだもん!」

「どーせクソしか書けないクソ作者ですよ……ははは……」


変化はすぐに訪れた。

最初こそおどおどしていた読者も、本音を伝える快感を味わうや

カクヨムはかつての草食動物のふれあい場から一変。

弱肉強食のサバンナへと変わった。


「ふふふ、でも作戦通り! カクヨムが戻って来た!!」


意図せず炎上商法になってしまい、カクヨムには本気の作家が集まる。

幅を利かせていた異世界モノが消え失せ、

雑多な作品が集まるカオス空間へとカクヨムは転生した。


本気できたんのない意見をぶつけ合う、ある種の正常さが取り戻された。

 ・

 ・

 ・


のはずだった。


さらに数日もすると、透き通っていたサイトが濁り始めた。


>この作品クソ。死ね。うんこ

>もう更新しなくていい

>しねしねしねしねしねしねしねしねしねしね


「な、なんだこれ……」


カクヨムのレビューは完全に逆転した。

通常のレビューよりも批判のレビュー数の方が投稿数が多い。

そして、その結果まねいたのが……「報復レビュー」


最初こそちゃんと作品の欠点や改善点を指摘していたはずのディスレビューが、

今や醜いただの悪口合戦場へと成り下がってしまった。


「これじゃもともとのカクヨムより状況悪くなってる!!」


復讐に復讐レビューが続く負の連鎖は止まらない。

サイトの空気感は悪くなり、新作を投稿することが恐怖に直結する。

「なんて批判されるか…」と。


カクヨムでの新作はなくなり、サイトも人が離れていく。


「くそ!! いったいどうすれば!? こんなつもりじゃなかったのに!!」


追い詰められた俺が行ったのは「現実逃避」。

もういっそ現実から目を背けて、大好きなアニメの世界に逃げることだった。

けれど、答えはそこにあった。


「こ、これだ……!! これが解決策だったんだ……!!」



――数日後。


カクヨムの空気感は元の正常で優しい雰囲気に包まれていた。

その顛末を、今はこうして小説の形で残している。


「なぁ、どうやって解決したんだ?」


俺の執筆する様子を見ていた友人が聞く。


「ああ、簡単だよ。カクヨムのレビューにアイコンを表示したんだ。

 そして、テキストの最後に文言を自動追加した」


友人にアンチレビューを見せてやった。


「こんなのクソつまんない、もう更新すんな。

 べ、別にあんたのために言ってるんじゃないからね!」


アイコンは頬を染めたツインテールの美少女。

レビューには後半の1行が自動追加されていた。


「こ、これは……なんだか……悪い気分しないな! むしろご褒美に感じる!」

「だろ」


さっそく、この新機能。みんな試してくれ。

ただし、作者が男だと思う時だけな。

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