第14話 ごきげんNight

 ごきげんですね、猗綺子さん?


「え? わかるぅ?」


 そりゃあ、鼻歌うたったり、曲聴きながら手拍子うったりしてれば。


「あはは。いやあ、やっと『風花 ~舞い散るは きみへの想い~』が進みだしたのでね」

 遅。やっとですか。

「そう、やっと。ちょっと進んだの。一話分、今日は書けたよ。そんなに文字数はないけども、進んだ感じが嬉しいんだ」


 『若草祭』の曲目も、アンコールまで決まりましたもんね。


「そうなんだよ。それが大きい。気持ちが楽になりました」


 とかいって、また、曲調を描写するのに手が止まるんじゃないですか?

「あ、予想? 予言? まあ、いつも思いつきと調査で乗り切ってるから、今回もそういくよ。でも、ずっと『若草祭』の曲目を流してます。少しでも描写が早く浮かぶように」


 ちゃんと努力してるんですね。


「まあ、ね。雰囲気も大切だし。情報も大切。曲について調べれば、結構おもしろいよ」


 ヴァイオリンの技巧には、まだ詳しくないですけどね。


「手入れの仕方Q&Aって本は持ってるけど、忙しくてなかなか読めないんだ」


 はやく読みましょう。


「そうだね。描写が生き生きするよね」


 でも、そんな時間あるかな。もう11月に入ってますからね。


「とにかく書くのが第一になってるからね。現実の作家さんって、リサーチの時間をどこまでとれるんだろう。凄いよね」


 猗綺子さんは別の仕事をしながらですから、ちょっと時間的にハンディがあるのですよね。まるっと創作に時間がさけたら、きっともっと進むことでしょう。ね?


「ね? って訊かれると、うんって答えるしかないよね。あは」

 あは、じゃないですよ。

「えへぇっ」

 あ、マネしないでください。

「ダメ?」

 誤魔化しても、ダメです。

 もっと効率よく時間を使ってくださいよ?

「それ、自分でも思う。気がつくと時間って過ぎてるんだよね」


 無駄が多いんですかね。要領が悪いんですかね。

「要領かもね。手際が悪い。能率の配分が出来てない」

 うわぁ。悲しくないですか、それ。

「最近、美弦くんってば厳しい」


 そうですか?

 以前から、猗綺子さんには厳しくしていますよ?

「そっか……」


 あ、ごめんなさい。

 そんなに落ちこまないで。

 頑張ってますよね、猗綺子さんは。

 わけわかんない取り扱いや、苦手意識のある仕事も、避けないで立ち向かおうとしてますもん。周りが助けすぎてくれるのも、嬉しくもダメだなぁって自分で自分を叩いて。

 そんななか、執筆のことにも心をさいて。


「君たちを愛すればこそ、ですよ……」


 うっ。

 それを言われると、ぼくたちとしては、頭を下げるしかありません。


「きっとね。どんな作家さんもそうだと思う。

 登場人物たちを愛して、だからこそ心を砕くことができる」


 そうですね。

 カクヨムの作家さんたちは、自作の登場人物をとても愛しておられるように感じます。きめ細やかに、切ないほど。


「うん。だから、尊敬できる方々がたくさんいるよ。面白いと思える作品が多い。忙しくても、どうしても読んでしまう。自分の作品と同じくらい、のめりこむ」


 いい出会いと、いい交流、ですね。


「うん。切磋琢磨し合える場なのかな、って思う」


 ……最近、自作のほうをさぼりがちでしたけどね。

「うへぇ。そうなんです、ごめんなさい。悩んでいたけれども、悩みすぎだったかも。反省です。勢いって、必要だよね」


 明日も更新できそうですか?


「明日の分は、もう書いたよ! 推敲したら、UP! するよっ!」


 おお。えらい、えらい。


「ありがとー♡」


 さて。長くなりましたね。

 こちらはそろそろ切り上げて、本編の執筆に勤しんでください。


「りょーかい、りょーかい。ありがと、美弦くん」


 では、皆さま。

 明日、またお目にかかりましょう。

 よい夜を♪

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